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遠州弁の箱

遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります

「ぬくとい」と「ぬくたい」

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「ぬくとい」と「ぬくたい」

「ぬくとまった」と「ぬくたまった」という方が違いが分かり易いのであろうか。

「ぬくとめた」とは言うが「ぬくためた」とは言わない。

使いどころに於いては使い分けをしている訳ではなく使い手の好みでどちらか一方を使うというものであろう。

意味的(ニュアンス)にはどういう違いがあるか。あまり違いがある風には感じられないな。

そもそも「ぬくたい」という人は遠州弁においては少数派だからして。

でも共通語は「あたたまった」というのであろうから「ぬくたまった」の方が共通語に近い感じはするところ。

「ぬく」は「ぬくい」(温い)。ぬくぬくと育ったとかいう使い方もあるから共通語だろう。

「あたためておいたから」という共通語を

「ぬくとめといたで」・「ぬくとくしといたで」

「ぬくたまるようにしといたで」・「ぬくたくしといたで」

という風に言う次第だが「ぬくためといたで」と言うかは微妙である。「ぬくため」という言い方はしないといったように「ぬくたい」表現は「ぬくとい」よりも使いどころが狭い分使い勝手が悪いようにも思える。

ちなみにコンビニでの「温めますか」に地域性を持たせるとなると

「ぬくとめるだ?」・「ぬくとめるけえ」・「ぬくとめっか?」

とかになり「ぬくためっけ?」とかいう言い方はざらつきを感じ「ぬくたくするだ?」くらいでないとえせ遠州弁に聞こえる。

考えようによっては「ぬくたい」という表現はどこからかの流入してきた表現なのかもしれないと思える程に用途が狭い。

ネットをうろうろしてみると結構な地域で「ぬくたい」は使われているようなので西の方面から入ってきた外来種なのかなとも思える。あくまでも想像だが遠州弁としては「ぬくとい」が固有種ではなかろうか。

例文

「お風呂はあ湧いてるう?」

「はあ湧いてるらあ。さっきい手えいれたらいい温度だったで。」

「じゃあ入るわあ。」

暫くして

「もうなによを。水風呂じゃん。ぬるくもありもしん。」

「あれそ~お?結構ちんちんだと思っただけどやあ。」

  (え~そうなの?沸き過ぎなくらいに沸いてると思ったんだけどな。)

「もうちゃんとしてやあ。上ちんちんかもしれんけど下きんきんだっただでねえ。」

  (もうしっかりしてよ。上が熱くても下の方は冷たいままだったんだからね。)

「なんしょ一旦服着てえ、ほんで沸くまで炬燵入ってぬくとくしてな。風邪引いちゃかんでえ。」

  (それはともかくとりあえず服着なよ。そしたら風邪引いては大変だから湧くまで炬燵に入ってあったかくしてなさいな。)

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