遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「一日3杯までだで4杯も飲んだじゃかんて。」
(一日3杯までなんだから4杯も飲んではだめだって。)
訳せば「~ではいけない」ということになる「~だじゃかん」。
「だじゃ」+「かん」ではなく「「だ」(で)+「じゃ」(は)+「かん」(いけない)。
もちろん「てはいけない」で「たじゃかん」という言い方もある。
普通だったら「飲んじゃ駄目」というのであろうが、「だ」が入るのが遠州弁らしい表現であろうか。「のんじゃかん」も普通に使われる表現だがこれだと命令度が強い感じになるので訳すと「のむんじゃないよ」とかになる。
例文
「あんた勝手にそれ飲んだじゃよかあないらあ。」
(ちょっと。勝手にそれ飲むのはどうかと思うけど。)
「勝手にって誰に断りゃいいっつうよを。」
(勝手にって、誰に断ればいいっていうの。)
「誰んのとかそういう意味じゃなくて。検査するで飲み食いしたじゃかんっつわれてんかった?」
(誰のものをとかいう意味じゃなくて、検査するから飲み食いはしないようにって言われてなかった?)
「やいやいそうゆやあそうだった。わすれかあってたやあ。」
(あ、しまったそういやあそうだった。忘れてたよ。)
「知らんにい。どんじかられても。」
(怒られても知らないよ。)
例文音声はこちら
「それはまあそうなんだけど」という言葉を遠州弁にすると
「そりゃまあそうだけえが」と「そりゃあまあそうだん」
次に「これをやるのか?」だと
「これやるだけえ」か「これやるだあ?」
という風になる。ニュアンス的にはほぼ大きな違いはなく使い分けとかもなくどちらの言い方を使うかはその人次第という感じであろうか。
出所は勿論確かではなく全て勝手な想像で根拠は無いが「けえが」は掛川方面っぽく、そちらの言葉のような気がしないでもない。「だん・だあ」は浜松の旧市内とかで使われていたのではと想像した場合天竜川を挿んでが境界線だったのだろうかという説が考え付くのだが、実は旧市内でも「け・けえ」は使っていたので非常に嘘臭いので分類は無理であろう。。
まあとにかく今はしのぎを削って勢力争いをしていなくもないかなと。勢力図でいったら今私の周りでは「けえ・けえが」派が攻勢中かな。
でも、「だら・だに・だで・だあ・だん・だだ・だの・だと・だて・だな・だね・だや・だよ・だわ」とかで統一性があって説明するに楽なので「だん・だあ」派が主流になって欲しい気はするだん。
例文
「明日仕事しい来た方がいいだあ?」
(明日出勤した方がいいのかな?)
「どうだいやあ。いちお~非番じゃなかったっけえ。」
(どうだろうね。一応非番じゃなかったっけ。)
「そりゃあまあそうだん。忙しいなら来るにい。」
(そりゃあまあそうなってるけど、忙しいなら来てもいいよ。)
「来てくれりゃあ嬉しいだけえが。休まんと体おやいちゃかんでなあ。」
(そりゃあ仕事してくれれば有り難いけど休まないで体壊されてもなあ。)
「まあなんしょ午前中なら電話してくれりゃあくっでね。」
(まあとにかく午前中だったら電話してくれれば来るからね。)
「はいね。」
(うん分かった。)
「やめる」を例にすると
「はあ じき ばんげしたん なるで ここんさあで やめまい。」
(もうじき日が暮れるからここいら辺でやめにしよう。)
「そうだの やめまいか。」
(そうだね、やめにしようか。)
と、言った風にやめよう→分かったという決断→同意という流れとして「まい」→「まいか」が使われる。では最初に「まいか」を使うとどうなるか。
「はあ じき ばんげしたん なるで ここんさあで やめまいか。」
(もうじき日が暮れるからここいら辺でやめにしないか。)
「そうだの やめまい。」
(そうだね、やめにしよう。)
と、言った風に同意を求める→承諾するという流れになる。
共に「まいか」を使うと
「略 やめまいか。」
(略 やめにしないか。)
「そうだの やめまいか。」
(そうだね やめにしたいね。)
同意を求める→同調するという流れになる。
やめると言い切ってはいないので「どっちなんだはっきしせよやあ」(続けるのかやめるのかはっきりしろ)とつっこみいれたくなる感じのお互いどうしようと迷ってるうじうじとした感じ、もしくはなし崩し的にやめるみたいな感じになる。
逆にどちらも「まい」を使うと、決定→賛同といった趣きとなり、体育会系のような「やめよう」・「その通りだやめよう」みたいなきっぱり感が湧く。
立場が対等でない場合、目上に「やめまいか」というのは馴れなれし過ぎるので「やめるかあ」とかを使うことになる。「まい」に関しては個人差はあるが使ってもムッとはされない事が多い。
目上はどちらを使ってもとんじゃかない。しかしながら「まいか」を連発すると決断力のない人の声をやけに気にする奴と思われがちになる。
強引にまとめると
「まい」は決意・「まいか」は伺いというニュアンスになる。
