遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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返るという意味である。
「忘れかある」(忘れ返る)・「うらっかある」(裏返る)・「ふんぞりかある」(ふんぞりかえる)・「板んかある」(板が反り返る)というように使う。
例文
「あいたた」
「どうしたよう。」
「こぐらがかあった。」
「だいじょうぶけ?普段運動しとらんもんで、そをなるだに。」
「・・・・・・・・。」
「食っちゃ寝えばっかだで、そをなるだって。ねえ聞いてる?。」
「そんなこたあええで、・・・・・。」
「食うにしたってきちっと栄養のバランスも考えんとかんだに。」
「はあ分かったで、助けてくりょお。」
「こういう時に言っとかんと普段聞きゃせんで言わしてもらうけどねえ。」
「後に・・・せろ・・やあ・・・・。」
「あっそ。ところであんたさぁあっ、あんたくついたも裏があってるけど・・・
ね!これってファッション?」
「・・・・おんしゃ、・・もしかして人ん不幸愉しんでる?」
「あ、判る?やっぱ。」
「ざけんじゃねえぞ、直ったらぶっさぐってやる。」
「それが助けえ求める人ん言う言葉けえ。」
音声はこちら
こぐらがかあった(足がつった)人をもてあそんで楽しんでる人と、それどころじゃない人の会話。
発音は「かある」ではなく「かーる」と書けば判り易いだろうか。
注釈として、「くついた」は(靴下)、「人ん不幸・人ん言う」は(人の不幸・人の言う)と言う意味で(~の)は「~ん」になる事が多く「人ん家・よそん家・ぼくんち」と言う使い方と同じである。
「緊張して顔んかあばる。」
(緊張して顔がこわばる。)こわばるを漢字で書くと「強張る」。
というような、こわばる→かわばる→かあばるの変形なのかそれとも
「手え糊んついちゃってなんかエラクかあばる。」
(手に糊が付いちゃってなんかやけに乾燥したみたいに硬くなってる。)
という皮張るという皮(皮膚)が張りついたたように硬くなる様に限定された遠州弁独特の言葉なのか判断が微妙。変化は、皮張る→かわばる→かあばると予想されるが当然確かではない。
ちなみに(こわばる)の共通語の意味は、本来柔らかいものが難くつっぱたようになること。
「ご飯がこわい」(ご飯がこわばる)と遠州弁では「こわい」が同じ意味で使われるのであるが、こわい→かわい→かあいとは変形しないのでやはり「かあばる」はこわばるの変形した言葉なのだろうか。そして人に対してのみ使われる言葉なのだろうか。確かに「顔がこわい」とは使わないしなあ。実際「顔んこわいわ」っていけしゃあしゃあとぬかいたら、自分に言われたと勘違いした人に絶対ぶっさぐられる。やっぱ「顔んかあばるわ」だよなあ。ホントようわかりません。まあとにかく「かあばる」は皮膚がつっぱる感じを表現する言葉であるよということであろうな。
例文
「握り飯喰ったら手えかあばっちゃってえ。」
「やあばかっつら。だからつって人の服で拭くじゃねえ。」
「まあそうゆわすとを。いいじゃんちっとばか。」
「よかねえわ。」
音声はこちら
意味は、ものすごいと言う事らしい。
「そりゃがとうでえ。」(それは凄いよな。)
「がとう」が「凄い」・「大層」とかいった意味らしい。
雄踏近辺の衆らの言葉で、私の集落では使わない言葉なので、よく意味や使い回しが分からない。焼津の方が漁師言葉は独特で荒いと言われていたが、遠州にも、福田・舞阪・新居辺りが港を持つ町として存在し、確かに同じ遠州人でも荒いと感じる時がある。船の上というある意味海での闘いの中での仕事上大きな声で端的に会話をする必要があるので荒っぽさというのは理解はできるのだが、陸にあがったら、ちいとは気い利かしてくれてもいいと思わんでもない。高校生だった頃祭りを観に行ったが昼間っから路上で酒くさく目が据わってる連中がたむろしている光景にびびった記憶がある。凧で自分もおんなじことやってるにも関わらずほんとびびった。
舞阪を舞台にした映画としては、2003年「夢、追いかけて Touch a Dream 浜名湖発?学び座」という作品があるが、印象としては、言葉があんな優しくない。DVDにはなっていないようなので観る機会はないかもしれないが、三浦友和さん・勝地涼さん・田中好子さん・船越英一郎さんがいいお芝居してるのと、地元の友達役の衆らがいい味だしてるので一見の価値はあると思うが、舞阪の衆の言葉にしてはがんこよそいきだと思う。
悪く書いてるつもりは全然なくて、普通に優しそうな顔してても言葉がきついというのがなんかギャップがあって、うちらの集落の衆とは違ってて、これはこれで面白いのです。
話しを元に戻すが、「がとうでえ」の「がとう」のお話し。
こういう使い方を普段聞いてたりするので
「ガトーショコラ」
と聞くと「がとうなショコラ」(すんごいショコラ)と遠州人は思ってしまう。ことがある。
「ほい、ちゃんと鍵かっただ?」
(ねえちゃんと鍵かけたの?)
「やいやい鍵んかい忘れてたわあ。」
(しまった鍵をかけ忘れてたなあ。)
「ちゃっとかってきてやあ。」
(直ぐかけてきてよ。)
音声はこちら
「かう」そのものは、(支う)と書くれっきとした共通語である。「あて木をかう」とかのように動かないようにささえるとかあてがうという意味である。
共通語では「鍵を掛ける」なのに何故遠州弁で「鍵をかう」という表現が使われているかと言うのを推察すると、戸締りにおいて昔はしんばり棒をかっていたのが時代が変わってしんばり棒が鍵にその役目が取って代わっても、かうという表現はそのまま残ったと考えられる。したがって「鍵をかう」で(戸締りをする)という意味使いであろう。なので使われなくなった言葉が未だに遠州では活きていると言うことであって、他の地域でも残っていることは当然充分考えられる。
勿論私の勝手な推理なので合ってるかどうかは定かでない。
替え着とかいて「かえち」と読む。
例文
「今日プールだけどおめえかえち持ってきた?」
(今日の体育の授業水泳だけど着替え持ってきた?)
「そんなもんいらんらあ。なんで?」
(そんなものいらないだろ普通。なんで?)
「いやあわし着替えんのめんどっちいもんで海パンはいてきただよお。でえ、パンツ持ってくるの忘れただよ。」
(あのね、自分水着に着替えるのが面倒だからって家から水着履いてきちゃった。それで、パンツ持ってくるの忘れちゃった。)
「おんしゃあほんとめんどっちいだなあやあ。そんなんしてると蒸れるにぃ。」
(お前って本当に無精者だなあ。もうそんなことしてると蒸れちゃうよ。)
「とんじゃかねえら。」
「痛い目に合うにい。」
「痛かねえら痒いだら。」
「笑えねえっつうのっ。」
音声はこちら