遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
「いっちゃなんだが」(言ってはなんだけど)
言葉そのものに特別な意味合いはないのだが、共通語に変換してぴったりな言葉が思いつかない。
それでも強引に直すとなると、(言うのもなんだけど)・(言いにくいんだけど)・(こういってはなんだけど)・(よけいなお世話かもしれないが)等であろうか。しかし強引な共通語訳だと、話すことに気が引ける・気を使うというニュアンスになる訳だが、遠州弁の場合、そういうニュアンスは薄い。
遠州弁では、先輩が後輩に、上司が部下にといった関係で能書きをたれる・自慢や経験上の話しをする・やんわりと否定するような使い方をする場合が多い。
段上から物言う際の枕詞みたいな使い方をする。
例文 あまりにもトロトロ仕事してる連中に堪りかねた先輩のひとこと
「おめえらなあ。いっちゃあなんだが、今日帰る気あるだか。そんなこんじゃ明日んなっても終らんぞ。」
「いっちゃあなんだが」を入れることによって言い方が柔らかくなる効果が期待できる。
別の使い方としては、(こうみえても・そんなこというけど)というのもある。
「あんた泳げるの。」
「失礼しちゃうやあ。いっちゃなんだけど元水泳部だっただにぃ。」
例文音声はこちら
いずれにせよ、自分を卑下するのではなく、むしろその逆的な立場を相手に知らしめるために使う言葉であることには違いはない。