遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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1「やっちゃっていいだかいねえ。」
(始めちゃうのはいいのかなあ。)
「ええらあ。」
(いいんじゃないの?)
2「やっちゃっていいだかねえ。」
(始めちゃっていいのかなあ。)
「ええじゃないの?」
(いいんじゃないかな。)
3「やっちゃっていいかいねえ。」
(始めていいの?)
「ええよを。」
(もちろん。)
1と2はOKの断を下すのは別の人で会話の相手に許可の権限がないことが多く、3は「いい」と言った人が権限を有していてOKを出してることが多い使い方。
「だ」と断定してるような表現が含まれていてもそうでもないところが味噌か。
4「やっちゃっていいだ?」
(始めていいのか?)
「ええだ。」
(いいさ。)
この場合両者共にどちらとも取れる。つまり了承を得ているのか同調を求めてるのか。答えた方も同様に了承してるのか同調してるのかどっちにも取れる。
「だら」と「だらあ」は違う。
単純に「そうだろ」・「そうでしょ」(そうだら)と「そうなんだろ」・「そうなんでしょう」(そうだらあ)といった言い切りと予測みたいな違いだけでない。語尾が上がるとまたニュアンスが変わってくる。
「だら」の以前は「づら」がよく使われていた。同じように「づら」と「づらあ」の使い分けというのが存在してた。
例文
「こんど暑いだにおめえあんまし汗かいちゃいんじゃん。そうゆう人なの?」
(この暑いのに君はあまり汗かいてないねえ。そういう体質なの?)
「おめえがかきすぎなだけだらあ。」
(君が掻き過ぎなんだよ。)
「なんでこんな違うだいね。」
(どうしてこんなに差があるんだろ。)
「暑いつってひゃあひゃあ言いながらばかばかいらんけにがんこ水呑むもんだでだあだあに汗だらだらんなるだらあ。」
(暑いからってぶつくさ言いながらこれでもかというくらい余分に水を呑むから汗が大量に吹き出るんだよ。)
「はあシャツべっしょり汗べっとりでえ。あれ、あそこんさあ見てみいや子供がプールで遊んでるにい。涼しそっ。わしもこのまんまプールばしゃんと入りて~。」
(もうシャツが汗でびっしょりでべとべとしてる。おや?あそこ見てみなよ。子供がプールで遊んでらあ。涼しそうだなあ。俺もこのまんまプールに飛び込みたい。)
「話し替えるなっつうに。まあそおゆうこたああれでえ、ほんだったらなんしょあれでえあと半年我慢しないそうすりゃだんれもプール使っちゃいんでおもいきっさ使えるにい。」
(話しそらすなって言うの。でもまあそういう事だったらあれだよもう半年我慢すればいいよ。そうすれば誰もプール使ってないから気兼ねなしに入れるよ。)
「今すぐっちゅうわけにゃいかんだかや。」
(今直ぐって訳にはいかないかな。)
「まあ、それすりゃあ警察エアコン効いてるかもだで、とんまさって精神両面ひゃっこくなれるだらなあ。」
(まあ、そんなことしたら警察エアコン効いてるかもしれないから、捕まって心身ともに冷え冷えとなれるだろうなあ。)
例文音声はこちら
辞書だと「しつこい」しか載っていないので、「ひつこい」は方言ということになるのだろうか。遠州では個人差がありどちらが多く使われるかとかいうのは判断できないが「しつこい」の使い手の方がうちの集落では多い気がする。
使うとなれば「ひつこくせまる」(執念深く迫る)などという風に使うのであるが「ひつようにせまる」の場合(必要に迫る・執拗に迫る)とどっちにもとれるのがちとめんどくさい。ま、「ひ」が「し」に訛っても同じことだが、遠州では「日傘」を「しがさ」という人はあまり聞いた事ないので「ひ」が「し」へと訛ることは多分個人的にはそうないであろうと思っている。
例文
「もうおんなし事ばっかだで飽いた。ホント馬鹿ひつこいで厭。」
(もう反復ばかりで飽きた。しつこくてもう厭になった。)
