遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
少しくらい・ほんの少し・それくらいとかいった意味。結構意味的には広く使われる。
「ちいと」は少し・ほんのとか言う意味で、「ばか」は、ばかり・ばかし・くらいとか言う意味で「馬鹿」ではない。
例文1
「おい、わし買い物いかすと思うで、ちっとばかここ店番してくれると嬉しいだけどやあ。」
(ねえ、買い物に行きたいから、ちょっとでいいからここの店番しててくれるとありがたいんだけど。)
「ちっとばかっつっていつもど遅いじゃんか。欲しいもんあるならわし行ってこすにい。」
(ちょっとっていつも遅くなるじゃない。買いたいもの言ってくれれば私が行ってくるよ。)
例文2
「そんなちっとばかひっころんだくらいでひゃあひゃあゆっちゃかん。」
(そんなほんのちょっと転んだだけでわあわあ言っては駄目。)
「ちっとばかじゃありもしんにい。見てみい!皮ん剥けてるし血い死んでるらあ。」
(ちょっとじゃないよ。見てよ。皮が剥けて内出血だってしてるだろ。)
「それっぱかじゃ死にゃせんて。つばつけときゃ直るって。」
「う~どひどいことゆーやあ。ばい菌入ったらどうしてくれる?」
(この薄情者。ばい菌が入ったらどうしてくれるんだ。)
「大丈夫そこんさあ消臭除菌剤撒いてるで。」
「しゃれんならんぞ。」
例文音声はこちら
追記
「ちっとばかいいじゃん。貸してやあ。」
直訳すると「少しくらいいいじゃないか。貸してくれよ。」
この場合の「ばか」は「くらい」・「程」とかいうことになる。つまりここでの「ばか」は「馬鹿」ではなく「ばかし」の略したものであるという事。
「ほんのちっとばか分けてくれんかねえ。」
直訳すると「ほんの少しばかり分けてくれないかねえ。」
この場合の「ばか」は「ばかり」。
「ばかり」(許り){副助詞}で「ばかし」は「ばかり」の俗語と辞書にある。
従って同じ言葉という事になる訳だが上記の例文を
「ちっとばかりいいじゃん。」・「少しばかし分けて」とかにするのは違和感を感じる。
使いどころとしては頼みにくい・言いにくいことを頼む際に発せられることが多い。他所の人からしてみれば「ちっとばか」と聞いた印象はぞんざい・横柄というものであるが頼むごとをする際に下手に出ている事を表現している言い回しなのである。
もちろん「ちっとばかのこんでひゃあひゃあゆうじゃない」といった「些細な」といった意味で使われる事もあり、大したことじゃないだろうという量の多い少ないという意味に限らない使い方をするものである。
「ちっとのこんでひゃあひゃあゆうじゃない」と
「ちっとばかのこんでひゃあひゃあゆうじゃない」とでは
「ちっとのこんで」は些細な出来事でと言ってるのに対し、「ちっとばかのこんで」は器量(了見)が狭いという言ってるというニュアンスの違いが感じられる。