遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「もー。すぐそうやってちんぷりかあるだでホント嫌。そんなんじゃかんだにい。」
訳すと、何かあるとすぐにむくれるところが嫌なんだよね。そんなことじゃダメだよ、となる。
「ちんぷりかある・ちんぷりかえる」の意味としては、すねる・ふくれっつらになる・むっとする・反抗する・我を通そうとするなどなど色々とある。
地域によっては「ちんぶり」と「PU」ではなく「BU」と発するところもある。
「ちんぷり」とか「ちんぷる」とかいう言い方は無く、必ず「かある・かえる」が付く。(他所では「ちんぶりかく」・「ちんぶりかいて」とかな「かく」を使うとこもあるらしいが、うちんとこは「かえる」・「かある」が普通。)
語源はなにかと問われても正解は知らないのであるが、推測として「ぷり」は「振り」、「かえる」は返るだとすると「ちん」という振りが裏返るということになる。ただ「ちん」がなんなのかが分からない。「知らん」が「ちん」に一番近い感じではあるので合体させると、「知らん振りが裏返る」と読めなくもない。つまり露骨に態度に表れている様であると言う状態と解釈することも可能ではある。不満とかを隠すことなく態度で示しているということで意味としては遠くはない。が、この解釈があってるという確証はない。
他にも、「死ぬ」を「おっちぬ」と言うが、これが「ちん」に変化して死んだ振りが翻ってというこじつけにも考えられる。繰り返すがこれも推測である。
それとも「陳腐る」が返るで「陳腐りかえる」陳腐な顔になる(戻る)つまり本性が現われるということか。さすがにここまでだと妄想力の賜物になるが。
ニュアンス的には決定的な反目敵対ということではなく、共同歩調をとる上での(生活上とか)摩擦的な擦れ合いにおいて使われる言葉であろう。面と向かって反論できないが影に隠れてではなく直接的に不同意の感情が抑えきれないという状況。怒りの状態ほどではない。
なので特に深刻な状況において使われることはないが、それでも積もり積もれば悪い方向に流れていくのは当然なので早めの対処は必要ではあろう。ほっときゃ治る傷ももちろん多いけど。
例文
「あそこんさあの家。親子で仲悪いだって。なんでか知ってる?」
(あそこの家。親子仲が悪いらしいって聞いたけど理由知ってる?)
「それがさあ。なんかしょんないこんで息子ちんぷりかあってあだけただって。それん親爺さん許せんくて以来口きかんくなっただって。」
(それがね。なんか些細な事を息子が気に食わなくて騒いだんだって。その時のことを親爺さんが許さなくてそれ以来口きかなくなったんだって。)
「なにんちんぷりかあっただかいねえ。」
(何に対して気に食わなかったのかねえ。)
「さあ、さすがにそこまでは知らんだよ。」
違うだろう(それは)という意味。ツッコミの言葉としても使える関西風の言葉。もろ関西だと「ちゃうわ」になるのだろうか。「ちゃうやん」だと「ちゃうにい」の方が近いのかしらむ。
例文
「ここんさあはこうなるもんでえ。だでここはこれが入るだよきっと。」
(ここのところはこうなる訳だから。だからここにはこれが入るのさ。)
「ちゃうらあ。」
(違うだろう。)
「なんでよう。」
「そこんさあははまるけど、後のんはまらんらあ。」
(そこははまるだろうけど、後に残ったのがはまらないだろう。)
「わからんよを。やってみにゃあ。上手くいくかもしれへんじゃん。」
(やってみなければ分からないだろ。上手く行くかもしれないんだから。)
はめようとするもはまらず。
「ほれみっせえ、やっぱはまりもしん。だでちゃうだよ。」
(そらみたことか、やっぱりはまらないじゃないか。だから違うんだよ。)
例文音声はこちら
拍子木とかを続けて打つ音、「ちょん」とほぼ同じ?これは共通語での意味。辞書に記載されてる意味だが遠州ではこういう意味合いでは使われていない。
遠州弁だとイーブンイーブンという意味。プラマイゼロ・どっちも同じ・どっこいどっこいということであろうか。
ただし「どっこいどっこい」のように「どっちでも同じだから(変わらない)から」というニュアンスは比較的薄く、「なんとか帳面合わせた」みたいな印象が強くなる。
「あいこ」という意味でもあるので、共通語だと「とんとん」ということになると思われる。なんで「と」が「ちょ」になるのかは定かではないが、別の考えとしては遠州弁の「ちょん」というのが「きりのいい」とか「ちょうどのところ」とかいう意味を持つ使い方もあるのでそれが互いに「ちょん」になるということで「ちょんちょん」=「同じにした」という表現になったとも考えられるが説得力に乏しいのが無念。
それでも「とんとん」だと結果そうなったみたいな勢いになるが「ちょんちょん」だとそうなるようにしたみたいな勢いの違いは存在する。
他の意味使い(ちょんちょん歩きとか)もあるらしいのだが、私的にはこういう使い方しかしていない。
例文
「きんのうの休みなにしてたよを。」
(昨日の休みは何してたの?)
