遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「入れたげない。」共通語だと(入れてあげない。)のように拒絶的な意味であるが、遠州弁だと(入れてあげなさいな。)という(なさいませ)の意味になる。
どこかの遠州弁の説明項目において、「書きない」を「書きなさい」と訳しているものもあるが(これだと命令形にとれる)、うちの集落においては、「書きなよ」・「書きなさいな」といった促すようなニュアンスとして使われている。
推測の理屈であるが、(なさいませ)が(なさい)に省略されて、遠州では(なさい)が「ない」にとより短縮されていると考察出来なくもない。ただしうちの集落ではお帰りなさいませ・お帰りなさいが「お帰りない」にはならない。しかもこの理屈より不都合なとこがあって、「ありがとない」(ありがとね)という場合があり、ありがとうなさいませという訳になってしまって理屈が通らない。
実際のところなにがどうしてこうなったのかは理解できていない。
「わるい こたあ いわんで そう しない。」
(悪い事は言わないからそうしなよ。)
~ないを使うと(そうしたらどうかなあ)という風な提案的なニュアンスになる。
「わるい こたあ いわんで そう せんと 収まりつかんら。」
(悪い事は言わないからそうしないといけないって。)
~しんと(せんと)だと(そうしないと)というアドバイス的になる。
おまけ
「喰わない」(食べない)・「喰いない」(食べなよ)・「喰いまい」(食べようぜ)・「喰いなし」(食べずに)・「喰いいん」(食べられない)・「喰やせん」(食べない)・「喰っちゃかん」(食べちゃ駄目)・「喰いおせん」(食べきれない)・「喰わすと」(食べてないで)・「喰わしょ」(食べさせて)・「喰うら?」(食べるでしょ?)・「喰うか普通」(食べるか?普通)
その2に続く
http://hachimankotoh.blog.shinobi.jp/%E3%81%AA%E8%A1%8C/%E3%81%AA%E3%81%84_678
「ほい、あんた、あれよう、なによう、あのう、例の奴、どうしただ?」
「どうしたって、なにがよう。」
「ほれ、なによ、こないだ買ってやったカップ。」
「それが、なによう。」
「はあ使っただ?」
「使おうと思っただけどさあ、別になに用もないもんで使っちゃいんよ。」
「駄目じゃん使わにゃあ。」
「なんでよう。」
「もったないらあ、せっかく買ってきただで使わんと。」
「ま、そのうちね。」
「あんたねえ、人がせっかく親切にしてやってるだで、ちゃんとゆうこと聞きなさいよ。」
「なにようそんな言い方しんだっていいじゃん。」
「なんでよう、あんたがぞんざいだもんでじゃん。物大切にしんと罰ん当たるだでねえ。」
「いいもん別に。とんじゃかないもん。」
「あ~あ、こんなこんなら橋の下から拾ってこなきゃよかった。」
「なにそれ。」
この文章から、二人の関係性、性別、その後の展開が想像できたら立派な遠州弁の使い手である。(ちと古い言い回しだけどね。)
「なによう」・「なにがよう」は幅広い使われ方で、辞書みたく意味とか用途の説明は明確にしにくい。言葉自体は共通語だと思われるが、使う場所とニュアンスは共通語と微妙に違うと思うが説明する知恵がない。羅列すると、どうして?・どういうこと?・どうかしたの?・なにか問題でも?・なに言ってるのよ・思い出せないけどあれだよ・ちょっと待ちなさいよ・それがどうしたよ・だってそうでしょ、みたいな感じでしょうか。
「それならば」と言っている。
「あのさあ」・「でさあ」といった「さあ」のついた他所の人にとっては馴れ馴れしいと思える表現であろうが遠州弁においては親しみを表わす表現である。
「どのように思うか(考えるか)」というのを「どうよ」と発するのもこれと同じ矜持を開いているぞという表しであろう。
距離感を縮めたいという意図であるので年齢に関わらず使うし初対面の相手に対しても発せられる。
男女共用の表現であるが男表現だと「ならやあ」と「やあ」を使う言い方がある。ただし流石によく知らない人に対して「ならやあ」を発すると相手に引かれるので身内等に対して発せられる言い方ではあろうが。
他の言い方にはニュアンスの近いものでは「んなら」・「んだったら」・「ほいたら」・「ほんだったら」など、多少ニュアンスは異なるが「だったらさあ」などがある。
「だったらさあ」との違いは「ならさあ」がついでにとか付け加えてといった「そうであるならば」と前の話しに付随している事が多く、「だったらさあ」の「それならば」というのは前の話しがそうならばこうしてくれといったような新たな提案もしくは一度否定された事を蒸し返す際に使われるものであろうか。
例文
「あのうすみません。○○にはどうやって行けばいいんでしょうか。」
「○○けえ。分かりいいならこの道ずうっと真っ直ぐ行ってつきあたり右に折れてきゃあ着くわなあ。」
「どれくらい時間かかりますかねえ。」
「まあ小一時間みときゃいいかな。」
「それじゃあちょっと間に合わないんで他に近道とかないんですか?」
「ならさあ、この道戻ってあそこんさあの信号東に行ったバス停で○△行きのバスに乗りゃあ10分もかからんら。一時間に2本くらいはバスある筈だでその方早いと思うやあ。そうしない。」
「ああそうですかありがとうございます。」
例文音声はこちら