遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「どうせ売りゃせんだらあ」(どうせ売らないんだろ)
「どうせ売りゃせんらあ」(どうせ売らないだろう)
「だ」は共通語でもある、事柄を肯定出来ると認める判断を表わす言葉。これが入ると入らないでは大きくニュアンスが異なる。
「だら・だに・だもんで・ほい・ほれ・やあ」が遠州弁の特徴と言われているが
正確には、「だ+らあ・だ+にい・だ+もんで」であろう
なので「だ・らあ・にい・もんで・ほい・ほれ・やあ」と呼称する方があってるのかもしれないという私見を持っている。
で、話しを戻すが、「だら」は確信で「らあ」は予測というニュアンスであろう。共通語にすると「だろう」と「じゃないの」といった違いだらあ。
ただし「違いだらあ」(違いだろう)を「違いらあ」(違いじゃないの)とは言わないのでこの説明は不十分ではある。ちなみにこういう場合は「違いじゃないのけ」と言うことが多い。
例文
「こんだの日曜行かす?」
(今度の日曜行こうか。)
「いいねえ。行かまい。」
(いいねえ。行こう。)
「あいつぁ行くかいねえ。誘ってみすかな。」
(あいつは行くかなあ。誘ってみようかな。)
「あいつぁ行きゃせんだらあ。」
(あいつは行かないんじゃないの?)
「なんで?」
「おっかさ怖いもん行きゃせんよきっと。」
(奥さん怖いから行かないよきっと。)
「そうゆやあそうだなあ。」
「だらあ。だで行きゃせんらあ。ゆわんでいいって。」
(だろ?だからどうせ行かないと思うよ。言わなくてもいいよ。)
昔は、三河は参河の国・遠州は遠江(とおとうみ)の国・静岡は駿河の国だった。地続きの国同士だから当然言葉の行き来も盛んだったのである程度似通った言語を話す。だが違うだよ。
浜松の人が静岡に会議にいって、終了後懇談会(要は飲み会)があるので出ませんかと誘われた際、「いやあうちの舎っ弟んとこ寄らんとかんもんで遠慮するわ。」と言ったらその筋の人かと勘違いされて思いっきり引かれたと言う逸話を聞いたことがある。ちなみにその発言を翻訳すると「う~ん。弟の所に寄る事になってるものだから遠慮させてもらいますわ。」ということになる。
以前にも書いたが、県民性はおだやかというのは駿河の人に当てはまる言葉であって、伊豆とか東部の衆らとは付き合いんないもんでよー知らんだけど、遠州の衆にははまらん言葉だでねー。
もっとも焼津とかは独特らしく、その言葉使いは漁師言葉が多い影響で荒々しく駿河っぽくないらしいが。
駿河の言葉で遠州では意味が通じないのは結構あり、ネット等で調べると例えばを「静岡弁」(遠州弁){共通語}と表記。
「みるい」(やわい){やわらかい}
「ぶそくりかある」(ちんぷりかある){むくれる}
「かんだりい」(かいだるい){気だるい}
「しゃばく」(やんぶく){破く}
「おんまける」(ぶんまく・ぶんまかす){ぶちまける}
「さぼる」(ほかる){投げる}
挙げたらきりがない。
有名な聞いた事ないような言葉ならまあ聞けば分かるのだが
「かじくる」は遠州では「かじる・引っ掻く」という意味だが駿河では「掘る」だそうな。
「せせくる」は遠州では「触る・触れる」駿河では「ちょっかいを出す」。
などのように意味がまったく違う言葉があるのがやっかいではある。
「ちゃっきり節」で有名な「ちゃっきり」って遠州人からすれば何?どういう意味?とかいうこともある。
「すぐん ありんやら はえんやら きて たかるだで そこんさあとかに うっちゃらかいといちゃ かんて。ちゃっとくろん方に かたさんとかんにい。」
共通語訳