「パッチーいっとった。」
(パチンコに行ってた。)
「どうだったでえ。」
「結局ちょんちょんだの。くたびれ損だあれ。」
(まあ結局は勝ち負けとんとんかな。くたびれ損だったよ。)
「ほんたあけちょんけちょんじゃなかっただけえ?」
(ホントは負けっぱなしなんじゃなかったの?)
「そんなとこ見栄張るかあ普通。張らんらあ。」
「わからんよを。おっかさに損こいたとかいったらもう行っちゃかんつわれるもんでかもしれんじゃん。」
(いやあどうかな?嫁さんに損したとかいったらもう行くなって言われるかもしれないから黙ってんじゃないの?)
「ホントだってえ嘘じゃないって。勘弁してやあ。」
例文音声はこちら
これだけだと大抵はお湯が沸騰してる状態を表わすことが多い。どちらかというと適温を越えて沸き過ぎというニュアンスにとれる。
しかしながら使い方は幅広く「鉄板はあちんちん」となれば「鉄板はもう十分熱せられている」・「雨漏り直いたいだがトタンちんちんで足降ろせやせん」(雨漏り直したいんだけどトタン屋根が日に焼けて熱くて足踏み入れられない)という風にお湯に限ったものではない。
とにかく熱せられてる様を表現する言葉である。だからといって「かっかする」を「ちんちんする」とは言わない。感情表現としては使われない。
この表現については名古屋でも使われているらしく特に遠州固有種の方言ということではなさそうである。
例えで言うと共通語の「それだと凄く熱くなり過ぎてしまうから駄目なんだよ。」というのを
名古屋だと多分「ほいじゃ でえりゃあ ちんちんになってまうで かんわあ。」かな?違ってたらごめんなさい素人なので。
遠州弁では「そんだと 馬鹿がんこ ちんちんに なるもんで かんだよ。」となる。
共通語にはこういう意味使いは存在してないらしく「ちんちん」というとひとつの意味しかなく、聞くとドキッとするらしいが発音というかイントネーションが異なるので混同することは我々現地人ではあり得ない(ちんちん電車のちんちんと同じイントネーション)。したがってなんら恥じることなく男女共に使う表現である。
例文(今回はリアルにありそうな会話ではなく完全に創作のおちゃらけ)
「知ってる?ド○フのコントでうんこちんちんっての。」
「知ってるよ。それんなに?」
「あれさあ、うんこがちんちんってこんだで要はやけくそっつう意味だらぁ?」
「違うらあいくらなんでもぉ。」
「じゃあちんちんってなによを。」
「そんなん知らすけえ。」
「知らんで笑ってるだか?」
「いいじゃん別にい。」
説明しよう。うんこがちんちん。つまり糞が熱せられている。ということは糞が焼けてるということだから「やけくそ」になるという論理である。もちろんこれは冗句であって遠州人が実際のコント見てそう思ってた訳ではない。
例文音声はこちら
ちなみに「ちんちん」。どういう意味なのか未だに知らない謎の言葉である。憶測でものを言えばやかんや鉄瓶が沸騰すると蒸気で蓋が踊る。その際「チンチン」と音が鳴るところからきているのではと想像するところである。
ちょっと・ちょいととかいう意味。関東系というか江戸の時代劇に出てきそうな表現であるが遠州ではまだ普通に使われている。逆に遠州では「ちょいと」はあまり使わない傾向にあると思われる。
「ちっと」という表現も同じ頻度で使われるが意味的には違いが殆どなく使う人の感性の問題であろう。多少「ちいと」という方が間延びした印象を受けるのでのんびりした感じになり「ちっと」の方がそそくさとした気ぜわし感がある。
他にも「ちびっと」・「ちょびっと」・「ちょっくら」という使い方もあるがこれを混ぜて比較するとややこしくなるので省略する。
例文
「ちいと出かけてくるでねえ。」
「どこ行くよを。」
「すぐ帰ってくるで。めしのこいといてよー。」
「待ちゃへんでねえ。」
「待たんくてもええけどのこいといてよを。」
例文音声はこちら
追記
「ちいと」と「ちょっくら」の違いを考えてみると
「ちょっくら」の方がより遠州弁っぽい感じになる。
「ちいと借りるね」と「ちょっくら借りるね」では「ちょっくら」の方が馴れ馴れしく感じる。それと「ちいと」は少しの間という印象が強く「ちょっくら」は一時という印象を受ける。