遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「とんでく」は共通語に直すと「飛ばしていく」というものであるが全くイコールというものではない。
ペースアップするにしても例えば「仕事早く終わらせたいからペースアップしよう。」というのを
「仕事をとっとと終わらせたいから飛ばしていこうぜ。」というのはありだろうが
「仕事ちゃっちゃと終わらせたいでとんでかまいか。」と言うものではない。
「とんでく」はあくまでどこそこの場所まで「飛んで行く」のであってつまり移動するに於いてのペースアップもしくはなにをおいてもとか最短・最速でなどというものである。単純に「走る」・「駈ける」という事にしても間違いではなかろうが
「ちゃっととんでった」を訳すと「一目散に向かった」・「慌てて向かった」という使い方をしたりもするので「走る」・「駈ける」に限定してしまうとニュアンスが伝わりにくくはなる。
ちなみに先の過った使い方を訳すと「仕事をとっとと終わらせたいから急いで移動しようぜ。」ということになりどこかしら「逃げちゃおうぜ」と言ってる風にとられかねなくもない。
なんでもかんでも「急ぐ」を「飛んでく」という訳ではないのである。また「飛ぶ」や「飛んだ」で「急いで」という意味使いをするものでもない。
「急げよ」を「とべや」とは言わない。「とんでけや」でとなるものである。
「あいつとんだで多分早く着くと思うよ。」とも言わない「あいつとんでったで多分早く着くらあ。」となるものである。
「飛ぶ」=「走る」というのではなく「とんで」=「走って・急いで」というものである。
あくまで「とんで」で成り立つものである。そして「とんでか(す)」・「とんでけ」・「とんでく」「とんでき(た)」とかいう変化が存在する。
例文
「やあ、飲み屋とんできたいだでちゃっちゃと仕事終わらせまいか。」
「んな事ゆったって、やっつけ仕事じゃないだで無理だって。我慢しよやあ。」
「う~、行けんとなったら余計今すぐビール飲みたくなった。」
「昼間の麦茶の残りあるで、それ振って飲みゃあらしくなるでそれで我慢せえやあ。」
「アルコール入ってもしん。」
「酔いたいなら自分の仕事に酔やいいだあ。」
「詰まらん冗談だの。」
「悪かったの。をたこいてんでちゃんとやらんとホント終われんにい。」
「とんでく」。遠州弁では、急いで・最速にとかいった意味で使われるもので
「ちゃっととんでく」で「すぐさま向かう」と訳したりするものである。
例文音声はこちら
ところでこの「とんでく」。正解は勿論ないのだが、感じで表わすと「飛んでく」となるのか「跳んでく」となるのかはたまたこの二つ以外に漢字が当てはまるのか。「翔んでく」とか。まあこれはないかな。
意味的にいけば「跳んでく」の方が駆け足ダッシュというに相応しいと思えるところ。「駈ける」と言う意味ではこっちの方が相応しそうだが。
実際よく使われているのは「飛んでく」がよくはめられている。「飛ぶが如く」ということでおかしいわけではないわな。
それでも「飛んでく」と表記すると理解されづらいところはあるよな。
まあ無難なとこで「とんでく」と表記するようにしてるけどどのみち共通語からしたらおかしな言い回しではあろうな。
とにかく急げとか急(せ)かしてる言い回しであり「ちゃっと」(すぐに)と組み合わされる事が多い。
使い方に於いて
「ばか遠くまでとんでったにい。」とかいう使い方はしない。これだとそのまんま「凄く遠くの方まで飛んで行ったよ。」ということになる。
「遠方にまで急いで行ったよ」と言いたい場合には
「がんこ遠くうにあせってとんでったにい。」とかになろうか。「ちゃっと」とか「慌てて」とかいう語が先につく事が多い。というかそういうのをいれないと「飛んで行った」としか聞こえないのである。誰かがというのがはっきりしないとならないのである。
つまり「とんでく」のは人であって物に対して「とんでく」という表現はしない。