遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
「息止めてお腹へっこましても吐きゃすぐばれるって」
訳する必要もなかろうまあ凄く些細な全国的な標準語ではない言い回しであろう。
が、遠州弁では男女問わずごく普通に「へこむ」・「へこます」というより「へっこむ」・「へっこます」という言い方をする事が多い。
ただし人為的・作為的に凹み凹ますことが出来る物を指すものであり
窪みとか凹みといった自然的なものを指すものではない。また気分が落ち込む萎えるとかいう場合にも「へこむ」であり「へっこむ」は使われない。及び既にそうなった(誰がやったか分からない)状態になっているものに対しても「へっこむ」よりも「へこむ」を使う傾向が多少はあろうか。
極端かもしれないが、「へっこんでる」だと誰かがやったもしくは何かが原因でと聞こえ「へこんでる」だと最初っからなっているもしくはなるべくしてそうなって(自然とそうなって)ると聞こえるということである。
あくまで傾向であって必ずこう使い分けているというものではない。
この他にも「へっこむ」の使い方として
「あそこんさあの山の左っかあ、へっこんでるらあ」(あそこの山の左側へこんでるだろ?)
とかいった愛着を込める為に使われることもある。
「へこます」というと相手に一泡吹かせるとかいう意味で使われる事も多く紛らわしいので「へっこます」と言って使い分けをしているということもあろうか。こうしたように「へっこむ」と「へこむ」には微妙にニュアンスが異なる使い方があると思えるところである。
例文
「あれやあ、この車へこみがあるにい。」
(おや!お客様この車へこみがありますねえ。)
「うそっ、どこぉ。あれほんとやへっこんでるや。いやあ気が付かなんだやあ。」
(え?ホントに?どこ?あれまホントだへこんでるよ。う~ん気が付かなかったなあ。)
「だもんで残念だけど下取りはちょっと値が下がるやあ。」
(ですので残念ですが下取り価格は幾分値が下がる事になります。)
「がっくしやあ。どこでへっこましただいやあ。記憶んないやあ。どんくらい下がるよう。」
(ショックだなあ。どこでやったんだろ。憶えがないよ。どれくらい下がるんですか。)
「ん~、こんくらいかや?」
(え~とですねえ、これくらいでしょうかねえ。)
「ほんとにけえ。がんこじゃん。やいやいへこむやあ。」
(嘘でしょう。相当にじゃない。あ~あ落ち込むなあ。)
注、査定した人にとっては自分がした事ではないので「へこみ」という言い方をすることに違和感は出ない。というかおしゃまこいて共通語言ってるということもあるか。身内友人とかなら「へっこんでるにい」とか「へっこんでるじゃん」という言うことになる。