「直ぐに蟻とか蝿が来てたかるんだからそんな所とかに置きっ放しにしちゃ駄目だって。直ぐ端の方に仕舞わないと。」
直ぐ・蟻・蝿・たかる・という言葉は方言ではないだろうから他所の人でも意味は通じるだろうと思っていたのだが。
結果意思が通じたのは「かんて」(駄目じゃないか)だけという有様だった。
例文音声はこちら
*い 「座らしゃあ 尻ん下んが みしみしと
いみりん入って 視線がど痛や」
*ろ 「おっとさの まねしてばっかじゃ あんたねえ
ろくな大人に なりゃせんにい」
*は 「参観日 うちのがきんちょ きぜわしい
はしはしいごけ ちゃんと前向け」
*に 「あんたねえ ちゃんとやんない ゆわれたら
にしゃにしゃしてて ばっかおこれる」
*ほ 「本やらや ほかし投げては ほうらかし
ほっぽらかいてで ホントしょんない」
*へ 「普通はや 所構わず 出しゃへんに
へこきむしだか おんめえわよを」
*と 「構わすけえ どんぶるかろぉが これんいい
とんじゃかないだで 気にしんといて」
*ち 「ちんたらと 歩くっとったら ひっころび
血いが死んだだ あおたんこさう」
*り 「話しはや 通ぜはせるだぁ なんか妙
りんとゆうだは 湖西か三河」
*ぬ 「わししっか わしにやりゃしゃあ あっちゅう間
ぬしゃあゆうほど 出来もしもへん」
*る 「るが出んで 語呂をいぜくり 茶あ濁す
類は友呼ぶ ルイ鳩も呼ぶ」
*を 「間違えた ああゆやあこおゆで つくろすも
をたをこくほど 度壷にはまる」
*わ 「やたらくしゃ 噛むのをやめぬ うちの犬
わしんゆうても 聞きゃあせんくて」
*か 「本日は お日柄も良く おめでとな
かがぬけるだで はよ飲みまいか」
*よ 「通り雨 洗濯もんを ちゃっと寄す
呼ばりもせん猫 寄せたもん乗る」
*た 「恐縮し 世間話しで 歳い聞く
ためだと分かりゃあ なめた物言い」
*れ 「当番だで どぶんさらいに 行ってやぁ
レース行くだで 今日も勘弁」
*そ 「おんしゃやあ なにょう寝言 こいとるだ
そんだだこたあ あらすかやなあ」
*つ 「運動会 頼むで明日はと 願い事
つるくいとくは 逆さてるてる」
*ね 「残業で 不規則続き 寝不足で
ねぶつんでけたと ひゃあひゃあぶーたれ」
*な 「なまかあは あの手この手で いごきなし
なんしょかんしょで やりゃあせんだよ」
*ら 「時間だに 人が来んくて 練りでけん
らっぱふかしゃあ すぐ集まるらあ」
*む 「むっすーに なんでなんでと 物聞かれ
むつからしいんで いいとこまんじゅう」
*う 「さっきいは あっただけえがあ どこいった
うわっかあとか ひっついてんかな」
*ゐ 「締め切りん 明日ん期限が きいくさる
ゐざりでやらすも 出来おおせんがぁ」
*の 「そんなんで 褒めすもんだで 調子こく
のぼせかあって ブタが木登り」
*お 「あれにこれ それにそっちで どれはどれ
おぼわらんくて ついてけんだわ」
*く 「庭ん花 はあ咲いたらと 眼え凝らしゃ
くさるけにある 雑草でめえんや」
*や 「囲炉裏火に 当たるスルメの 香ばしさ
やあこくしたで 喰うてみよやあ」
*ま 「あれなによを なんでこれっぱか しか持ってこん
まるさら全部 持ってくるだよ」
*け 「朝起きて 時計を見れば あれやばし
けったーこいで ちゃっと飛んでく」
*ふ 「あんたねえ 早起きせるにと ゆったじゃん
ふかしこいただ? 早よ起きよやあ」
*こ 「夏休み 宿題残り こりゃおえん
こらしょとあるで ねえてんだってやあ」
*え 「床えがみ まっつぐ歩くる ことでけん
えごえごやごい 家の廊下わ」
*て 「いや別に 気にもしてんと 嘘こくな
