遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「どうしてしなくてはいけないのか?」と問うている。
反論・不同意を表わしている。というか物凄く嫌がってる・従いたくないんだぞという事を訴えている。言い方で語気を荒くすれば拒否・拒絶という意味に変わることもある。
「いやだね」というよりもなんでだと理由を言え、納得すればやってやらんでもないという勢いで拒絶度は薄くなると一見そう思えるところであるが実際は拒否する意思の方が強いので妥協する意思は低く「いやだね」というのと大して変わらない嫌がりようなのである。あくまで一例であるが拒否具合の強さでいうと
「いやいやあ」>「いやだね」>「なんで?」>「なんでしにゃかんよを」>「え~随分じゃん」>「嘘だらあ」>「ほんとにけえ」>「勘弁してやあ」>「鬼ぃ」
とかになる。「なんでしにゃかんよを」はほぼ中間の言い回しといった趣であろうか。
この状態を覆してやらせるには随分と骨が折れるものである。
例文
「それ終わったら後掃除しといてよを。」
「え~!なんでしにゃかんよを。十分綺麗じゃん。」
「見た目で判断しちゃかん。手え抜いたらきりんないだでやるこたあきっちりやらんとかんのっ。」
「まるさら」と「みなさら」どちらも丸ごと・全部とかいう意味であるが使いどころが違うからこそ二つの言葉が存在するのであろう。
「まるさら」は「全部・原型のまま」とかいったニュアンスであるが「みなさら」だと「全て・根こそぎ」といったイメージが湧く。
近い言い回しには「まるきし」と「みなきし」というのもある。
共通語にすると「まるきり」・「みなきり」であろうか。
単なる言葉の説明になってしまったので、元に話を戻して
「まるさら」は必要なものをすべてという事であり、
「みなさら」は必要・不必要は後で選別するからとりあえずそこのあるものをすべてという勢いがある。
つまり畑に植わってあるものを持って来いという場合極端なことをいえば、
「畑行ってまるさら採って来て」となれば栽培されてるものをすべて収穫して来いということになり、
「畑行ってみなさら採って来て」となれば雑草だろうがなんだろうが生えてるもの片っ端から抜いて持って来いということになる。(さすがに土まで取って来るような超ボケは考えられないが)
まあ現実にはにんじんなり大根なりの対象を言うからこういう「みなさら」でのボケは生じないが。
辞書をひくと
「まる」部分に分けない全体。
「みな」全部のものが。残らず。
という違いがある。その他には辞書に「まるごと」は載ってるが「みなごと」は載っていない。
遠州弁においては「さら」を付けての「みなさら」という言葉が存在する。
例文
「そこんさあのお盆の上にある○○まるさら持ってきてやあ。」
(そこにあるお盆の上に載ってる○○をまるごと持ってきて頂戴。)
「はいどうぞ。」
「あんたお盆さら持ってきて人の話し聞いてんだか。」
(お盆ごと持ってきちゃって。人の話しちゃんと聞いてた?)
「○○がなんだか分からんもんでなんしょみなさら持ってきただよ。持ってるで欲しいもん取ってやあ。」
(○○ってのがなんなのか分からないからとにかく全部持ってきたのっ。持っているから必要なものを取ってよ。)
「どえらい」と「ばかしんどい」。
共に「とても大変」と言っている。困難だという意でも体に堪えるという意でも使う。
では、どっちの方がより大変に聞こえるか。
言い方・使いどころによっても違うところでありあくまでの一例であるが、まず「えらい」と「しんどい」の使い分けを考えてみると
現在その状況に置かれているという場合
「えらい」は今の状態を考えると先行き不安だという勢い。
「しんどい」は今の時点で余力がないという勢いに聞こえる。
次に「ど」と「ばか」をはめるとどうニュアンスが変わるかという点。
「どえらい」と「ばかえらい」
「どえらい」だと無理と訴えてるような状態と聞こえ
「ばかえらい」だと愚痴っぽい弱音という勢いに聞こえる。
こうしたことから「ど」の方が深刻っぽく聞こえ「ばか」には多少の余力があるように聞こえる。
ちなみに「しんどい」の場合は「ばか」使いがほとんどで「ど」は使わない訳ではないが頻繁に使われる言い回しではない。
こうしたことから、「どえらい」の方が大層感が「ばかしんどい」よりも強いというニュアンスであると考えられる。それと共にそれでもやるとなると悲壮感が「どえらい」には加算される感じがする。
したがって
「どえらい」に対しては「無理すんなよ」とかいう労わりの返答が角が立たず「厭ならやめな」とかいった突き放すような言葉を発すると「鬼」と思われる結果になりがちであろう。場合によっては激励でもいい結果にならない場合がある。
「ばかえらい」に対しては労わりも十分有効ではあるが、「そうゆわすと頑張りない」とかいう激励を発しても問題ないし言い方にもよるが「ほれやりない」とか発破かけても左程悪い事にはならない。
