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遠州弁の箱

遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります

ひっこまったとこと

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ひっこまったとこと

「奥まったところ」と言っている。感覚的には「見えにくい・判りづらいところ」・「陰に隠れるような処」といった感じか。

「ひっこまる」だと共通語にどう訳せばいいのかはたと困ったので「ひっこまったとこ」とした。遠州弁独特ということではないみたいだがその訳を示すところは見当たっていない。

「ひっこまる」は「引っ込める」ではない。他所の地域では「お腹を引っ込める」というのを「お腹をひっこまる」と言うところがあるらしいが遠州ではそういう使い方はしない。「そんな危ないものひっこめとけ」というのを「そんな危ないもんひっこましとけ」とは言わないのである。

やはり「奥まる」というのが一番近いのだろうか。「ひっこまった」であれば「引っ込んだ」というのも近いが微妙に異なる。「へっこんだ」(へこんだ)という言い方もニュアンスが近いのだがぶつけて「へっこまる」(へこむ)はするがぶつけて「ひっこまる」ことはないのでやはり違うか。

いずれにせよ「奥まる」も「ひっこまる」もあまり使わない言い回しで「奥まった」・「ひっこまった」という言い方のほうが日常的であろう。

例文

「ねえあれどこやったあ?」

  (ねえあれどこやったか知らない?)

「出しっぱあでしょんないもんでかたいたにい。」

  (出しっ放ししといて邪魔でしょうがないから片付けちゃったよ。)

「どこによを。」

  (どこに?)

「非常口んとこの通路のひっこまったとこんスペースあるらあ。そこ置いたにい。」

  (非常口の通路の奥まった所にスペースがあるでしょ。そこに置いたよ。)

「いやだやあ。うっちゃられたらどうしてくれるよを。」

  (なんだよ。捨てられちゃったらどうしてくれるんだよ。)

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