遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「こえた」(肥えた)。シンプルに「太った」と問う時に使う言葉。
「太った」というより「ふくよか」というニュアンスの方が近いか。
悪い意味で使われるものではない。
「あれえ。あんた暫く見ん間に太った?」と聞くには差し障りがあるような時に
「あれなによを。あんた前より肥えた?」と聞いた方がどんぐりの背比べではあるが柔らかくなる。気がする。「肥えた農地」とか「眼が肥える」・「口が肥える」とかいう豊かになるという好印象が「肥える」にはあるからだろうか。単に「太る」だとあまりいいことではない印象を与えるからでもあろうか。
「非常に太った」というような場合には「馬鹿肥えた」という言い方をすることもある。
辞書ではこの「肥える」を人に対して使うのは関西風味であって共通語としては動物とかに対して使う言葉となっている。なので遠州独特というものではなく関西的表現を遠州でも使っているということであろう。ところで関東ではどう差し障りのない表現をするんだろうか。「恰幅がよくなった」とでも言うのかな。まさか女性には使わないだろうから違うんだろうな。
謙遜ということもあろうか自らのことを「肥えた」とは言わないことが多い。
「太らされた」を「肥やされた」ということは流石にない。肥えることは悪いことではないからであろうか。
「太る」を「肥える」とは言う。「小太り」を「小肥えり」とは言わない。
例文
「お~やっとかぶりじゃんかあ。なにしてたよを。」
(お~久し振り。元気?)
「お~。でもやあ なんか知らんが前より肥えた?」
(お~久し振り。しかしなんだなあ前より太った?)
「やっとかぶりに遭ってそれかい。」
(久し振りに遭ってそれかよ。)
「しょんないじゃん。そうめえるだで。気になるだよ。」
(しょうがないだろ。眼に映って気になるんだから。)
「ちいとな。ほんのちいっと太った。」
(ちょっとね。ほんのちょっと太った。)
「ほんとにけぇ?ちっとばかにめえんにい。」
(ホント?少しには見えんけどなあ。)
「悪かったの。がんこだよがんこ。」
(悪かったね。随分太ったよ。)
「だらなあ。なにすりゃそんだけ肥えるよを。」
(だよねえ。どうすればそれだけ太るんだ。)
「おっかさの料理旨いもんでね。」
「そりゃごっつを様なこって。」
(そりゃご馳走様。)
例文音声はこちら