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遠州弁の箱

遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります

わりかし

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わりかし

方言とかではなく俗語だそうで「比較的」とか「割合」とかいう意味であるそうな。昭和30年代あたりに上映された映画から広まったという説明書きをなんかで見た様な記憶あり。造語なのかどうかは露知らず霧の中。「割り方」の変形とも書かれてあったような。辞書では「わりかた」で載ってることが多そうだ。

それ以外の用途としては(あまり変わらないけど)「意外と」・「結構」・「まあまあ」とかいう使い方もする遠州では定着した感のある言葉である。というか「わりかた」なんて言葉使わない。

真面目な時に言いたい場合は「わりあい」を、普段の砕けた感じでは「わりかし」でという使い分けをする人が多い。男女共に使う。

例文

「わりかしいけるじゃん。そう思わん?」

  (意外といけるじゃないの。そう思わない?)

「まあの。いけんこたあないの。」

  (そうだね。まずいということはないかな。)

「なんか不満?」

  (何かご不満でも?)

「そういう訳じゃないだけえが喰い合わせがの。」

  (不満ってほどでもないんだけど、どうも喰い合わせがね。)

「別に悪くありもしん。うなぎと梅干じゃあるまいし大丈夫だよを。」

  (別におかしくないでしょうに。うなぎと梅干じゃあるまいし。大丈夫でしょう。)

「つうても揚げパンの具がプリンってなんかなあ。」

  (そうは言っても揚げパンの具がプリンってのはなあ。)

「いいじゃん別にい。コロネにアイスっつうのもありだで。」

  (構わないでしょ。コロネにアイスだってありなんだから。)

補足

「いきなり」を「いきなし」というような系統で「わりかり」とかいうのが元(共通語)かなとも一瞬思ったりもしたのだがそんな筈は勿論なく、元は「わりかた」(割り方)という言葉だそうな。

辞書にも「わりかし」は載っているので遠州弁という訳ではないのだが使用頻度が高いので記載した。遠州では辞書とは若干ニュアンスが異なる「意外と」とか「思ってたよりも」という意味合いで使われることも多い。

例文

「なによを。わりかしいけるじゃん。」

  (へ~意外と美味しいじゃないの。)

「だらあ?喰ってみんと分からんもんだってこうゆうなあ。」

  (そうでしょ。食べてみないと分からないものでしょうこういうのは。)

「見た目くどそうだんね。」

  (見た目はくどそうなのにね。)

「汁真っ黒けだでねえ。」

  (汁が真っ黒だからねえ。)

「かきこまぶすのが味噌かもね。」

「味噌じゃないにかきこは。」

「ばかっつら分かってるわっ。」

注、「かきこ」の説明は長くなるので別記事にありますのでご参照下さい。

辞書にある「割り方」の意味は

副詞 俗語 わりに。わりと。わりあい(に)。{俗に割かしとも言う}

遠州でのニュアンスとしては例文を「わりにいける」としてみると「いけそうになかったけどまあまあいける」という勢いであるが「わりかしいける」とすることによって「意外といい線いってる」みたいな美味しいじゃんというニュアンスであろう。

まあまあ<わりに<わりかし<結構<がんこ

とかいったニュアンス順であろうか。遠州弁的にはこういうニュアンス分けがなされているのではなかろうか。

遠州では「わりかた」という言い方はしない。「わりかと」は使わない訳ではないが多勢は「わりかし」かな。

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