遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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こぞむ・こどむ・こずむ。「こずむ」は辞書にある共通語だし競馬用語にもあるのだが「こぞむ」・「こどむ」は辞書にないので方言か俗語扱いかのどっちかであろう。遠州弁と言い切れる根拠もないのだがネットで調べる限りでは「こぞむ」と「こどむ」は遠州人しか発していないようだ。
「こぞむ」と「こどむ」は境界線が非常に曖昧で同じ言葉が集落によって変化した可能性もあるのといやいややはり別の言葉である可能性もあるというどちらもありえてはっきりしないのだが、あえて違いを捻り出すとしたらば(あくまで私見です)
「こぞむ」は例えるなら粉末ジュースを水に入れただけで掻き回していない状態。本来混ざりあっていてこそのものが分離してる状態で、下に沈殿してる部分を指す。「もっとちゃんとかきまぜない。下んとこにまだこぞんでるじゃん」
「こどむ」は例えるなら沼の水。混沌とした状態。「水がこどんでて底がよを見えん」。空気の循環が良くなくて息苦しいような時に「やあ空気こどんでるで入れ替えまい」などと換気を促したりとかで使う。「こぞむ」が「沈殿」だとしたら「こどむ」は「停滞・蔓延」といった体か。共通語であれば「淀む・澱む」(よどむ)もしくは「濁る」。
「こずむ」は「偏む」と書ける共通語。①心が明朗さを失う。②競走馬の筋炎や筋肉痛で歩行がぎこちない様を指す。③大勢が一か所に集まる。とネットの辞書にある。
地域性があるとすると、例えば異物がこびりついた様。膝をぶつけて血が死んで(内出血して)治るにつれて当初広くあおたん状態になっていたものが消えていく中でなかなか消えない(治らない)という部分を指す。とかを「こずんでる」と表現するとか。「大勢」というワードには当てはまらないが溜まる・おかしいという意味では②か③の意味使いに近いか?①の意は使わないなあ普通は「へこむ」を使うよな。
ちなみに「こづむ」だと古語辞典に①かいこづむ(つまづいてうずくまる・傾く)。②(肩などが)こる。とある。漢字は当てはめられてはいなかったので「こづむ」=「こずむ」(偏む)かどうかは定かではない。
繰り返すが「こぞむ」と「こどむ」の使い分けは非常に曖昧で上記に挙げた例を入れ替えても違和感がないくらいである。特に使い分けをしている訳でもないので同じ言葉が地域によって言い方が変わっているだけという可能性もある。私らんとこでは「こどむ」を多用していたのかもしれない。
「こずむ」については明らかに異なる言葉であり、たまたま音が近いということであろう。
意味的にも違うものであるがそれ以外にも「こぞむ」・「こどむ」は物に対してで「こずむ」・「こづむ」は人や動物に対して使うという相違点が感じられるところである。
例文
「見舞きたにい。どうでえ調子わあ。」
(見舞に来たよ。調子はどう?)
「いやあ大分よくなっただけえが、まだ足とかこずんでてはっきしせんだよ。」
(それがさあ、大分よくなっては来ているんだけどまだ足の辺りに違和感があってすっきりしてないんだ。)
「なんもしんと寝えってばっかでいるもんでだらあ。なんか部屋の空気がこどんでる気がするだで、それも良くないじゃないのけ?薬わあ。」
(なにもしないで寝てるだけだから治りが遅いんじゃないの?それとなんかこの部屋空気が良くない気がするからそれも原因なんじゃないの?薬は飲んでるの?)
「医者くれるもんで飲んでるよ。でもこれがさあ水に溶いて飲む奴なんだけどうまく溶けんですぐこぞんでこれが飲みにくいだっ。」
「口ん入れて後で水飲みゃいいじゃん。」
「それやるとすんげえ粉っぽくてむせるだよ。」
「まあなんしょ早くよくなってね。」
「うんありがとね。」
例文音声はこちら