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遠州弁の箱

遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります

「けっからかいた」と「けっつまづいた」の使い分け

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「けっからかいた」と「けっつまづいた」の使い分け

遠州弁的言い回し

「けっつまづいた」は共通語であるが

「けっからかいた」は方言っぽい。

「けっつまづいた」は共通語の部類に入るだろうから説明は省くとして

「けっからかいた」は「やっきりこいてけっからかいた」などの「物に当たって溜飲を下げる」といった「意識的に蹴り上げる」という意味使いの他に「勢いよく躓いた」(つまづいた)という意味使いもする。

例えば「タンスの角でけつまづいた」というのを

「タンスんくろにけっつまづいた」と「タンスんくろけっからかいた」とした場合のニュアンスの違いは

「けっつまづいた」は「物が足に当たってバランスを崩した」

「けっからかいた」は「物が足に当たったがバランスは崩れなかった」

という風にとれる。

視点的にも

「けっつまづいた」は「タンスに足が当たった」

「けっからかいた」は「足がタンスに当たった」

という違いも感じられる。

ちなみに

「けっつまづく」はカ行五段活用

「けっからかす」は「しでかす」や「やらかす」とかと同じのサ行五段活用

「けっつまづいた」は「蹴り爪突いた」の「り」が音便化したものと邪推するもので「けつまづく」より衝撃の勢いが増す効能を感じるものである。

「けっからかいた」も「けっ」は「蹴り」だとは邪推されるが「からかす」の「から」がなんなのかいまいち分からん。

古語辞典で近い言葉はないかと探ったところ「からかふ」自動詞ハ行四段活用で①争う。②なぶってもてあそぶ。じらして苦しめる。というのがあったが辞書での「からかう」よりかはニュアンスが近いかもしれないが「けっからかす」は感情のほとばしりであって①とは微妙に②の意とは相いれなさ過ぎるので違うだろうな。

つまりやっぱり分からん。

なお、「からかいた」とか「からかす」とかは言わないので、「けっから」でひとつと思われるという勘繰りも成り立つ。が、こっちも「けっから」ってなんじゃいと訊かれても「さあ?」ではあるかな。「けつかる」が近くはありそうだが意味が通らんものなあ「蹴ってけつからかした」じゃあねえ。

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