何かをこれからしようという人に対し忠告として「どえらいからやめな」と言うのと「ばかしんどいでやめな」と言うのとでは違うのである。止めるつもりなら「どえらい」を使い馬鹿見るよという程度なら「ばかしんどい」を使うといった使い分けであろうか。
大雑把に訳すとなると「ほいでもねえ」→「ほんでもねえ」→「そんでもねえ」→「それでもねえ」という流れになるだろうか。遠州弁独特という訳でもなかろうが日常よく使われる言い回しであることは確かであろう。
しかしながら「ほいでもねえ」と「ほんでもねえ」とではそのニュアンスが異なる。必ずしもこうなるというものではないが一例としてのニュアンスの違いを挙げると
「ほいでもねえあんた」(そうだけどねえあなた)もしくは(そうはいってもねえ)
取り方は二通りあって、まずはやんわりと(訊いてるふり)ではあるが実のところは訊く耳持たない風な突き放し。きつくな場合は「しいらんやあ」とかが使われる。
もうひとつには歯に物が挟まったような納得してない感が漂う。悟らせるというか自分で気づかせようとあえて明確に言わないという場合にも用いられる。
どちらも一度発言を飲み込んでから発するような印象は与える。
「ほんでもねえあんた」(そうはいうけどねえあなた)
否定・打消しという勢いではないがきっぱりと反論はしている勢いとなる。人の話しを聞きなさいよというニュアンスも多分に加味されている。より強力にしたいなら「なにゆってるよを」。
こちらも話しは一応聞いているが場合によっては発言を飲み込むことなく発する場合がある。
相手の話しの腰を折って発する場合には「ほんでも」という事が多く「ほいでも」の場合は相手の発言は最後まで聞いてからという事が多い。
なお、うちの集落では基本「ほい」は女性言葉である。他の言い方は
「ほいだってねえ」・「ほんだってねえ」。「だ」を「た」とする場合もある。
男表現にしたい場合には
「そんでもやあ」・「そんでもなあ」・「つったってやあ」・「ほんだってなあ」
とかになろうか。どれも色々バリエーションがあるのであくまで一部であってこれだけではない。
ちなみに「そいでもねえ」という言い方は聞いたことがないので存在しないと思われる。
例文
「じゃあわしんこれとこれ持つであんたそっちの方頼むにい。」
(じゃあ私がこれとこれを持つからあなたはそっちの方をお願いね。)
「ほんでもねえ。わしじゃこれまるさら持ちおせんよを。」
(頼むって言われても私これを全部なんて持ちきれないよ。)
「なにも一辺でなくても分けて持ちゃあいいじゃん。」
(なにも一度に全部でなくても分けて持つようにすればいいじゃないの。)
「え~めんどくさい。一度で済ませたいやあ。」
「ほいだって持ってかにゃしょんないだでやるしかありもしん。なんだったら替えるけ?」
(そんなこと言っても持っていかなきゃしょうがないんだからやるしかないでしょう。なんだったら持つのを交換してみる?)
「いやそれは勘弁。」
「だらあ?だでぶ~たれてんでちゃっちゃとやるかあ。」
(でしょう?だから文句言ってないでさっさとやろうよ。)
ニュアンスで訳すと「なんだよ随分だなあ」といったところであろうか。要は誤解や勘違い・見くびられてるとかいう事に対して馬鹿にするなよという意思を表している。感情的には怒りの要素はほとんど無い。
「あれ」はあれこれそれの「あれ」ではなく「あれ松虫が鳴いている」の「あれ」。「あれ」を訳すとこの場合「もう」というのが無難であろうか。「あれ」を「いや」に変えるとマジに憤慨してる事になる。
普通「失礼」は「する・される」ものであろうが「失礼」を「こく」と表現する。これが遠州弁独特なのかは定かではない。もちろん「あれ失礼しちゃうやあ」という言い方もする。「しちゃうやあ」は女性がよく使う言い回しである。ただし当然ニュアンスは異なって「無礼者」と言ってるようなむっとしてる勢いとなる。
「やあ」は「や」とはならない。他にはたまに「よ」・「よう」・「にい」・「でえ」を使う場合もある。これらを使うとよりマイルドな打消しになる。つまり「やあ」だとそんなことはないとおおよそ全面否定で「にい」・「でえ」だとそう言われてもしょうがないかと認めてる部分も多少あるように聞こえる。「よ」と「よう」についてはなんか客観的(人ごとみたいな)という趣が湧くところである。なので「おめえにゆってるだあ」(お前に言ってるのっ)などと言いたくなる事になる。
例文
「あれなによを。定時で帰るのが生甲斐の人がなんでまだ仕事してるよを。」
(おやまあどうしたんだ?定時で帰るのが信条の人がまだ仕事してるぞ。)
「あれ失礼こいちゃうやあ。忙しけりゃそりゃやるさあ。」
(そりゃ随分と誤解があるぞ。忙しければそりゃやるよ。)
「ほんとにけえ。なんかぼけかましたもんで後処理してるだけじゃないのけ?」
(本当かなあ。なにかミスしたもんでその穴埋めしてるだけじゃないの?)
「なんで知ってるよを。」
(何故それを知っている?)
「あれ、図星けえ?」
(おや、図星かい。)