遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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非常によく使われる言い方といえようか。
「あのさあ」よりも甘えたもしくは言いにくいという感じになる。
「あのさあ」も「あのさ~あ」と最後の「あ」にアクセントがいく。
アクセントを文字で説明しようとする方が無理があるので、他地域にお住まいの方にはわかりづらい話ではあるが、近くに遠州人がいたらご理解していただけると思う。
使い道は頼み事が言いにくいような場合で言いづらい時などに使われることが多い。これが遠州独特かどうかは不明。
例文
「今日それ済んだら店じまいしまい。」
(今日それが片付いたら店じまいしようか。)
「はいね。」
(分かりました。)
「でぇ、あのさ~あ。悪いだけどぉ。」
(それであのね悪いんだけど。)
「なにいっ。」
(なんでしょうか。)
「帰り通るじゃんねえ郵便局。」
(帰りに郵便局の前通るよねえ。)
「通るよ。」
(通りますよ。)
「帰りん寄って郵便だいてってくれんかねえ。」
(帰りに郵便局に寄って郵便出していってくれないかなあ。)
「ええよ。」
(分かりました。)
「悪いやあ。もの頼んじゃって。」
(悪いね用事頼んで。)
「それっぱかとんじゃかないって」
(それくらいなんでもないですよ。)
音声はこちら
「あんたねえ」は親しい人とかに遠慮なしにいう表現であるが「あんたさあ」の場合それ以外にも若干言いにくいことをいう時と頼み事とかを言うような場合にも使われる表現。二つの違いは共通語の「あのねえ」と「あのさあ」の違いみたいなものか。
これと同様の野郎言葉は特になく男女兼用言葉であろう。(野郎言葉を強いて挙げるとしたら「おんしゃやあ」と「おんしゃよを」とかはあるか)何故「あの」を「あんた」にした方が言い易いのかはよく分からないが「あのう」とか言ってるみたいでなんか恐る恐るみたいな伺ってる印象になるのが厭なんだろうかなという気がしないでもない。
個人に言うだけでなく多人数に対し言う時もありその場合は「あんたらさあ」となる。
*「頼みがあるんだけど」の例
「あんたさあ。悪いだけど行ってきてくんない?」
(あのねえ悪いんだけど行って来てくれないかな。)
「さあ」の「あ」(語尾)を強く言うことが多い。
*「はっきり言うけど」の例
「あんたさあ。ここんなにせいきたよお。」
(あのなあここに何しに来たんだ?)
「さあ」の「さ」を強く言うことが多い。
音声はこちら
「ぼったい」表現のひとつ「あつぼったい」。共通語でも「やぼったい」という表現があるので必ずしも方言ということではないのだろうが「くらぼったい」(薄暗い)・「しめぼったい」(湿り気がある)とかは方言扱いされてるので一応記載。
「暑ぼったい」と書けば
意味は「やや暑苦しく見える」。自分が暑ければこういうことは言わず「あちい」で済むので自分で自分の事をいう表現ではない。あくまで他人から見てそう見えるということである。
「厚ぼったい」と書けば
意味は「着膨れして見える」・「過度に塗り重ねられて厚くなっている」・「なんか知らんが厚くなってる(膨らんでる)」とか。こちらは人に対してだけではなく物とかにも使われる。「むくんでる」状態を「あつぼったい」というかは微妙。
「熱ぼったい」というのはあるのかもしれないが聞いたことがない。なんとなく熱いという表現であろうがそういう場合は「熱いっちゃあ熱い」・「ちいと熱い」もしくは「ぬくとい」を使うのでなさそうな気がする。
熱い表現の場合は「熱そう」・「熱(ねつ)んある」などと普通は言い「ぼったい」は使わないと思われる。
「ぼったい」はなんとなくそう見えるというニュアンスなので曖昧・微妙を表現するものである。
例文
「山行く準備でけたけえ。」
(山行く準備は出来た?)
「おお、いちおー みとくりょ 忘れもんあっちゃ堪らんで。」
(うん。忘れ物あったりなんかしたら大変だから一応チェックして見て。)
「がんこ着るもんすけないなあやあ。最初っからがんこ着てくだ?」
(随分と着るものが少ないねえ。始めから沢山着てくの?)
「着てきゃせんよを。そんなことしたら暑くてしょんないじゃん。」
(着てかないよ。そんなことしたら暑くて堪らないじゃないか。)
「ほんじゃこれっぱかで大丈夫けえ?山あ冷えるにい。」
(それだったら山は冷えるんだからこれっぽっちじゃ不安だなあ。)
「夏だにいとんじゃかないらあ。厚ぼったくしたじゃぶしょったいじゃん。それに荷ぃも軽くしたいしやあ。」
(夏だよ構わないだろう。着太りじゃ見た目が悪いし荷物も軽くしたいしね。)
「かっこ気にして山の天気なめとるとえらい目に逢うにい。」
(格好ばかり気にして山の天候なめると痛い目に遭うよ。)
音声はこちら
共通語だと「あらま」に相当するのであろうか。
関西風の「あれだよ」という意味での「あれや あれ」とは意味もイントネーションも違う。
とにかく意外だということを伝えたい驚きの表現。男女共用の言葉。遠州独特かどうかは定かではない。
近い言葉では「あれなによを」・「冗談だらあ」・「うっそぉ」。
驚愕の度合いを強くしたい場合は「うっそを、なによを」・「うっそをなんで?」・「なにや」。
低くしたい場合は「あれ」・「え~」・「なにい」を使うことが多い。
例文
「あれやぁ。なにい。来ただ?」
(うわっ。なんだよ来たのか。)
「しょんないじゃん おめえじゃ 何せすか 分からんくて 心配でならん だもんで。」
(仕方ないだろ。お前一人じゃ何しでかすか分からなくて心配でしょうがないんだから。)
「まかしょっつったじゃん。信用しんだねえ。」
(まかせなって言ったでしょうに信用しないんだねえ。)
「よおゆうわあ。過去の実績考えりゃのっ。当然だらあ。」
(よく言うよ。過去の出来事思い出せば当然だろう。)
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「赤ん坊」の事。完全なる野郎言葉で女性が使うと子供に対する愛情があるのかと疑われかねないので使うことはないであろう。
例文
「最近寝不足でやあ。ホント昼間眠たくてかんだわ。」
「寝れんだけ、寝てれんだけ。」
「あっかあ夜泣きしてやあ。大人しくしてりゃど可愛いだんな。」
「まあちっとの辛抱だいね。その内小憎らしくなるだで今ぁいっちゃん可愛い時期かもしれんにい。にしたっておっかさの方が大変だらあ。」
「確かに。でもうちんのおっかあ産む前だっていっつも眠たそうだったでどうも違いがわからんだよ。」
音声はこちら
遠州弁の中においても非常に粗野な部類に属するので使い手は少ない。普通はやはり「あかんぼ」という人が多い。
身内の子を指せば共通語の「愚息」と同じような謙遜であるが
他人の子を指せば中傷になる。
大きくなったら「がきんちょ」・「がき」となる。もっと大きくなったら息子なら「むっすー」・「こんぞう」・娘なら「むすめ」・「むっすう」とかになる。