手えをにぎらす ことすらでけん」
*あ 「髪伸びて うっとおしいんで 床屋いく
あたま切りいく パーマもあてすか」
*さ 「当番を なんのかんので 逃げくさる
さっつけさすまね さしゃあせんにい」
*き 「信号は あおは進めで あか止まれ
きいなくなったら 進んじゃかんだか」
*ゆ 「温泉に ちゃっとひたろと ドボンのさ
ゆうちんちんで あたあたあちょを」
*め 「ちっこい字 はならかいても 寄らすとも
めえよをめえんで やっきりこくだよ」
*み 「通信簿 親ん見しひん いい訳は
みいひんくても こまりゃせんらあ」
*し 「これ何よ これはなによって 聞いてるじゃん
しいらんやあとか いわしゃへんでね」
*ゑ 「Oh!YEAHと 同じ感じで のういゑ
馬鹿いやゑも おんなしだいね」
*ひ 「今日着たは 年に数度の 勝負服
ひんしょったかあ ありゃあせんらあ」
*も 「ぞんざいに ほかいたもんで かたいたが
燃しはしてんで ある筈だあれ」
*せ 「あのなあが 熱がこもって 馬鹿っつら
せんひき持って ちゃんちゃんばらばら」
*す 「まかしょうと 言ったあええけど でけんくて
すけんならんく なによを駄目じゃん」
*ん 「上げるでな せえのの声出し 持ち上げす
んともすんとも いごきゃせんがね」
一応この手はこれで完成形ということにして、後はちろちろ修正してくことにしよう。間違いなく子供向けじゃない。全部とは言わないが殆ど野郎言葉なので中年以上の男的表現になった。レベル的には日常会話に色つけた感じ。
なお、イントネーションは遠州人でなければ発せられないよう工夫したつもりなので和歌風に詠うとよかあない。
訳はあえてつけないので近くの遠州弁の使い手かコメントで質問してつかあされ。
遠州は名古屋に近い。大昔は東とは暴れ天竜・越すに越されぬ大井川といった大きな河で仕切られ西とは湖西連峰と浜名湖で区切られ北は南アルプスの峰々と、ある意味立地的に人の行き来が東海道の街道沿い以外では盛んでないことから独自の方言や古い言葉が絶えることなく使われていた。
しかし現在は交通が発達して人の往来がより盛んになり各地から仕事などで人が来るようになった。とくに名古屋とは「東海」という枠の中に含まれることが多く名古屋人との接触がより多くなってきている。したがって大分混血というか名古屋からの外来方言が入ってきている。
「~だがね」とかが有名なとこであろうか。「~だがや」となると流石にモロ名古屋になるが。ちなみに遠州弁っぽい表現は「~だあね」であろうか。
他にも「いいから」を「え~で」「いいから来なよ」が「え~できない」とか。
などなどいくらでもホイホイ出てくる訳であるが知らぬ間にという言葉も結構同化しているんだろうなと思える。
しかしながら定着しない言葉も当然ある訳で、以前書いた「たあけ」などがそうである。
「おきゃあせん」関東では「置きやがれ」ということになるのであろうか。やめなさいとかいい加減にしろよとかいう意味であろうか。遠州ではどちらも使われていない表現である。強いて近い表現を探すと「馬鹿こいちゃかん」であろうか。
不思議なのは関東と名古屋の間で近い言葉があるがその狭間に位置する遠州では使われていない飛び地ということである。
例えば他には「おそがい」。これは名古屋の言葉であるが駿河でも方言として使われているらしいが遠州ではほとんど使わない外来種扱い(うちの集落だけかもしれないが)。
そんなこんなでハーフが増えてどれが純血種の遠州弁なのかは確信が持てない。持てないけれどとんじゃかなく遠州で今使われてる共通語ではない表現をこれからも気づいた限り記事として載せていきたいであります。