遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
「そろそろ行こうか」と言っている。「いかまい」は別の記事で説明しているので今回の味噌は「ぼちぼち」。れっきとした共通語ではあるが辞書等にある説明と若干異なる部分があって多少方言の要素がありそうだと思って記載。
「ぼちぼち」を辞書で追うと
「ぼちぼち」{副詞}・(方言)ぼつぼつ。とある。どこの方言なんだろう。
「ぼつぼつ」{副詞}①小さな点・穴があちこちにある形容。②(急速にではなく)少しずつ事が行われる形容。とある。「そろそろ」というよりも「そろりそろり」の方が近いニュアンスのように思えてくる。
昭和の辞書にはかくの如く「ぼちぼち」は方言としてあるが、現代のネット辞書等には方言であるという表記はなくなっている。ということは現在では共通語に昇格した言葉ということになるのかな。
それにしても「ぼちぼち」に「ぼつぼつ」の①の意味使いなんてあるんだろうか。
例えば「そこらはっちょうに穴ん凹ぼちぼち開いてる」みたいな。
遠州ではそんな使い方滅多にしないぞ。と。普通は「ぼこぼこ」だものな。
それになんだろう「少しずつ行われる」という意味合いの「まあ、ぼちぼちやるでえ」とかの「そろりそろり」はもちろん言うのだが今回のお題の「ぼちぼちいかまい」(この状況は)もういいだろう、だから行こうよといった意味合いの「そろそろ」的なニュアンスが遠州弁の使い方であるがそれは辞書の説明の中にはない。
だがそういう「そろそろ」という意味合いはネット等の現在の辞書には書かれてあるところもある。
ということは、昭和の頃は「ぼちぼち」は方言でその意味使いは独特なものであったが現在は遠州での使い方が浸透して全国的な言葉となって共通語に昇格したという勘繰りが思い浮かぶところである。
もっとも関西地方の方言と謳われてるところもあるので遠州弁だと言い張る根拠もないのであるが、だがもしかしたら他の地域の人には遠州弁での「ぼちぼち」のニュアンスは伝わっていない場合もあるやもしれぬ。
ちなみに関西風の「儲かってまっか」・「ぼちぼちでんなあ」とかいう「まあまあ」という意味合いの使い方は遠州ではしない。聞く限りでは意味は通じるが話すことはない。遠州では「もういいだろう」というニュアンスでの「そろそろ」の意味使いと「そろりそろり」(のんびり焦らず)という意味使いのものが殆どである。
「三分経ったではあぼちぼちいいらあ」(三分経ったからもうそろそろいいだろう)
ちなみに「そろりそろり」という意味合いでの「ぼちぼち」と似たような言葉には「とろとろ」・「しょろしょろ」などがあるが、これらは自覚がない事が多いもっさり(のんびり)であるが「ぼちぼち」には意識(自覚)してという感じに受け取れるという違いがある。
例文
「はあいいらあぼちぼちいかまい。」
「今休んだばっかじゃん。」
「あんた時計止まっちゃいん?日が暮れちゃうにい。」