遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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共通語では箱や器の中にひとまわり小さい同様な物を順々に入れていくもの。まあマトリューシュカの実用品版みたいなものか。漢字で書くと「入れ子・入れ籠」と書くらしい。
しかしながら遠州弁というかうちらの集落辺りでは「いれこにする」と言えば「入れ替える」、「いれこになってる」だと「入れ違いになってる」などという使い方をすることが多い。つまり逆になってると。
これが同じ言葉でありながら意味使いが変化したものなのか全く別の言葉がたまたま同じ読みで紛らわしくなっているのかは分からない。勝手な推測だが入れたものが交差・交錯してるみたいな対象物が共にはっきりしてる場合に使われるので「入れ交」が変化とかでもしたんだろうか。根拠は全くないけど。
とにかく共通語に訳すと「正しいところに置かない置かれていない・あべこべ」みたいなニュアンスになる「いれこ」という言葉。
こういう言い方をするのがどの程度の範囲なのかは定かではないので「これが遠州弁だ」と胸を張れる訳ではないのだが、少なくとも共通語しか話さない地域に行ったら通用しない(誤解される)表現であることは間違いないだろう。
つまり「いれこになってる」だと共通語では「順次大きさ順に収まっている」ということだろうが遠州弁では「順序がでたらめになってる」という意味になる。
それじゃあ大きいものに順次似たようなものを収めてくという共通語の「いれこ」を遠州弁でどういうかというと・・・特に思いつかない。なんかあるのかな?
それと、よりややこしくすると、「いれこにしていれるだよ」とかだと「互い違いにして入れるんだ」という意味になり共通語での「大きさ順どおりに入れるんだ」とかいう意味と異なるのである。さあどうだややこしいだろう。
言い訳になり申すが、数多ある遠州弁説明紹介HP・ブログに於いてこの「いれこ」という言葉の使い方及び意味説明されてるところは無いのでもしかしたら誤った解釈又はほんの一部地域だけで使われてる表現かもしれないというのを記しときます。
ちなみに「てれこ」という表現は遠州では聞いたことがない。関西弁らしいのだが遠州には波及していないことは確かであろう。
例文1
「なんかあんたの服つんつるてんだなあやあ。」
(なんかあなたの服サイズ小さくない?)
「そうけえ?そうゆわれりゃあちいとパンパンだかいやあ。」
(ええ?そう?そう言われればなんとなくきついかな。)
「太っただ?」
(太ったの?)
「失礼こいちゃかん。・・・ああっ!旦那んのといれこで着てたあ。」
(冗談言わないでよ。・・・ああしまった。うちの亭主のを間違って着てた。)
「なによを。お揃い持ってるだ?」
(え?なに?ペアルック持ってるの?)
「家用だよ。安かったもんでまとめ買いしただよ。家でならとんじゃかないらあ。」
(家用よ。安かったからまとめ買いしたの。家の中なら構わないでしょ。)
「つうこたあなに?旦那よりあんたあの方が太いってか。そうはめえんかったけど。ふ~ん。」
(ということは、旦那さんよりもあなたの方が太いってこと?そうは見えなかったんだけど。ふ~ん。)
「うっさい!」
(うるさい。)
例文
「うまくはまらんなやあ。」
(うまく収まらないなあ。)
「おめえ、それとそこんさあのいれこにしてみい。」
(お前さあ。それとあそこのを入れ替えてみなよ。)
「おおはまったわあ。」
(おお!ぴたりはまった。)
「だらあ?」
(だろう?)
音声はこちら