遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
遠州弁あ行
以下の単語を訳せ
「あおぬく」
レベル 超ヲタクレベル
所によっては意味が違うでしょう。(天気予報風)
遠州では「あおむき」ではなく「あおむけ」というのが普通なので「あおむく」という言い方は本来「上向く」(うえむく)もしくは「あおむける」という事の方が多いのであるが辞書の説明に合わせる為「あおむく」で話しを進める。「あおむく」を調べると
あおのく→あおぬく→あおむく(仰向く)と変化した言葉とネット辞書にある。
古語辞典だと
「あふのく」(仰のく){他動詞カ行下二段活用}上に向ける。
「あをのく」(仰ぐ){自動詞カ行四段活用}あおむく。上を向く。=あふのく・あふむく・あふぐ。
で記載があり、「あおぬく」の記載はなかった。
つまり想像するに直接的に古語であるという根拠は辞書では見つけられなかったけれど、方言ではなく古語と今の中間の時代の言葉の生き残りというのが「あおぬく」であろうと考えられる。(時代がいつかは知らねど)
意味的にも上を向くとかいうものであるならそう言い切れそうである。
しかしながら遠州弁にはこれとは違った意味で使われる「あおぬく」というのがあるらしい。
参考というか聞いた話であるが、自分は使わない使い方で、「あおぬく」で「ぼ~っとする」・「気が緩む」とかいう意味で使われる事があるそうな。「仰向く」の「あおぬく」とは同じ音なだけでで別の言葉なのかもしれないが定かではない。
関連になるが「あおたえる」という言葉があって、うろたえる・うかうかするという意味で使われる。(またまた余談だがうちらんとこは「あおたえる」はうろたえる・動揺するというニュアンスで使われる事が多い。うかうかするという不注意とかいったニュアンスでは使わないな。)
それと同じ流れであろうと思われるが「あおたぐ」・「「あおたぎ」でぼやぼやする・ぼ~っとするという意味で使われる地域もあるというのは噂には聞いたことがある。先に述べた「あおぬく」=「ぼ~っとする」とよく似た使い方である。どちらも自分は使わないので「だそうな」としか言い様がない。
「あおぬく」・「あおたえる」・「あおたぐ」で共通するキーワードは「あお」となりそうで、この「あお」にぼやっとするみたいな意味がある風に勘繰られる。
「あおたえる」の「あお」はわたしらんとこの使い方「うろたえる」でいくと「扇り」(あおり)の「扇」がはまりそうだと思っているのだが、今ここで述べている「あおたえる」にははまらない事になる。ぼやっとするという意の「あお」とはなんぞやというのが分かればいいのだが。
つまるところよう分からん。私では細かいニュアンスとか分からないから使ってる地域の人に探ってもらうしかなさそうだ。ってどの地域かすらよく分からんが。
話し戻して「仰向く」の「あおぬく」
仰向くであるので反対語は「うつむく」(俯く)となる訳だが「うつむく」の違う言い方は記憶の限りでは無い。
あおむくの意味使いでの、ああむく・あおぬく・ああぬくとかの使い手を見た事は希少ながらあるが、あおのく・ああのくという使い手は記憶が無く、もし日常でそう聞いたら「のく」=「退く」と聞こえ「仰ぎつつ下がる」みたいなイメージが湧いてしまいかねないかも。
そういう意味では仰向くに関しては「あおむく」か「あおぬく」が普通であり古語は使っていないと言えるのかもしれない。