遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
「ほかす」の記事で述べた意味の日常での実用編。結構頻繁に使う。
直訳すれば、放置しておけばいい。だがこの解釈だと微妙に違う。今やってること(やろうとしてること)はとりあえず後回しにして別のことをして欲しいときとかに使われる表現が「ほかいときゃええだ」である。「ほっときゃいいだ」もほぼ同様に使われる。が、手を出すな、つまりまだ手をつけていない状態でいう場合が多いので、多少の意味合いの違いはある。
変形というか似たような表現では「うっちゃっときゃいいだ」がある。こういう場合の「ほかす」には後回しにするニュアンスであり、「うっちゃる」だと文字通り捨てる・しないとかいうTHE END 的なニュアンスになる違いがある。
作業や仕事で使うような場合、「ほかいときゃええだ」は優先順位を下げろと言う意味で、「うっちゃっときゃいいだ」には誰か他の者がやるだろうからという意味合いで使われることが多い。
尚、「いいだ」と「ええだ」は使い道に差はなく言う人の好みの問題なので、どちらでも構わない。
共通語的に「後にしろ・後回しにしろ」という言い方だとストレート過ぎてきつい言い方と遠州人には判断される。
例文
「やあ、荷物きただで、搬入手伝えやあ。」
(おい。荷物到着したから搬入手伝え。)
「だってわしやりかけで手えはなせんよお。」
(いやしかし、私の仕事やりかけで手が離せないんですけど。)
「そんなのほかいときゃいいだ。先んいごかしとかんと他んの身動きとれんくなるだでえ。」
(そんなの後回しにしろ。先に移動させとかないと他の物が動かせなくなるんだから。)
例文音声はこちら
ちなみにこの例文で「ほかいときゃいいだ」ではなく「うっちゃっときゃいいだ」としてしまうと「どうでもいい仕事」とかに受け取られるので禍根を残すものとなってしまう。