遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
「埋める」という意味の方ではなく「ぬるくする」という意味で使われる「うめる」。
「埋める」という文字から「ぬるくする」の意味があるというのは想像しづらいところであるが、別に方言ということではなく
辞書においても「埋める」{他動詞下一段活用}の説明の中に「熱い湯に水を入れてぬるくする」という意味が載っている。
つまり遠州弁でもなんでもない共通語であるのだがなんか遠州弁らしい気がする言葉である。それは何故かというと「うめる」・「うめた」・「うめて」とかは共通語であろうが「うめす」・「うめんと」・「うめんで」とかにすると
「お風呂ん湯うちんちんだで、うめんと熱くて入れたもんじゃないにい。」
(お風呂のお湯がとても熱いから水入れてぬるくしないと入れたものじゃないよう。)
「茶あ飲ますとしたらとてもじゃないけど うめんとちんちんで飲めたもんじゃない。」
(お茶飲もうかと思ったけどうめないと熱くてとても飲めたものじゃない。)
「悪かったやあ、おいあんたあ うめんとかんもん出すじゃないにい。」
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などなど「うめんと」とすることによって遠州弁らしくなる。「ぬるくする」というよりも「丁度良くする」と訳した方がニュアンスは近い。他の地域はどういうニュアンスなのかは知らないが遠州弁では「ぬるい」というのは適温じゃない状態をいうもので「ぬるくする」となると丁度いいという感じになるとは受け取れない。「うめる」というのは適温になるように水で冷まして調整するというもので「ぬるめる」と「うめる」は感覚的にイコールではないのが遠州弁での感覚と思える。