遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「ああAさん御免!わし今から買い物いかんとかんだわあ。」
(あらAさん御免なさい。私今からお買い物に行かなくちゃいけないの。)
「なに買い行くよう。」
(何を買いに行くの?。)
「果物でも買いいかすかと思ってえ。ちょっと街まで。」
(果物でも買おうかと思って、街まで行こうかと。)
「ほいたらやあ、悪いだけどついででちっと頼まれてくれんかねえ。」
(それだったら、申し訳ないんだけど、ついでに少し頼まれてくれない?)
「なにをよう。」
(なんですか?)
「いやねっ、こないだねっ、うちらにって、Yさんがもらいもんくれたじゃんねえ。ちゃんとお礼しんとかんと思ってただけどさあ、Yさん最近顔見んもんでどうしただと思ってたらさあ。それがさあ、あんた体おやいてF病院に入院しただって。」
(Yさんからこの間頂いた物があったでしょ。そのお返ししなくちゃと機会を窺っていたんだけど、当のYさんの顔を最近見ないからどうしたんだろうと思っていたんだけれど、体調崩してF病院に入院したんだって。)
「うそ~ホントにい?先々週だか遭ったけど元気そうだったにい。いつ入院しただって?」
(本当ですか!先々週ぐらいに遭った時は元気に見えたよ。いつ入院したんだって?)
「昨日聞いただよ。今週入ってすぐだって。だもんで世話んなった分まだお礼しとらんもんで、あんまし付き合いないだけど、お見舞いいかすかと思ってさあ。」
(昨日聞いたの。今週の頭に直ぐにだって。だからお世話になった分のお礼をね、まだしてないから、あまり親しい訳じゃないけれど、お見舞いに行こうかと思って。)
「どこん悪いだって?」
(どこが悪いのか聞いてるの?)
「それが知らんだよう。Sさんからだもんで根掘り葉掘り聞けんらあ。」
(知らないのよ、Sさんに教えて貰ったんだけどあの人に細かいこと聞けないでしょ。)
「そうだいねえ。Sさんじゃねえ。じゃDさんにも声掛けて皆で行く?」
(そうだよねえ、Sさんじゃねえ。それじゃあDさんにも声を掛けて皆で行こうか。)
「みんなだと大袈裟だと思われて厭だらあ。わし一人で行くでええよ。」
(大勢で行けば大袈裟い思われて厭じゃない?私一人で行くから。)
「ほうだねえ。ま、その方がいいか。ええよ。じゃ車だで籠盛りさら買ってくるわ。」
(そうだねえ。まあその方がいいか。わかった、私車で行くから籠盛りごと買ってくるね。)
「わるいやあ。じゃお金。」
(申し訳ない。それじゃ代金。)
「あれえ、わし出しとくで良いって。お見舞い行かん分あんたに迷惑頼むだで。」
(厭だわ奥さん、私が払うから。お見舞い行かない分奥さんに手間かけちゃうんだから。)
「そう言い訳にいかんてえ。ほいじゃちゃんと分けよっ。」
(そういう訳にはいかないでしょう。それじゃあきちんと割ろうか。)
「そしたら、うちらだけじゃなくDさんとこにも声掛けとかんとかんらあ。」
(それなら、私達だけじゃなくDさんにも声掛けておいたほうが良いんじゃないの。)
「あ~そうだねえ。はぶせにしたって言われちゃうもんねえ。」
(ああ、そうよね。除け者にされたって言われちゃうからね。)
おっかさ連中の、立ち話から用件に移った時の会話。貰い物のお返しとお見舞いを一緒にして一度で済まそうという魂胆と、病名を知りたい好奇心に満ち溢れたお話し。
「篭盛りさら」は(篭盛りごと)。「まるさら」だと(全部・まるごと)という意味。「はぶせ」は(除け者のけもの)。「行かす」は(行こう)・「行かすか」だと(行こうか)。「声掛けとかんといかんらあ」は(声を掛けておかないとまずいでしょう)。「わるいやあ」は(すまないねえ)。「あれえ」は(何言ってるのよ)。イントネーションはA・re・e。