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遠州弁の箱

遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります

そんなもんいちいちおぼえちゃいんにい

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そんなもんいちいちおぼえちゃいんにい

意味的には特に説明するところはないのだが、よく使われる表現なので記載。

訳すと「そんな細かい(どうでもいい)事なんか憶えてないよ」

より強めの表現だと

「そんだだもんいちいちおぼえてすかあ」「んなもんいちいちおぼえてるかあ」

とかがある。「そんなもん」を「んなもん」と略す場合もあり、そういう場合イントネーションが変わるが意味は同じ。要は憶えてないなあというニュアンスである。

別な表現で「そんな細かい(どうでもいい)事憶えてないといけないの?」という場合は

「そんなもんわざわざおぼえてにゃかんだけえ?」

となる。この場合には「いちいち」でも「わざわざ」でも構わないのであるが、「そんなもんわざわざおぼえてちゃいんにい」という表現はあまり聞いたことがない。

「わざわざおぼえる馬鹿どこにいるよー」

も大体同じような意味で使われるが、これだと憶える必要がないだろうという開き直り的なニュアンスが強めになる。

例文

「きんのうの晩なに喰った?」

  (昨晩は何食べた?)

「そんなもんいちいちおぼえちゃいんにい。なんでえ。」

  (そんなのいちいち憶えてないよ。それがなにか?)

「いやね、ボケの始まりはこいうとこから分かるだってやっ。」

  (いやね、ボケの始まりはこういう所から分かるんだってさ。)

「なに喰ったかなんてわざわざ憶える馬鹿どこにいるよー。昔っからおぼえちゃいんわ。」

  (なに食べたかなんて憶えておこうなんて普通思わないだろう。若い時分から憶えてなんかいないよ。)

「つーこたあがんこ前からボケてたっつうこんだいね。」

  (ということは随分と前からボケが始まってたってことだね。)

「いってくれるじゃんかあ。自分わあ?」

  (言ってくれるじゃないか。そういう自分はどうなのよ。)

「心配すんな当然思いだせんのっ。だで仲間でえ。」

  (心配しないで俺も当然思い出せないよ。だから同じだね。)

「なんかむかつくだけど。」

「気のせい気のせい。」

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