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遠州弁の箱

遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります

へっこむ

「へこむ」。「へこむ」と「へっこむ」とでは使い分けがなされている。

全国各地で使われている言い回しで遠州弁というものではないが遠州でも使うよという事で記載。男女共用。

例文

「やあ狭くて通り抜けれんやあ。」

  (も~狭くて通り抜けれないよ。)

「腹ん当たってるだらあ。おもいきっさへっこまさんもんでえ。」

  (お腹が当たるからだろ。思いっ切りへこまさないからだよ。)

「さっきいからやってるよ。でも駄目でえ。」

「んじゃここ通るの諦めて一旦外出て裏から廻ってきい。」

「んな面倒なら はあ わし いいわあ ここで待ってる。」

「時間かかるにい。そこじゃさぶいらあ。」

「いいよ あそこんさあのへっこんだとこに居りゃあ風来んで。」

  (大丈夫だよあそこの窪みのところに居れば風来ないから。)

「かきこむ」を「かっこむ」とか「やはり」を「やっぱり」とか変化させて粗野な勢いを増すみたいな使い方をするのと同じであろうが「かきこむ」=「かっこむ」・「やはり」=「やっぱり」と違って必ずしも「へっこむ」=「へこむ」とは限らない。

「落ち込む・気分がへこむ」・「相手をへこます」とかいう眼に見えないような場合に対しては使わないので「失敗して気分がへっこむ」・「相手をへっこます」みたいな言い方はしない。「へっこむ」の遠州での使いどころとしては「ど重いの落ちて床がへっこんだ」みたいな目視できるものに対して使われる言い回しである。つまり「へこむ」は万能だが「へっこむ」はその用途は限られているということである。

似たような言い方で「ひっこむ」というのがあるが「ひっこむ」という言い方との違いは「てめえはひっこんでろ」とかいうのを「てめえはへっこんでろ」とかになることはない。

「お腹がひっこむ・お腹がへっこむ」ということであれば「ひっこむ」は元に戻るみたいにで「へっこむ」は外圧的(無理繰り)にという勢いという違いか。「へこます」はあるが「ひこます」はないということである。

「引っ込み思案」という言い方はあっても「へっこみ思案」という言い方はしない。まあ当然か。

「へっこむ」はその部分が穴が開く程ではなくかといって明らかに元の状態ではないような時に使われる言い回しとして遠州では使われている。それともうひとつ「窪む」(穴ぼこ)というニュアンスでも使われる事がある。

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