ちなみに古語辞典で「まい」は載っていないが「まいか」は「婉曲に希望し、勧誘する意を表わす」として載っている。意味はその通りなので想像ではあるが、「まいか」が本来あってそれの強調形として「強く希望し誘導する」みたいな使い方で「まい」が発生したんじゃないのかなと。勝手な想像ですけどね。
ちなみのちなみで古語辞典に載っている「まい」(打消しの推量を表わす)と遠州弁の「まい」はその意味が全く異なる。
この系統では他に「まいや」(しようじゃないか)と煽る・提案するみたいな表現とか「まいに」(現在うまく説明できない)とかもあるのだが「まいか」にニュアンスが近くて説明するにこんがらがってくるのでまた別の機会があれば。
後、同じ意味使いである「ざあ」・「ざあや」については本家はしぞーか弁らしいのでそちらを勉強してから述べることにします。
例文音声はこちら
ちなみに遠州人というか自分が受ける感覚でいうと、「ざあ」って「さあ」(いざ)って感じみたいに受け取れるのでなんか直ぐやれみたいな印象を受ける。なので「まい・まいか」の方が緩やかで「ざあ・ざあや」だと早急にというイメージを持っている。合ってるかどうかは定かではないけれど。
「遠州弁」→「共通語」(例文)補足説明という表記順で。
「のままい」→「飲もうよ」(たまにゃ一緒にのままい) この場合「のもまい」という言い方もあるが若干違和感を感じる。「のまざあ」という言い方も意味はほぼ同じ。
「のますか」→「飲もうじゃないか」(徹夜でのますか)
「のますか」→「(誰が)飲むか」(誰がてめえとのますか) と二通り存在して、非常にどっちか分かりにくい。イントネーションが違うので遠州人にとっては区別はつくのだが。
「のみえん」→「飲めない」(ど熱くてのみえん)
「のみいん」→「飲めない」(炭酸わし嫌いだでのみいん) 今度は訳が一緒になるややこしさ。実際はどちらも違いはないのだが無理矢理使い分けをこじつければ、下戸で飲めない場合とかは飲めないから「のみいん」で運転しなくちゃいけないのでという場合とかは飲みたいけど「のみえん」。
「のんだらか」→「飲んであげようか」(のまんならわしのんだらか)
「のんだら」→「飲んだろ」(わしののんだら)
「のんだだ」→「飲んだのだ」・「飲んじゃったの?」(不味いけど無理してのんだだ)・(え~!これのんだだ?)
「のんだにい」→「飲んだよ」(それはわしがのんだにい)
「のんだでね」→「飲んだからね」(悪いがそこにあったののんだでね)
「のむだか」→「飲むのかよ」(これをのむだか)
「のむだら」→「飲むでしょ?」・「飲むでしょう」(あんたものむだら)・(多分のむだら)
「のむだらあ」→「飲むんでしょ?」・「飲むと思うけどな」
「のむだらか」→「飲むだろか」(果たしてじいちゃんのむだらか) とまあ、「む」と「ん」では意味合いが変わってくることが多い。
「のまっか」→「飲もうか」(のまんならわしのまっか)
「のまさすか」→「飲ませようか」・「飲ませるか」(たまにゃあいつにものまさすか)・(絶対あいつにはのまさすか)
「のまさすかあ」→「飲ませようかな」・「飲ませる訳ないだろ」
「のませすか」→「飲まそうか」(どうしっかのませすかなあ)
「のましっか」→「飲まそうか」(どうしっかのましっか) ほぼ「のませすか」と同じ。
「のまさせすか」→「飲まさせない」(今日は大事な日だで絶対のまさせすか) 「のまさせすかや」と「や」が入るとより強力な意思が感じられる。
「のませすかあ」→「飲まそうかな」・「飲ませないよ」 「のまさすか」と「のませすか」の違いについては微妙で尚且つ同じ言葉でも意味が逆転するのでややこしい。ただ「さ」より「せ」を使ったほうが上から目線っぽいのでえらそうな物言いにしたいような場合には「さ」を使うほうが効果的かと。
「のましい」→「飲ませなよ」(欲しそうにしてるでのましい)
「のましたりい」→「飲ませてあげなよ」
「のましいん」→「飲ませられない」(まだこの時間じゃのましいん)
「のましょ」→「飲ませろ」(やあ、のましょうやあ)
「のみくさる」→「飲みやがる」(こんな時間にのみくさる)
「のんでけつかる」→「飲んでいやがる」(仕事さぼってのんでけつかる)
「のむにい」→「飲むよー。」(悪いが先にのむにい)
「のむらあ」→「飲むでしょ」・「飲むだろう」(あんたものむらあ)・(あいつもきっとのむらあ)
「のますけえ」→「飲まないよ」(のまんと決めただでのますけえ)
「のまんとを」→「飲まないと」(苦くても効くだでのまんとを)
「のむだに」→「飲むのに」(まだのむだに片さんでもいいじゃん)
「のむにい」→「飲むよ」(まだのむにい)
「のみない」→「飲みなよ」(ちゃっとのみない)
「のみすけ」→「飲兵衛」(こののみすけ)
「のんだらかんだか」→「飲んじゃいけないのか」(ここじゃのんだらかんだか)
まだまだあろうが、きりがないのでこの辺で。
例文
A「やあ今日帰りのんでかまい。」
(お~い今日は帰りに飲もうぜ。)
B「おおいいぜ。おんしのおごりでのますか。」
(おおいいよ。お前のおごりで飲もうじゃないか。)
A「馬鹿こいちゃかん。ワリカンに決まってるじゃん。で、Cわあ。」
(冗談いうなよ。ワリカンに決まってるだろ。ところでCは?)
