遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
「たたる」。漢字にすると「建たる」。「立つ」や「絶つ」で「立たる」・「絶たる」というかは微妙。決して「祟る」とかいうものではない。
イントネーションは頭高ではなく「たる」の「た」を強く言うものである。
そして正直そのニュアンスをうまく説明出来ない言い回しである。
「家が建たった。」(家が建てられた。)、「そんな金ありゃ家一軒建たるわ。」(そんなお金があったら家が一軒建つわっ。)とかいった使い方をするものである。
「建たりたる」・「建たりて」とかなんてしたら古文っぽい感じがするところで、「り」が促音便化して「っ」になっての「たたった」・「たたって」というものになったのだとしたら、方言というより昔ながらの言い方と勘繰れなくもない。
「たたった」は「建てた」というニュアンスのものであるならば「たたりた」の変と言った妄想がはたらく。
そういう意味では「建たった」を「建った」と訳すとなんかニュアンスが伝わっていない気がしないでもない。
「たつ」という言い方は「雨戸をたつ」(雨戸を閉める)を思い起こさせるものでありもする。
「あそこんさあ知らん間に家ん建たっとった。」
出来てたというか建てられていた。
「あそこんさあ知らん間に家ん建ってた。」
存在してたというか建っていた。
といった違いが感じられる。
「たたった」は「建てられた」とするのが適当と思えるが、的確な共通語が思い浮かばないそのニュアンスを訳すに難しい言葉である。
「たたる」で「建てられる」
「たたす」で「建てようとする」
「たたした」で「建てたせた」(この場合「たたいた」とはならない。)