遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「湿気て紙んまるまる。」(湿って紙が丸くなる。)
「するめ上手く炙らんとすぐまるまるでねえ。」(スルメは上手く炙らないと直ぐに丸くなっちゃうからね。)
「まるまる」は「丸める」(丸くする・髪を剃る)の自動詞形だと辞書を引くと書いてある。なのでこれは共通語ということになる。ホントかねえ。どっかよそ行って意味通じるかどうか試してみたくなる。普通は「まるまった」とか「反る」を使うほうが一般的のような気がするのだが。
他の使い方として
「まるまるどっかやっちってえ。」(全部どこかに失くした。)
というように「全て」という意味の場合もある。この「全て」は他にも「まるさら」(まるごと)と言う表現もある。
そんで「まるまる太って」(丸々と太って)という使い方も当然あるので、
「水ん濡れて本まるまる。」だと本が膨らんだのか全部使い物にならなくなったのか丸く反り返ったのか判断できない。結構ややこしい言葉である。
アクセントは「丸める」はmaru MAru 「全て」はmaRU maRU 「丸々」はMAru MAruと言う風にうちの集落では使い分けをしている。
勝手(意図せず)に丸くなるような場合とかには「まるまある」、意図せず(勝手)に丸くなったとかの場合だと「まるまあった」などということもある。
例文
「なんかさあ。冬とかんなるとさあ。外に居てさぶくて凍えてまるまってる人いるじゃんか。ああゆう人見ると後ろっからぐわしってなんかかぶさりたくなるだよねえ。」
(あのさあ冬外で寒くて凍えてうずくまって丸くなってる人見かけるだろ。そういう人を見ると思わず後ろからつい抱きつきたくなっちゃうんだよねえ。)
「気いつけなよあんた。本能のままにそんなこんしてたらちゃっと警察飛んでくるにい。」
「実際せる訳ないじゃん。そう思うだけだって。」
「ならいいけどやあ。」
「小学校ん時、冬外で体育の授業で、クラスの子んさぶくてまるまってたんでかぶさったらぶちきれられて、それ以降やっちゃいんもん。」
「やってるじゃん。」
例文音声はこちら
真っ直ぐが訛ったもの。特に遠州弁かといわれても別にそういう訳ではないのだが。むしろ江戸っ子風と言うほうが近いのだが遠州でも使うということで。
紹介はしてるが使い手は多くはない。女性が発することは滅多にないし若年層が発したらおちゃらけに聞こえるところである。
例文
「ここら辺の店屋で○○ってゆうの知らんかねえ。」
(ここら辺りに○○というお店が在ると思うんですけどご存じないですか?)
「わしじゃわからんもんでえ、この道まっつぐ行ったとこにパチンコ屋あるだで、そこんさあで聞いてやあ。」
(私では分かりかねますのでこの道を真っ直ぐ行ったところにパチンコ屋さんがありますのでそこでお聞きになられてはいかがかと。)
「そこんさあで聞きゃあわかるだかいねえ。」
(そこで尋ねれば分かりますか?)
「わしよりかは知ってるらあ。なんしょ引越いてきたばっかだもんで、よお知らんだよまだあ。」
(私引っ越して来たばかりで詳しくないので、私よりかは詳しいと思います。)
「ほおけえ、じゃ聞いてみすかな。まっつぐいきゃあいいだね?ありがとねえ。」
(そうですかそれでは聞いてみます。真っ直ぐ行けばいいんでしたね。どうもありがとうございました。)
「わからんかったら、ごめんだにぃ。」
(そこでも分からなかったら余分な手間かけさせて申し訳ないけど。)
例文音声はこちら
よく動くとかこまめとか言った風の意味。
まめを漢字で書くと忠実と書くそうである。まめの意味は几帳面とか言う意味と健康(健やか)という意味とがあるらしい。
岐阜の方だと「元気でやってる?」という挨拶を「まめなかえ?」と表現してるところもあるが、遠州では「達者けえ?」と「達者」を使うことが多く「まめ」は主にこまめというニュアンスの方をよく使う印象である。ただし「~ったい」が賞賛という褒めてるニュアンスではないので「まめったい」となると多少気に障る(目立つ)とか五月蝿くという印象を受ける場合がある。
「まめに働く」と「まめったく働く」とでは意味が異なる筈である。
例文
「あんたぁんとこの旦那さんまめでホント羨ましいわぁ。」
「そうでもないって。まめったいけどきぜわしない時だってあるだで良し悪しだにい。」
「うちんとこみたくなんにもせんよりかいいじゃん。ホントそう思うよお。」
例文音声はこちら
まわる(回る)が訛ったもの。
「まあるいお月様」という共通語の表現があるが「丸い」を「まあるい」と表現することがあり遠州でもこの言い方はするのでややこしいことは事実だが実際使っているのだからしょうがない。
「眼が回る」は遠州弁では「めえまある」・「めんまある」となる。決して「メンマある」と言ってるわけではないので間違えないように。
ただし本人は「まわる」といってるつもりだが遠州人の発音の癖として「まある」と言ってしまっているという可能性もあり。
それと「巡視する」といった「見て周る」という場合には「みてまある」とは言わず「みてまわる」というのが普通なので回転といった意味合いでのみ「まある」となるのかもしれない。
例文
「お~。よう来たしい。まああがってきない。」
「どっから入りゃええで。」
「そこんさあからじゃ入れんでえ。表んまあってきてやあ。」
「そんじゃあ寄らせてもらうにい。」
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「まぶす」・「まぶせる」は共通語だが「まぶさす・まぶさる」は方言だろうという事で記載。
「まぶさる」はまぶされているとでも訳せばいいのだろうか。まぶしてあるでもいいか。「まぶす」は「塗す」と漢字で書く共通語であるが、「まぶさる」という表現はさすがになかんべえやということで記載。「~さる」という表現では「とんまさる」(捕まる)・「かぶさる」(これは標準語か)とかと同じ使い方で、「しくさる」(やりゃぁがる)・いいくさる(言やあがる)とかとは異なるものである。
「さる」がすでにまぶしてある状態を指すのに対して「さす」はこれからまぶすという状態を表わす。
例文
「こないだ喰った饅頭結構旨かったにい。」
(こないだ食べた饅頭案外美味しかったんよ。)
「どんな感じよ。」
(どんな味?)
「黄な粉まぶさってて、甘過ぎずでえ。あんこまぶさしゃあもっと美味いかもしれんにい。」
(黄な粉がまぶしてあって甘すぎない感じかな。あんこをまぶせばもっと美味しいかもしれないよ。)
「いんやあ今で十分甘そうでえの。わしだったらあんこじゃなくて醤油垂らいた方が旨そうだやあ。」
(ん~それだけで十分甘そうだなあ。俺だったらあんこじゃなくて醤油垂らした方が旨そうだけど。)
「饅頭だにい。醤油って、がんこ変だらあ。」
(饅頭だぞ?醤油かけるって、かなり味覚おかしかないか。)
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