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遠州弁の箱

遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります

に=のに

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に=のに

「に」の使い方のひとつとして「やるのに早い」を「やるに早い」というように「~のに」を遠州では「~に」と言う場合が多い。「の」抜きの表現。

では、「のが」の場合はというと、「やるが早い」というかというと微妙である。「やるが早い」だと「やる方が早い」という意味になるので決して手早いという意味にはならないので「のが」=「が」という「の」抜きの理屈になりにくい。むしろこの場「やるんが早い」というように「んが」=「のが」の方が納得がいく。

同様に「ので」になると「やるで早い」は「やるから早い」と「やるので早い」というほぼ同じ意味になるのでこれはアリかも。ただし「で」ではなく「でえ」になるのが遠州弁ではあるが。これも「のが」と同様「んで」という表現も一般的である。

「んに」という表現はいいにくいので使わないのであろうか。それと「にい」(~だよ)という表現と紛らわしいから使わないのか。

例文1

「500円。」

「なによー返すに金とるだ?」

「3日も延滞してりゃ普通取るらあ。」

例文2

「あんた髪ん伸びるに早いねえ。」

「ゆうとくけどスケベじゃないでねえ。」

「誰もそんなことゆってもしんにい。」

例文3

「こっから天竜行くにどんくらいかかるよお。」

「ポンポンとかでちゃっと飛んできゃそんながんこかからんよ。」

「歩くとどうなるでえ。」

「夜があけるわあ。」

「まだ朝だにい。」

「だで歩きじゃ無理だっつってんじゃんか。」

例文音声はこちら


例文3の「まだ朝だにい」の「だにい」については「だのに」と直すより「だよう」とした方が違和感が出ないのであるが「まだ朝なのになに言ってるんだ」というニュアンスで捉えれば「のに」でもおかしくはなかろうて。

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