「まあそういわすとお。習うに高い金払ってんだから憶わんと損じゃん。」
(まあまあそんな事言わないで。習うためにせっかく高いお金払ってるんだから覚えないともったいないでしょ。)
「だからっつって基本ばっかさすなら部活と変わりもしんに。」
(だからといって基本ばかりやらせるなら部活と変わりないじゃないか。)
「応用ばっかじゃ上手くなりゃせんだもんで我慢しない。」
(応用ばっかりじゃ上手くはなれないんだから我慢しなさい。)
「ちっとばかの こんだで ひゃあひゃあ ゆわんとを なんしょ あんた まるきし やりもしなし ちゃっと 飛んで戻って 来ちゃあ おえん でねえ。」
方言で遊ぶには全く独自の言葉を繋げてなんのこっちゃいとちんぷんかんぷんにさせる手と、言葉そのものは共通語と同じだが意味が異なるために大きく誤解を招くのを楽しむ手と二通りあるような気がする。
冒頭の文章は前者の手合いの文章。
訳
「ほんのちょっとの間のことなんだからそんな文句言わないで。とにかく、全くやりもしないで直ぐ急いで戻って来たら駄目だからね。」
「駄目」を「許さない」にする場合には「おえん」を「ぶっさぐる」に替えればよい。
後者の手合いの文章例だと
「ばか信じれん。いっつも わざとに いれこにしてけつかるだよ。ひょんきんだらあ。」
共通語としてそのまま解釈すると
「馬鹿は信じられない。いつもわざといれこにしてけつかるんだ。笑っちゃうだろ。」
とかになるんだろうか。当然意味不明である。
実はこう言っているという訳
「もう本当に信じられない。いつもわざとあべこべに入れていきやがるんだ。随分じゃないかって思うだろ?」
「馬鹿」についてはまあイントネーションが違うので遠州人同士が勘違いすることはない。
例文音声はこちら
例えばアホという意味使いの馬鹿は共通語と同じ「ばか」だが度合いを表わす場合平坦に「ばか」もしくは「ばか」となる。
後者のパターンで言葉遊びが出来れば遠州人の方でなくとも楽しめるであろうとは思うのだが、なかなか例文が浮かんでこないのが辛いとこではある。
それと、いつか音声合成ソフト扱いこなせるようになれたら音声つけた記事に過去の記事も全部直してみたいものだが如何せん金も知識もないところも辛いところパート2である。
みてくれ・みばは共通語だし特に遠州独特の意味使いをしている訳ではないのだが、遠州弁での使い方ではどう使われているかということで。
「みてくれよをせんと」という言い方は殆どしない。
「みてくれよくしんと」・「みばよくせんと」・「みこよくしんと」これらはどう違うかというと。
「みてくれ」はとりあえずな一時的な表面上の取り繕いという印象の度合いがより強い。
「みば」は「見映え」(実質に関わりなく見た目によく見えること)と似た意味使いの場合と「見場」(見た瞬間に人に与える印象)という意味使いの場合の二通り考えられるので厳密には一概にこうだとは言い切れないのだが、「みてくれ」よりは一時的な印象は薄くなる。どちらも外見を指す場合が多い。
「みこ」は気に入られる・好感度が高いとかいった本人の内面的な資質の問題なので見た目の印象だけではない部分を指す。
例文
「あんたねえ、街出るにそんななりで行くだか?ちったあみばよくしんと恥ずかしいにい。」
(ちょっとぉ。そんな格好して街中に行くの?少しはおしゃれしてかないと恥かいちゃうよ。)
「みてくればっかよくしたってしょんないじゃん。」
(変に気張ってもしょうがないでしょ。)
「だからっつって野良仕事のまんま みたいなじゃ かんらあ。」
(だからって畑仕事してきたみたいな装いじゃあどうかと思うけど。)
「失礼こいちゃうやあ。よそいきだに一応。」
(酷いこと言うなあ。これでも一応外出着なんだけど。)
「そうけえ。いつもと変わらんくめえるけどやあ。」
(そうなの?普段と変わらないように見えるんだけど。)
「悪かったやあひんしょったくてえ。」
(根がみすぼらしいんで紛らわしくてすいませんね。)