遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
奥さん、いらっしゃりますか?
奥さん同士の会話の枕詞みたいなもので、家族の人に所在を尋ねるだけでなく、直接本人を目の前にしてても「奥さんおいでる?」で会話が始まる。
つまり、忙しい主婦同士「今暇?」・「今ちょっと話をしていい?」という問いも意味として含んでいるらしく、「こんにちは」・「今日も暑いねえ」という挨拶の前に使う。
野郎はこういう意味合いの使い方はせず、単純に所在の確認の為に使う。
例文
「奥さんおいでる?」
(奥さん、いまちょっと暇?)
「いやっ奥さんこないだありがとね。あんないいもん貰っちゃって、ほんと悪いやあ。」
(とくにしなきゃいけないこともないから、まあ付き合うか。)
「いいえぇ気に入ってくれてよかったよう。口ん合わんかったらどうしよお思っとったけどよかったやあ。」
(今日は何も持って来なかったから、話のってくれないのかな?)
「うまかったよお。いつも貰ってばっかでほんに申し訳ないやあ。」
(なんかお返ししないとまずいかなあ、やっぱ。)
「ほんと気い使わんといてよ、家じゃあ食べおせんかったもんで腐らしちゃかんと思って奥さんとこで食べて貰っただで。ほんと助かったよう。・・・ほんでねえ・・・」
(まあ私もあまり長居できないから、用件に入ろっと。・・・)
と、この後「ところでさあ・・・・・」と切り出すまで牽制球のキャッチボールが続けられるのである。頂き物以外にも他には「暑いねえ」とかの天気陽気に関する話しもよく使われる。
因みに話しに乗れない時には、自分の都合でやんわり断るよりも、旦那や息子等家族への用事がある旨を言ってきちっと断る方が、お互い気が楽なようである。そういう時は「あ、そう大変だね。じゃ・・・。」等と言ってそそくさと立ち去るのが暗黙のルールとなっているようで、そうやって人付き合いがささくれだたないように配慮してるらしい。私は野郎なのであくまで内面の心理状態は想像であるが。
例文
「奥さんおいでる?」
「ごめん。夏休みだもんで息子の昼作らんとかんだよ。」
「あ、そお。ほいじゃまた今度寄るね。」
「ごめんねえ。ほんとに。」
「じゃまた。ほいじゃね。」
例文音声はこちら