遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「歯茎」のことを指している。つまり
「林檎を齧るとねちから血い出る」
「はぐき」がどこをどうすれな「ねち」になるのか皆目見当がつかないのであるがとにかくそう言っている。男女共用。もう古い言葉で使い手は高齢化してきてると思われる。
例文
「なによを。口から血い出してえ。大丈夫けえ。」
(どうしたの口から血が出ているよ。大丈夫なの?)
「そこんさあでおもいっきしすっころんで口ぶった。」
(そこの所で勢いよく転倒してしまって口をぶつけた。)
「ねち切っただけえ。労咳とかじゃないだね?」
(歯茎を切ったの?労咳とかじゃないんだね?)
「ドラマじゃあんめえし、んな劇的なわきゃないらあ。」
(ドラマじゃあるまいしそんな劇的なわけないだろ。)
「いやあなんかあったら車はわしに譲るって遺言しといてもらわすかと思っただけえが。それっぱかなこんなら赤チンでも塗っときゃいいらあ。」
(う~ん。もし万が一ってことになったら遺言で車は俺に譲る事としてもらうつもりでいたんだけど。そんな位なら赤チンでも塗っとけばいいだろ。)
「だったら普段からまあちっと親切にしとけやあ。おめえには死んでもやらんわ。」
(なら普段からもう少し親切にしろよな。お前には死んでもやらないぞ。)
注、もちろん口の中にあかちん塗るなんて暴挙で非現実的なことである。
例文音声はこちら
三河弁を紹介してるところでは「根地」と記載されているところがあったがそのいわれについては記されていないので納得しようがなくこういう意見も提示されてるとしかいえない。
人間の体に「茎」という部分があること自体不思議な話しではあるが人間の体に「地」があるというのもこれまた不思議な話しではある。
地域的にはどうやら三河と遠州だけが使う言葉で駿河・名古屋では通用しないおそれがあるみたいである。
寝に行く。つまり「もう寝る」と言っている。
「ねえいった」だと「寝入った」と聞き間違うかもしれないが「寝に行った」といっているのである。
横に寝っ転がることを指すものではなくあくまで寝る(睡眠する)ものである。
例文
「あれえ?あいつどこいきくさっただいねえ。」
(あれ?あいつどこにいった?)
「はあねぶくなったっつってねえいった。」
(もう眠いからって寝に行った。)
「根性ねえなあやあ。夜はこれからじゃんかねえ。」
(根性ないなあ。夜はこれからじゃないか。)
「わしもねぶいでねえいくわ。」
(俺も眠いからもう寝るわ。)
「そをゆわすとを。まあちっと遊ばまいやあ。」
(そりゃないよお。もうちょっと遊ぼうよ。)
例文音声はこちら
猫と書くのかは知らないが当たり前に動物の猫のことを言ってるのではない。
工事現場でよく見かける作業用一輪車のことを「ねこ」とここいらのプロは呼ぶ。
プロといっても建築から農家まで様々なプロがおらるるが、私がこの言葉を知ったのは農家のお手伝いをしたときに
「採ったらねこに積んで納屋まで運んでやあ。」
と言われ「なにそれ?」と聞いて教えてもらったことにより知りえた。
あまり普段の日常に縁のない道具なので例文に広げようがない。他にはうろ覚えで確かなことではないが「とろっこ」と称するところもあったような記憶が。
ま、色々と調べてみると遠州だけにとどまる用語ではなさそうではある。でも何故「ねこ」と呼ばれるようになったのかは定かではない。
勝手な想像するにもし「猫」であるとしたらの話しであるが、実際なぶったことのある人なら判ると思うが、結構素人には難しいものである。方向性も定まらずバランスをとることさえも危なっかしい。そんな言うこと聞かない勝手気ままさから猫のようだということがもっともだとこの名がついたと想像出来なくもない。
もうひとつは猫のように狭い幅の板の上なんかでも重い荷物積んで軽快に行き来できるからというもの。
あくまで勝手な想像なので本当かどうかというと嘘の部類に入る与太話しではある。
寝える・寝えったと書く。
寝る・寝たに「え」が入った方言というよりも、寝入る・寝入ったの「い」が「え」に変形したと言うほうが考え易いか。
全国的に一般的な方言であろうが、他の地方のような「煮える」を「ねえる」とは遠州では言わない。
例文
「○子ははあねえっただ?」
(○子はもう寝た?)
「今、ぐっすりこんだよ。」
(今は熟睡してるよ。)
「ほいじゃ寝顔だけでもみいいかすかなあ。」
(それじゃあ寝顔だけでも見に行こうかな。)
「おこいちゃかんにい。やっと寝かしつけただでえ。」
(起こさないでね。やっと寝かしつけたとこだから。)
「おおまかしょう。」
ガシャン!ドカドサ!・・・あかんぼの泣き声
「もうほんとにぃ。なにやってるよをっ!おこいちゃかんってあれほどいっただにぃっ!」
「知らすけえ。こんなとこにモノ置きやがってえ。ばかっつら。」
「人ん苦労も知らんでなにいってるよを!・・・」
かくして喧嘩するほど仲のいい夫婦の会話は続くのであった。
注、文中の「ばかっつら」は嫁にむけたものではなくモノにむかって発しているものである。
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できものの事。にきびなのか、おできなのか、いぼなのか、こぶなのか、吹き出物なのか、腫れ物なのは現在調査中。顔だけでなく体全部に発生するできものを表現する言葉。
「なんでえ、えらくゆっくり座ってどうしたでえ。痔か?」
「けつにねぶつできちゃってやあ。不用意に座れんだわ。」
「顔にでけんぶんまだええらあ。」
「ま、そうだけどやあ。」
「ねぶつん出来易い体質けえ。」
「っつうわけでもないだだけえが。」
例文音声はこちら
これしか意味が無く、あまりにもストレート過ぎて話しを広げられない。ただし女性に「ねぶつできただか?」と言う風に聞いては失礼にあたるので注意が必要ではある。
「天は我に二物を与えたもうた」といえば非難轟々だが
「天は我にねぶつを与えた」というと可哀想にと同情してくれる。
決して寝る仏で寝仏ではない。