遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
遠州弁でよく使われる言葉。例えば「やあ行って来いやあ」という言い回し、ここでは「やあ」がふたつある。これは繰り返しか別物なのかとかいうどうでもいい細かい話し。自分の言葉では説明が上手くできないので辞書等の小難しい理屈を引用してみる。
古語辞典によると
「や」{感動詞}①呼びかけに用いる。②驚いたとこ、また、思いついたときに用いる。③はやし声または掛け声。
「や」{間投助詞}①感動・詠嘆を表わす。②問いを表わす。③呼びかけの意を表わす。④和歌・俳句などで、音の調子を整えるために添える。⑤事物を列挙していう。
「や」{近世語}「ある」の転と考えられる助動詞「やる」の命令形、「やれ」のの略。軽い敬意を含んだ命令を表わす。・・・なさい。
「やあ」{感動詞}感動詞「や」に同じ。掛け声。呼びかけにいう。
「やい」{終助詞}感動を持って強く呼びかける語。
「やい」{近世語}「ある」の転と考えられる助動詞「やる」の命令形、「やれ」のの略か。軽い敬意を含んだ命令を表わす。
国語辞典から該当しそうなのは
「や」{終助詞}①同輩・目下の者を軽く促す気持ちを表わす。②自分自身に言い聞かせるな気持ちを表わす。③名前の後に付けて、呼びかけることを表わす。④{雅語}感動の気持ちを込めて文を終止したり、その言葉を述べることを表わす。
「やあ」{感動詞}①驚いた時、呼びかける時などに出す声。②かけ声
「やい」{感動詞}(俗語)ぞんざいに呼びかける言葉
以上ほぼ丸写しした辞書で説明されてる事から考えると、例文を変えて遠州弁の「やあど痛いやあ」(うわあ、凄く痛いよを)は古語的には「や、ど痛いや」{感動詞・間投助詞}もしくは「や、ど痛いやい」{感動詞・終助詞}ということになるのであろうか。国語辞典で当てはめると少しニュアンスがずれるような気がする。呼びかけるは当てはまるけど掛け声でもないしぞんざいでもない。
「行って来いやあ」(いってこいやあ)だと「行って来や」(いってきや){近世語のや}なのかな。「いってこ」(行ってきなさい)という言い方もあるので「きや」でなく「いってこや」かもしれない。
そんなこんなで遠州弁の「やあ」は「やー」といった長音化ではなく「やあ」であり、古語辞典にある「や・やあ・やい」と同じと考えた方がしっくりくるところであり、「やあ行ってこいやあ」でのそれぞれの「やあ」は異なる言葉であるということが言える。気がする。
国語辞典での解釈で言えば粗雑な表現という解釈になるが古語辞典からの解釈をもってすれば粗野な方言ではないということになる。他の地域の人がどう捉えるかは置いといて遠州人からしてみればぞんざいな物言いという意識では使ってはいないので国語辞典の解釈ということではなかろう。
かくして遠州弁は汚い言葉などではなく古い日本語を使っている昔ながらの日本語なんだと言い訳が出来る次第。という自分達(遠州人)にとって都合のいい解釈。