遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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意味を超強引に訳すと「から」。
「行ってくるでね」(行ってくるからね)。
ネットの辞書で調べると
「で」{接続助詞}江戸時代に多く用いられ、原因・理由を表す。活用語、特に助動詞「た」に付くことが多い。…ので。…から。現代語では、くだけた雰囲気での会話に用いる。浄瑠璃、心中二つ腹帯「お暇が出た―、去にまする」。浮世風呂[2]「よく流してくれた―、さつぱりしました」。「ちょっと出かけて来る―、頼むよ」
広辞苑第六版より引用
とあった。
共通語との違いは「だで」という「だ」に付く事も多いのが遠州弁。もっとも「だもんで」の略が「だで」という解釈もあって区別はつきにくいところではあるが。
例えば「あなたが悪いのだから」というのを遠州弁だと
「あんた悪いだで」となる。
でもまあおそらくは古い日本語をまだ普通に使っているということなんだろうな。
「だ」+「で」という解釈があるのなら「だ」+「に」という解釈も当然あってもおかしくない。その際の訳は「だで」が「だから・だので」ということであれば「だに」は「だのに(なのに)」という屁理屈も成立しそうな気がする。ただ江戸で使われていなければそういった根拠はどこにも記されていないだろうからあくまでも想像にしか過ぎないところではある。
例文
「ここんさあにないならあるとこにわし持ち行くで場所おせえてやあ。」
(ここにないのならあるところに取りに行くから場所を教えて。)
「まあちっとあるかどうか探いてみるでちょい待ちい。」
(もう少しあるかどうか探してみるからちょっと待ちなよ。)
「しょろしょろしてると催促くっでちゃっとしまい。」
(とろとろしてると催促食らうから早くしようよ。)
「持ち行くにしたって近かあないだでさあ。」
(取りに行くにしたって近くはないんだからさあ。)
例文音声はこちら
語尾に付く「でえ」ではなく頭に付く「でえ」のお話し。
「それで」と言っている。共通語であろうが使用頻度が高いことに地域性があろうか。「で」と言うよりも「でえ」と言う方が多い傾向が遠州弁にはあろうか。
前の話しに上乗せというか被せるという使い方もすれば話し変わるけどけどみたいな切り替えの使い方としても使われる。「で」だと切り替えの用途に限られる点があって両刀使いの「でえ」がよく使われる理由であろうか。
他には「そんでえ」・「ほんでえ」などがある。「ほれでえ」というかどうかは微妙。
たまに「だもんでえ」の略としても使われる事がある。
疑問形にする場合は「でえ?」となるよりも「で?」となる事が多い。
例文1
「あのさあちっといい?」
「ちょっと待って今テレビ観てるで。」
暫し後
「あ~笑った。でえ、なによをなんかいいたいこんあっただら?」
「はあいいや。何ゆうか忘れたでえ。」
(もういいや、何言うのか忘れちまったよ。)
例文
「あのさあ。」
「なに?」
「明日暇だら?」
「なんで?」
「フラワーパーク行かん?」
「別にいいけど。」
「でえ 車出してくれんかねえ。」
例文音声はこちら
意味使いそのものに方言性はないのだが、話しと話しのつなぎの言葉として遠州弁では非常に重宝されている言葉。別記事で書いた「でえ」のパートⅡ。
印象としては聞きなれない人にとっては「なれなれしい」印象と受けとられかねないが、そういう意識は使ってる側にはない。
小癪な(小難しい)言い方をすれば「で」接続助詞、「活用語の終止形に付く。原因・理由を表す。」という説明がなされている。
「今日はいい天気だ。で、布団干すぞ。」
みたいな。これを遠州弁にすると
「今日いい天気だで布団干すにい。」
となる次第。
「で」と「でえ」とではその意味合いは微妙に異なる。
「で」は「ので」
「でえ」は「から」
したがって「今日天気いいで布団干すにい」という言い方はあっても「今日いい天気で布団干すにい」とかいう使い方は存在しない。
これに「だ」が前について「だで」・「だでえ」とすると
「今日いい天気だで布団干すにい」という言い方が成り立つと共に「今日天気いいだで布団干すにい」という言い方も存在して使い方の幅が広いので重宝であり「だで」・だでえ」が「で」・「でえ」よりも多く使われるところである。
訳すと
「だで」は「だので」(だから)
「だでえ」は「なのだから」
とかになる。
ところで共通語の「でだ」(それでだの略か?)。遠州では「でえ」を使う事が多いので「でだ」の使用頻度は少なめな傾向にある。
例えば「いいで見しょう。」。
訳さば「いいから見せろよ。」。
「いいで」=「いいから」
ということで「で」→「「から」ということになる。
「いいで」のニュアンスは大抵「ごちゃごちゃぬかさんと」といった「とにかく」という勢いが付加される。
で、この「で」→「から」という変化は別に遠州弁固有ではなかろうが頻度とかから考えると遠州弁の特徴ともいえるものではなかろうかと。
「だもんで」は「だものだから」、「先行くで」は「先に行くから」、「そうするでねえ」で「そうするからね」
と挙げればいくらでもといった勢いの頻度である。
「で」を「から」以外にも「ので」と訳せなくもない場合もあるがニュアンス的にはやはり「から」とした方がすっきりくるものである。
例文
「わしじゃ無理だってえ。わからんだもんで。」
(俺には出来ないよ。分からないんだから。)
「いいでなんしょやってみい。」
(いいからとにかくやってみなよ。)
「ほれみい。やっぱできんじゃん。」
(ほらあ。やっぱり出来ないだろうに。)
「ちゃんと説明聞かんかったもんでえ。だもんでうまくできんだにい。」
(ちゃんと説明聞かなかったからだよ。だからうまく出来ないんだよ。)
「聞きたくても説明する人おりもしんに。」
(訊きたくても説明する人いもしないじゃないか。)
「さっきまでいたじゃん。」
(さっきまでいただろうが。)
「知らんよを。今さっき来たばっかだもんで。」
(知らないよ。自分今さっき着いたばかりなんだから。)
「入れ違いんなっただか?」
(入れ違いになったのか?)
「だでさっきからそうゆってるじゃん。」
(だから始めからそう言ってるだろうが。)
例文音声はこちら