遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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訳は不要であろうが、言い回しが独特なのかなと思って記載。
「おとっさ」と「おっとさ」。これに違いはあるのかという話し。実際のところその違い(意味及び明確な使い分け)はほぼ存在しないと思われるのであるがとにかく捻り出してみる。あくまで遠州弁における普段使いの感覚からくる私見であるのでこの説明が正しいという根拠はない。
「おとっさなにやってるだあ」はニュアンスで訳すと「あのなあなにやってんだよ」といった同格に近いものを感じる。
「おっとさなにやってるだあ」だと「おいおい全くしょうがねえなあ」といったニュアンスで年長だけぞツッコむぞといった勢いを感じるところである。
つまりボケたか?という意味合いで使われるのが「おとっさ」で
しっかりしてくれよボケるにはまだ早いぞという意味合いで使われるのが「おっとさ」であろうかと。
いずれにせよ悪意のある言い回しでは無いことは共通しており、オヤジ」という表現よりも信愛の念を印象させるものである。
例文
「あれ?こんなとこに木なんか植わっとったっけ?」
(おや?こんなところに木なんか植えてあったっけ?)
「こないだ浜北のおとっさ来て植えてった。」
(この間浜北のオヤジが来て植えていった。)
「なんでえ、売れ残りの処分けえ。」
(どうしたんだろ。売れ残りの処分とかなのか?)
「知らんよを。はあだいぶおっとさ化してるであの人のやるこたあよを分からん。」
(知らないよ。もう大分おじいさ化してきてるからやる事が理解できない。)
「う~ひどうことゆうやあ。自分の兄弟だって遠慮無さすぎだらあ。」
「事実だでいいだよ。」
音声はこちら
「体おやいちゃ元も子もないだで、ほんと健康にゃちゃんと気いつけんとかんだにぃ。」注、にぃは語尾上がる
(体壊したら元も子もないんだから、健康には充分気をつけないといけないよ。)
遠州弁では「おやす」は、壊す・不調・病気になるという意味。共通語の痒す(おやす・意味は衰弱させる)になんとなく近いのでその変形か親戚と勝手に想像してしまう。
主に人に対してしか使わない言葉で、物や道具などに対しては普通使われないが、一部の集落では凡ミスで何か壊したりした時「やいやいおやいちゃってえ」(失敗して壊しちゃったよ)という風に使う所もある。らしい。
よく使われるフレーズは「腰おやいちゃかんでやめな」又は「腰おやすでやめな」いづれも無茶するなという意味。
例文
「腰おやいちゃって、重いもん持てんくて、ほんと仕事んならんくてやんなっちゃう。」
(腰痛めちゃって、重いものが持てなくて仕事にならなくて困っちゃうよ。)
「あんまし無理するじゃないにい。無理こいて他んとこおやいたら目も当てられんくなるだで、ちいと養生しんとかんら。」
(あまり無理するんじゃないよ。無理して他のとこまで悪くしたら大変なんだから、少し休んだほうがいんじゃないの?)
「そんなこんいったって代われる奴なんかおりもしんに。納期間に合わせんとかんだもんでえ、休むにしたってそん後だあれ。」
(そんなこと言ったって代わりが居ないんだからやるしかない。納期に間に合わせないといけないから、休むにしてもその後だ。)
「医者には行きなよお。そんぐらいは時間とれるらあ。」
(お医者さんに診て貰いなさいよ。そのくらいは時間取れるでしょ。)
音声はこちら
あらゆる仕事において、最もやる気というか強迫観念をそそるのが納期・期限である。下請けに限らずこれを守る事が美徳とされる日本人の仕事の基本。であるが、「仕事を愉しむ」とはかけ離れてるように思える。達成感があるからいいんだよという人もいるが、ひとつ終ればはいっ次っ!て感じの繰り返しで充実感はどこにあるんだろう、給与明細か?。目先ばかり追って先が見通せない長期的な展望を図る事が日本人は苦手だとしたら、その原因のひとつはこういう仕事振りにあるような気がしないでもない。
とにもかくにも、「体おやさんようにしんとかんにぃ。」これが一番基本。
「おたこいてんじゃねえよ」
冗談ゆうんじゃないよ、といったところか。使い方によって言葉のニュアンスが変わる、或る意味便利な言葉に思える。
「こんのぉ忙しいのに、おたこいてんで仕事しろやあ。」
(この忙しい時に無駄話してないで仕事しなさいよ。)
というように不真面目という意味にも使える。この場合軽くたしなめる感じになる。これを洒落にならない感情的な表現でいうと
「やあ馬鹿っつら。くっちゃべってんでちゃっちゃと仕事せろやあ。」
(おい!無駄口たたいてないで真面目にやれ!)
と、今やってる事を全面否定した上での注意になるので言われた方は立つ瀬がない。
勿論口論として使われる場合ではきつい言葉となる。
「おお?てめえをたこいてんじゃねえぞこの野郎。」
(なんだ?なにふざけたことぬかしてんだこの野郎。)
理屈に通らない事・矛盾した事・自分勝手な事などを意味することになる。相手の言うことに同意できない・聞く耳持たないという意思表示でもあるので、この言葉がでたらキーワードは「衝突」。迫力という点では「さっきから何ごちゃごちゃぬかしとんねんワレ!」には遠く及びませんが、一応喧嘩腰の表現になる。
「ねえねえ○○さんとこの旦那さん浮気しとるだって。聞いた?」
「どこで聞いただか知らんけどそんなおた信じてちゃかんて。」
(どこで聞いたのか知らないけどそんな与太話信じちゃ駄目だって。)
この場合は、でたらめ・根拠の無いいい加減といった意味合いになります。
最近ではヲタクという言葉ができて
「そんなおたこかれてもついてけんよー。」
(そんな専門的なこと言われてもわからないよ。)
というように、ディープな内容と言う意味合いも使われ始めたか。
音声はこちら
幅広い意味合いを持つ「おた」なのでもしかしたら全国的な方言で遠州独特ではないかもしれない。ただし、言葉のニュアンスが全国とは異なるらしく遠州では他愛の無いことであることがほとんどだが、地域によってはいわれの無いいいがかりと捉える地域もあるようなので意味的な部分は遠州弁と云えるかもしれない。
意味は往生した・大変だった・苦労したという意味合いになる。
共通語でも「往生」は立ち往生したとか往生際が悪いとかで使うし「した」が「こいた」になってるだけの表現ではあるが方言チックに聞こえるからあら不思議。
多分愛知から流れてきた言葉なのであろうか。遠州でも使われるというもの。他には「やっきりこいた」・「あったあきた」(頭にきた)がある。
Dr・スランプでの登場人物で王城恋太(漢字自信なし)というキャラが登場してたが、全国的に笑えたのか知りたいところである。浜松ではニヤリと受けていた。恋太の兄弟親戚で王城星矢とか椎也とかがいるかどうかは定かではないがいても不思議じゃないかなと。
余談になるが名古屋話しつながりでいうと「たあけ」(たわけ)が愛知の方では会話でよく出るが、遠州は「馬鹿」・「ばかっつら」があるので「たあけ」は広まっていない。なので「たあけ」と言われると素直に腹が立つ。名古屋の人が遠州で仕事をするような時には「たあけ」は注意が必要な言葉である。