遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
遠州弁け行
「けっこい」・「けっこく」の使いどころ
レベル 個人的意見
「けっこい」は「綺麗」。「けっこく」は「綺麗に」。
「綺麗な」であれば「けっこな」。
しかして「綺麗」とは?という事かについては、どうも私の考えと現実(世間)の使われ方とに食い違いがあるようだ。
私が思う「けっこい」の「綺麗」とは、整理・手入れされてるとかいう意味のものであるが
世間での「けっこい」の「綺麗」は美しいという意味をも含むものであるようだ。
「景色がけっこい」という言い方は私には違和感がある。そりゃあ埃ひとつ落ちていないみたいな「綺麗」さを指しているのなら違和感は湧かないが、普通は「美しい景色」という意味使いみたいである。
でも「スタイルがけっこい」なんて言うかね。「けっこい服着てからに」とは言うがそれは普段と違ってのおろしたてとか洗濯してな「身綺麗」(清潔)な服と言っていて「似合ってる」・「かっこいい」とかいう意味の「綺麗」ではないと思える。
「普段こ汚くしてる奴がえらいけっこにしてからに。」は「普段不精者なのに大層小奇麗にしてるじゃねえか。」と言っている。
「あの人けっこい人だねえ。凄い美人じゃん。」なんぞと言うかというと疑問符が付く。「肌がけっこい」とかいうのなら有り得るが。
「この水けっこいで飲めるにい。」
美しい水なんてあるのか?と思う。
「けっこい」は「結構」+「い」ではなかろうかと。「い」をつけることによって形容詞化するという手合い。
辞書で「結構」を引くといくつかの説明があるが、その中の内の「難を言うべき点が特別見当たらない様子。」という意であろうか「けっこい」における「結構」とは。
つまり「問題ない」というのであって、「飛びぬけている」とか「群を抜いている」とかいった「秀でている」・「特別」などというものではないと思われるのだが。
と、まあ世間に反抗してもせんなき事にてであるが。
遠州弁の「さわるけ?」は共通語にするならば「さわるかい?」・「さわってみるかい?」という訳が適当で
「さわってごらん」では「さわってみい」・「さわりい」とかがそれに相当する遠州弁であろう。
細かいこと言えば「け」=「か」で「けえ」で「かい」となるものであろうから
「さわるけ?」は「さわるか?」と訳すのが直訳としては相応しいことにはなる。
「け」という言い方は遠州独特ではないにしてもそのニュアンスは地方それぞれなのであろうか。もっとも関東とかでは「さわるっぺ?」で「っぺ」になるとかで地方によってそもそもがそれぞれであろうから「け」が全国的かどうかは疑わしいとこがあるが。
「やってみるけ」・「そうけ」とかは「け」を「かい」に直せばいいとして
「やってみるけが」だと「やってみるけど」・「やってみるけえが」は「やってみるけれど」という訳になり「かい」とはならない場合がある。
「やってみるだけ?」だと「やってみるのかい?」と訳せようか。
浜松でも使う言い回しではあるが、まあ、本場は掛川辺りという気がするので講釈垂れる程の知恵はないのであれだが。
ちなみに旧磐田郡辺りでは「け」よりも「だ」を使う方が頻度がお高めという気がする。(あくまで個人的感覚)
「触ってみる?」というのを
浜松辺りでは「触るう?」
掛川とかでは「触るけ?」
磐田郡とかは「触るだ?」
何処がという事はないが「触るな?」という言い方をするとこもある。
の、ようになる傾向が経験上ある風に思える。もっとも「触るだ?」は「触るのかい?」というニュアンスであって若干別物といえなくもないが。
あくまで傾向であってはっきり使い分けられているものではないのであしからず。