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遠州弁の箱

遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります

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「どうするだ?買うな?」

「どうするんだ買うのか?」と言っている。

「どうせすな?買うな?」という言い方も有り得る。

この「な」という言い方。問いかけを表わす疑問形のみではなく

「そういうもんな」(そういうものさ)

共通語だと「あいつの事だから絶対そういうもんな」といった風に使われ「そういうからな」といった意味使いとなるところであろうか。これが遠州弁だと「まあ世の中そういうもんな」という風な使い方になる。

辞書には

「な」{終助詞}①相手に何かを禁止する事を表わす。「動くな」②気安く付き合える相手に対する命令を表わす。(ぞんざいな表現)「やめな」③自分の主張・判断などを相手に納得させたり自分で確認したりなどする気持ちを表わす。「そうは思わないな」④何らかの実現を心から望む気持ちを表わす。「早く来ないかな」⑤直接的な感動を表わす。「うれしいな」⑥自分の言葉を相手に納得させようとする気持ちを表わす。「お前な」⑥は男性が使う・③~⑥は「なあ」ともなる。とある。

ここで述べてる「な」に当てはまらないのは①・②・⑤、禁止でも命令でも感動でもない。微妙に異なるのは④。というか遠州弁は「なあ」とはならない事が多いので近くはあるが一致するものはないということになる。一番近いのは⑥であろうか。ただし遠州弁は男女共に使うところが異なる。

古語辞典には

「な」{終助詞}①自己の意思・希望を表わす。・・・しよう。②他への勧誘・期待を表わす。とある。

辞書よりも古語の説明の方が遠州弁の「な」と一致するところである。②の場合が疑問形という形になるのであろう。①の意味については押し付け的な意思・希望という印象が遠州弁では強いところが幾分異なるところではあろうが。

「のか」を使うよりも「な」を使う際の理由は「のか」は問うているとか確認してるという勢いでありできればこうなって欲しいという勧誘・期待を込めたいから「な」を使うのであろう。

「の?」に置き換えるという手もあるかな。しかしこれだと辞書・古語辞典にある意味からは外れて意思の確認という勢いになり期待という意味合いが抜けるから近くはあれど同じではないといえるかもしれないところである。

つまり「の?」も「のか」も=「な」という訳ではなく「な」は別物ということであろう。したがって、共通語に訳すとなると「のかな」・「のかい」辺りとした方がニュアンスとしては近い事になる。

他に、変化として「な」+「い」で「ない」という表現との関連性が生まれてきそうでもある。「い」は軽い命令表現。

なので「買うな?」(買うのか)の場合は「買いない」(買いなよ)という風に変化してくると考えられる。例としては「これ買うな?いいじゃんそうしない」(これ買うのかい。いいんじゃないの?買いなよ)といったもの。

共通語で「買いな」だと「な」は辞書の意味の②で命令であるが、遠州弁での「な」は古語辞典での①で命令程に強いものではなく「ない」とすることで希望+命令で要望というニュアンスになるのであろうか。強要度でいえば

「買うな?」<「買いない」<「買いな」

といった感じであろうか。

別な点からの考えとしては「だ」に置き換えても成立するという点。

「どうするだ?買うだ?」

しかも「ない」という言い方と同じように「だい」という変化も存在する。

だからといって必ずしも「な」=「だ」と言い切れるものでもなく

共通語における

「よし決まりそれ買いな(ね)」(「そうだよな」の「な」とおんなじ)と「よし決まりそれ買いだ」というニュアンスの違いみたいなものが遠州弁にもある。

近い言葉ということで同じという事ではなさそうである。ただし遠州弁ではその違いは共通語よりも微妙過ぎて普段遣いにおいてはどっちを選択してもニュアンスの受け取られ方の違いは感じない。

後は、「ね」に置き換える事は出来るのか。

先の例文にもあるように「よしそれ買いな」というのを「よしそれ買いね」とする事には違和感は生じない。

「ね」の変化で「ねえ」と江戸風味な言い回しもあるであろう。

もしかしたらこれが一番「な」に近いのかもしれない。あくまで個人的な意見。

というかそもそもこの「な」が遠州弁なのかどうかも微妙ではあるところではあるか。古い日本語の生き残りと考えた方が無難だよな。

追記

「どうするな?行くな?」

これをニュアンスを変えずに共通語に訳すとなるとなにが当てはまるか。

非茶飯事としたのは基本として年齢的に高い人が発するものであるから。

駄菓子屋でおばちゃんがガキに向かって

「どうするな?買うな?10円だにい。」

とかいう風に使われるものである。

以前「な」・「な?」=「ね」・「ね?」としたところであるが。

「どうするね?行く(か)ね?」

「ね」以外にも当てはまる言葉がないか考えてみる。

遠州弁同士なら「な」・「な?」=「だ」・「だ?」が成立する。

「どうするだ?行くだ?」

共通語でということであれば「な」と同じニュアンスがあるかと考えてみると

「の」で「どうするの?行くの?」。

この場合「の」の方が「行くのか行かないのか」と詰問口調で強めに聞こえ促すといったものではないのでニュアンスとしては別物とはなる。が、置き換えにおいて違和感は生じない。でもやはり「な」=「の」は無理そうだ。

「か」で「どうするか?行くか?」

この場合のニュアンスの違いは答え方の違いで判ろうか。「行くな?」だと「行かすかな」(行こうかな)と答え「行くか?」だと「うん行くとするわ」とかになる。「な」だと意識を問うている勢いで「か」だと行動を問うている勢いみたいな差があろうか。「どうするつもりだ?」というのが「な」であり「どうすんだ?」というのが「か」であろう。したがって「な」=「か」とは言い難いと思える。

じゃあ合わせての「のか」で「どうするのか?行くのか?」

問いただしている勢いが強く尋ねるからはより外れるところである。

埒が明かないので辞書を引いてみる。そもそも「な」ってのはなんだと。

古語辞典での「な」

終助詞で①自己の意思・希望を表わす。②他への勧誘・期待を表わす。

での②の説明が「か」と「な」の違いに当てはまるのかな。尋ねてはいるけど暗にこうした方がいいんじゃない?って言ってるようで。

国語辞典でも「な」は説明があるが

「な」{終助詞}自分の主張・判断などを相手に納得させたり自分で確認したりなどする気持ちを表わす。何かの実現を心から望む気持ちを表わす。自分の言葉を相手に納得させようとする気持ちを表わす。

などとあるが、ここまで強い要望っぽくは無いので国語辞典での「な」と遠州弁の「な」はニュアンスが違う気がする。

つまり「な」を使う効能は「こうした方がいいと思うよ」というニュアンスが暗に籠もっているものであろうか。それは決してお仕着せなものではなくて忠告的なものかと。

単に尋ねるとか聞く及び直接的な要望・説得というものでは「な」には置き換えられないのかもしれない。

別の言い方をすると遠州で使われる「な」は

共通語の「行きな」の「な」ではなく

関西風の「行きいな」での「な」であろう

(ただしこの場合遠州では「行きない」と「な」と「い」の順は逆になるが。)

色々書いたが結局今のところの結論としては、「ね」くらいしかやはり思いつかない。ということで無駄足の記事であったとさ。やれやれ。

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