C「わし車だで のみえんで帰るわ。」
(俺は車だから。飲めないから帰るわ。)
A「Fはのみいんかったけか。」
(Fは下戸だったっけ。)
B「Dわぁ。あいつぁは誘わんだ?」
(Dはどうよ。あいつは誘わないのかい。)
A「あんな奴となんか誰がのますか。はあ勘弁でえ。」
(誰があいつとなんか飲むか。もうこりごりだよ。)
C「なんでえどうしたでえ。」
(なんかあったのか?)
B「まああいつぁがんこ飲むでの。」
(まあ量飲むからなあいつは。)
A「ふんでいっつも酒癖悪くて始末に負えんくてやあ。」
(しかもいつも酒癖悪くて始末に負えないしね。)
C「酒さえ入らにゃ普段大人しいだんな。」
(酒さえ飲まなきゃ普段は大人しいんだけどな。)
B「自分に素直でいいことじゃん。」
(まあとことん自分に正直なんだろうな。)
A「ついてけんわあ。馬鹿ひょんきんだらあ。」
(普通じゃないだろ。あの変わり様にはついていけないよ。)
「凄く旨いでしょ」と言っている。「どうまいら?」と語尾が上がれば「「凄く旨いでしょ?」となる。「どうまいらあ」だとイントネーションの違いで「凄く旨いでしょうに」・「どうだ旨いだろ」という二通りの解釈ととれる。語尾が上がって「どうまいらあ?」となれば「そうだろ?凄くうまいでしょう?」とかになる。
「どうまいら」の使い場所としては例として
「ね、分かるらあ。どうまいら。」
訳すと「ねえ分かるでしょ凄く旨いでしょ。」といった感じで同意を強く求める勢いになる。
「どうまいだら」だと「凄く旨いんでしょ」つまりまだ食べてない状態での発言。
まだそれを食べていない人に自分が今食べていて旨い事を伝えたい場合で「これ食べてご覧よほんとこれは凄く美味しいよ」ということなら
「これ喰ってみいにホントこれどうまいにい」
同じように薦める状態で自分も今食べていない状態で「これ食べてご覧よほんとこれはすごく美味しいんだから。」ということなら
「これ喰ってみっせえホントこれどうまいでえ」。女性言葉なら「これ食べてみいにいほんとどうまいだにい」
食べる前から旨いだろうとは思っていたけれど「食べてみたら凄く旨かった」だと
「喰ったらばかうまかった」
食べる前は旨いとは思っていなかったけど食べたら「思ってた以上に旨かった」だと
「いやあがんこうまかった」
人に勧めたくて「本当に旨いよこれ」という場合には
「ホントうまいにいこれ」
人に理解して貰いたくて「本当に旨いんだよこれ」だと
「ホントうまいだにいこれえ」
人に納得して貰いたくて「本当に旨いんだから食べてごらんよ」だと
「ホントうまいだで食ってみいって」
とかになる。あくまで一例でありましてパターンはまだいくらでもありますが複雑にしても分かりにくいので。
ちなみに旨いの強調形のパターンを挙げると
「どうまい」・「ばかうまい」・「がんこうまい」・「うんまい」
とかがよく使われるのではないか。明快な使い分けは多分ないと思われる。
蛇足ではあるが女性の場合「にい」表現を多用すると可愛らしいと映ることがあるらしい。
蛇足の例文
「これあんたけえ。」
(これやったのあなたなの?)
「違うにい、にいにだにい。」
(違うよ兄ちゃんだよ。)