遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「破った」というのを遠州弁では
「やぶくった」・「やんぶった」・「やんぶりさった」・「やんぶりくさった」
等々色々種類がある。三河っぽいとこでは意味的には異なるけれど「やぶさりんさった」とかいうのも有り得そう。
「約束をやぶくった」とかいう使い方はしないので実際にある物を「破った」時にのみ使われるものであろう。
それぞれ意味は似ててもニュアンスは当然異なるというものであるが
例えば猫が障子をというのであれば
「ねこんやぶくった。」だと猫の野郎が破りやがったといった「まったくもうしょうがないんだから」といった勢いになる。
「ねこんやんぶった。」だと猫が破ったという「破ったのは猫」という勢いになる。「やんぶいた」という言い方も同じ。
破る意思を持ってたといった故意の勢いが強いのが「やぶくった」。派手に破ったとかいう破き方の程度の違いといったものではない。
「やんぶった」の場合には故意の場合にも使われるし、破る意思はなかったが事故(結果として)で破ってしまったといった場合でも使われる幅の広さがある。
ちなみに「やんぶれた」とすると自然にとか事故でといった意思が働いてのものではない勢いが強くなる。
例
「ねえ、先生。○○ちゃんが廊下の張り紙やぶくったにい。」
これだと故意に張り紙を破いたと報告している。
「ねえ、先生。○○ちゃんが廊下の張り紙やんぶったにい。」
これだと何かの拍子で破ってしまったという解釈と故意に破ったとどちらともとれる。「破れてしまった」のではなく「破ってしまった」というもの。
「ねえ、先生。○○ちゃんがこけたもんで廊下の張り紙やんぶれたにい。」
これは転んだ拍子に張り紙が破れてしまったととれる。
なお、「破られた」を「やんぶられた」とは普通は言わない。「やぶられた」である。「破かれた」を「やんぶかれた」とは言う。
例文音声はこちら
例えば「かやす」。
かえす(返す)と言う意味である。だが単に「え」が「や」に訛ったということではなく「返」+「やす」という表現のような気がしないでもない。
「やす」という表現は他に「おやす」(壊す)・「けやす」(消す)・「燃やす」(燃す)とか云うものなどがある。
例文1
「これおばちゃんちに行ってかやいてきて。」
(これおばちゃんの家に行って返してきて。)
「自分いきゃあいいじゃん。なんであたし行かんとかんよを。」
(自分が行けばいいじゃないの。どうしてあたしが行かなくちゃいけないのよ。)
「あそこんさあ行くと話しん長くなるだで。なんかねいやったいだよを。」
(あそこに行くと話しが長くなるからどうもいやなんだ。)
「そんなの知らんよを。」
(私の知ったことじゃない。)
「あっそう。ならええよ。そんかわしん晩御飯作るの遅くなったって知らんでねえ。」
(ああそう。ならいいよ。その代わり晩御飯作るの遅くなっても知らないからね。)
「しょんないやあ。わかったよ。かやしいいきゃいいだら。置いてくりゃいいだね。」
(しょうがないなあ。分かりましたよ。返しに行けばいいんでしょ。置いてくればいいんでしょ。)
「たのむにい。」
(頼んだよ。)
例文音声はこちら
「頭やってきた」
意味としては床屋さんに行って散髪してきたと言う意味になる。「頭をきってきた」という表現もある。
あくまで「やってきた」・「きる」とかであって、「やった」・「きった」となると共通語と同様頭を痛めた・怪我したとかいう意味になる。
散髪話しは結構あって、「頭をきる」というのは髪を切ると言う意味になり、遠州では頭=髪という表現が多い。共通語でも「頭をまるめる」という表現があるので独特な表現と言うより昔の言い回しが遠州には残っているともいえるのではないかと想像される。
床屋さんの呼び名も、男が行くのは床屋で女性が行くのが美容院と昔は呼ばれていた。もっと昔は美容院を「パーマ屋」と呼んでいた。最近では美容室・理髪店など色々あってだんだんと呼び名が変化してきている。
例文1
「こんの忙しいときにあんたどこ行ってたよー。」
「頭やってきた。さっぱりんなったらあ。」
例文2
「ちょっと行ってくるでねー。」
「どこいくよお。」
「パーマ屋の○○ちゃんち。」
「なによをあたまやりいくだか。こないだいったばっかじゃんかあ。」
「○○ちゃんの誕生日だもんで行ってお呼ばれしてくる。」
「いやだやーあんた手ぶらで行く気?」
「気いつかわんでっていわれたもん。」
「そおゆう訳にゃいかんの。ホントに気い利かんで困るやー。」
例文3
「おめえよお見てるこっちまでうっとおしくなるだで頭きってこいよエエ加減にぃ。」
「行く暇ありもしんに。仕事ばっかさしてえ。」
「休みの日に行きゃあいいじゃん。」
「そんな体力残っちゃいんわあ。」
例文音声はこちら