遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
「そうすれば済む事だろう」と言っている。遠州独特かどうかは定かではないが。別の言い回しでは「済むこんじゃん」というのもある。
「一旦家に帰って出直ししてくりゃいい話じゃん。」
(一度家に戻って出直ししてくれば済むことじゃないか。)
より強めというか追い込むような場合には後に男言葉なら「違うだ?違わんら。」女言葉なら「違うう?違わんらあ。」を付け足す形になる。
「一旦家に帰って出直ししてくりゃいい話じゃん。違うだ?違わんら。」
無論「あんたにとってもやれりゃあいい話じゃん」(あんたにとってもやれるなら悪い話しじゃないでしょ)とかいうごく普通の使い方もする。
例文
「なんでえ いごかんじゃん。修理しんだ?」
(なんだよ動かないじゃないか。修理しないのか?)
「どうせすかなあ。新品に替えすかな。」
(どうしようかな。新品に替えようかな。)
「なんでえ まだ使えるらあ。そこんさあの部品 とって よこいて 直しゃあ いいはなしじゃん。でけんなら わしん直いちゃるにい。」
(どうしてだよまだ使えるだろう。そこにある部品をこっちもってきて直せば済む事じゃないか。出来ないなら俺が直してあげるけど。)
「直しいんじゃなくてはあ飽いたもんで替えすかなって思ってるだよ。」
(直せないんじゃなくてもう飽きたから買い換えようかなって思ってるんだ。)
「金持ちゃ違うのっ。うっちゃるだったらわしにくりょ。直いて家で使うで。」
(金持ちは違うねえ~。棄てるんだったら頂戴。直して家で使うから。)
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訳すと「普段どおりにしてればいいでしょう」・「取り繕うんじゃねえよ」。
男女共用の表現であろう。どうということもないけれど何気に遠州弁っぽいかなと思い記載。
例文
「やあ。よそいきとか着てんでええだか?」
(なあ。よそいきとか着なくていいのか?)
「そんな気張らんでもいつもみたくしてりゃいいじゃん。」
(そんな意識しなくても普段どうりにしてればいいの。)
「そおゆう訳にもいかんらあ。先生来るだら?みばよくしとかんとかんだら。」
(先生が来るんだからそういう訳にもいかないだろう。体裁整えといた方がいいんじゃないのか?)
「却って気い遣わすだけだで見苦しいって。」
(却って気を遣わせるだけで見透かされるって。)
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「ばかがんこうはうはでえ」
遠州弁における最上級の濡れ手に粟表現ではないかと。
それを「ばかがんこうはうはだら」と問う形に替えてみる。言われた方は「馬鹿こいちゃかんて」と応える。
関西弁の「ようけもうかってまんなあ」・「いやあぼちぼちでんがな」みたいなものか。そういう感じなので厭味っぽさは薄いことが多い。
ほぼお決まりの挨拶であるが、これが「冗談ゆっちゃかん」と応えると険悪になりやすい。「なにゆうてまんの」よりむきになって否定してる感が強い。
ちなみに「もうかってまっか」だと遠州弁では「ばかがんこうはうはけえ」となる。
例文
「おめえはいいよなあ。ばか がんこ うはうは だら。」
(羨ましい限りだよ。もう笑いが止まんないんじゃないの?)
「馬鹿こいちゃかんて。どこがよを。こっちゃいっつもひいひいだにい。」
(なにいってるんだい。どこがウハウハなんだ。こちとらいつも四苦八苦だよ。)
「なにい、最近宝くじかなんか何度か当たったって聞いたにい。」
(え~?最近宝くじとかが何回か当たったって聞いたよ。)
「宝くじじゃねえわあ。あみだくじ!どぶさらいの当番のっ!三週連続!」
(宝くじじゃないわ。あみだくじ。ドブ掃除の当番が三週連続もっ!)
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「もう歯を磨く」と言っている。
遠州弁のイントネーションを知るにはこのふたつの「はあ」の違いを会得するのが大事であろうて。
より一層こ難しくすれば
「はあ?あんたあはあはあみがくだあ?息はあしてみいそんな匂いもしんら。」
(ええ?あなたはもう歯を磨くのか?息を吐いてみなよそんなに匂ってないじゃないかよ。)
例文
「さっきい晩飯食ったっつうだにはあ歯あ磨くだか。早寝だなあやあ。」
(さっき晩御飯食べたばかりだというのにもう歯を磨くのかい。早寝なんだねえ。)
「なにゆってるよを。食べたらちゃっと歯あ磨くだあれ。虫歯予防にいいだにい。」
(何言ってるんですか。虫歯予防の為に食べたら直ぐに歯を磨くものですよ。)
「うちゃあ寝える前っつうんが習慣だもんでねえ。」
(うちは寝る前にっていうのが習慣だからね。)
「なら寝る前にまた歯あ磨きゃいいじゃん。」
(ならば寝る前に又歯を磨けばいいじゃないですか。)
「そんなしょっちゅう歯あ磨いてたらこすれてなくなっちまわあ。」
(そんなしょっちゅう歯を磨いていyたら磨り減ってしまうだろうに。)
「ふんだだこたあねえよ。」
(そんなことはないでしょう。)
「目が見えない」を遠州弁で言う場合。
分割して遠州弁に直すと「目が」は「めえ」。「見えない」は「めえん」となる。
しかしながら実際のところは「めえめえん」とは言わず「めえみえん」というのが普通であろう。
これが間に「よを」(よく)とかが入ると「めえよをめえん」とはなる。
と、ここまでは「めえん」の記事で説明した。
「いかいいかかいいかす」(大きいイカを買いに行こうか){いかい+いか+かい+いかす}
「いかいいかかいいいかす」(大きいイカを買いに行かせる){いかい+いか+かいい+いかす}
「そんななあなあなあなあでええだあ」(そんなのはねえいい加減でいいんだ){そんななあ+なあ+なあなあで+ええだあ}
「そんななあなあなあでええだあ?」(そんなねえいい加減でいいのか?){そんな+なあ+なあなあで+ええだあ?}
と言った風に遠州弁は言葉遊びしてるんじゃないかと思える程同じ音が連なることを躊躇しない方言なのだが、不思議と「めえめえん」という言い方にはざらつきを感じる。それでいて「魂胆みえみえ」とかの「みえみえ」は「めえめえ」と言ってもスムーズに受け入れられるからこれまた不思議。
ちなみに意味不明ながら言葉遊びとして
「いかすみいかすいかいいかかいいいかすといかまいかかいまやすいかもや」
(イカ墨がいかした大きいイカを買いに行こうじゃないか。今だと安いかもよ)
{イカ墨 イカス いかい イカ 買いい いかすと いかまいか 今 安いかも や}