遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「おてしお取って。」と言われてなんのこっちゃいと戸惑ったことがある。食卓塩かと思って渡したら「無知」と言われた経験を持つ。
要は小皿のことであるが、塩を盛る程度の小さい皿のことなのだろうか。どこまでのサイズの皿とかを「おてしお」と呼ぶのか知らないが刺身につける醤油皿くらいはまあ確実に「おてしお」なんだろうなと予想される。
でもなんで「皿」という文字が省略されてるのかいまいち理解出来てない。
これが方言かといわれると疑問ではあるが、いわれというかそもそもは醤油が生まれる前の味付けが塩のみの食生活であった頃に生まれた言葉らしく、随分と古い言葉ということらしい。それが他の地域では廃れているが、遠州ではまだ生き残っているといえるのかもしれない。ただ遠州人なら誰もが知ってるかと言うとそうでもない。少なくとも私は若い時分は知らなんだ。
例文
「おてしお取って。」
「ふん。」
(ほれ。)
「あんたあ塩くれてどうせるよお。そこんさあの小皿くれっつってんの。物知らんにもほどがあるにい。」
(あのねえ食卓塩よこしてどうするの?そこにある子皿を頂戴って言ってるの。物を知らないのにもほどがあるよ。)
「皿ってどれよを。」
(皿って、どの?)
「わからにゃなんしょまるさらでええわ。」
(分からなければ全部でいいよとりあえず。)
「ふん。」
(ほれ。)
「あんたねえ。丸い皿ばっか持ってきて人の話し聞いてるだ?」
(あのねえ丸い皿ばかり持ってきてちゃんと人の話し聞いてる?)
中途半端に遠州弁を知らない人との会話。「さら」の意味が分かっていない。
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おんぶされてる・背負われてるとか言う意味。おんぶする側ではなくされてる側の状態を表わす言葉。方言と言うより古い言い回しが遠州に残っていると考える方が自然か。
逆(背負う)の場合は「おぶう」・「おぶす」という。共通語だと「おぶる」となるらしい。
たまに「寄りかかる」という使い方もしたりする。
「やあ、木におぶさってんじゃねえよ」で「おい木に寄りかかってるんじゃないよ」といった具合。つまり人に限らず物に対しても使われるということ。
例文
母「はあしんどいだらあ。おとおちゃんにおぶさんな。」
子「まだいけるでええよ。」
母「無理しんでもいいに。」
父「頑張れ。わしもその方が助かる。」
母「あんたなにゆってるよを。ふんと、うちの男衆だらしんない。」
父「普段誰かさんにこき使われてるもんでね。」
母「ホントぶつにい。」
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教わると書いて、共通語は「おそわる」と読むのだが遠州弁では「おしわる」と読む時もある。
「おせわる」という言い方は無いが、「教える」を「おせえる」という言い方は存在する。
ごくごく稀に「おしょわる」と言う人もいる。「和尚背負ったっつっておしょわった」とかしょんない語呂遊びすることも出来る。
例文
「そんなやり方誰におしわったよお。」
「なんでえなんか変けえ。」
「他の衆とやり順違うで、組んでやる時えらかないか。」
(他の人とやり方の順番違うからコンビ組んでやる時やりづらくないのかい。)
「まあよーゆわれるけど。」
注、「誰におしわった」の部分。「に」が「ん」に遠州弁では変わることが多いがこの場合は「誰んおしわった」にはならない。「誰んおしわった」だと「誰が教わった」となってしまう。「ん」を使うとなると「誰んおしえた」(誰が教えた)と言うことになる。
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思いっきりと言う意味。他には「おもいきし・おもいっきし・おもいきさ」という言い方もある。
これを使う効果は勢いよくというニュアンスがより付加されるところであろうか。
例文
「やあ、たんすのくろおもいきっさけっからかいてどいてえやあ。はあたまらん。」
(くっそー。たんすの角に思いっきりけっつまづいて痛いのなんのって。もうたまらん。)
「血い死んだだ?」
(青あざになったのか?)
「わからん。爪はいいみたいだけど。ど怒れるやあ。」
(分からない。爪の方は大丈夫みたいだけど。なんかむかつく。)
「怒らん怒らん。ちいとたちゃあ治まるで辛抱しない。」
(怒らない怒らない。もう少しすれば痛みも治まるから我慢しなよ。)
「う~おめえにも分けてやらすか。ちみくったる。」
(う~んお前にもこの痛み共有させてやろうか。つねってやるわ。)
「やあ馬鹿っつらなにしてけつかるだあ。」
(おいこらちょっと待てよ。なにしやがんだ。)
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広範囲に使われる「おととい」の方言的表現。遠州でも使われていると言うことで記載。
と、思っていたのだが辞書を引くと
「おとつい」{をち「彼方」つ日の変化}おととい。一昨日と書く。とあった。
つまり元は「おとつい」であったものが「おととい」になったという方言とかじゃないという事。どちらかといえば古い日本語が多く残っているのが特徴の遠州弁としては「おとつい」が正しい言い回しであるということなんだろうか。
しいて方言性を探すとなれば「おっとい」という言い方をする人もいるのが方言らしいところか。
実際には個人の好き好きで使っているので「おととい」と併用で使われている。特に地域性に進化した意味を持つ訳ではない。なので話しがそう広がるネタではない。
例文
「おとついどこいた?」
(一昨日はどこに居た?)
「おとついは・・ってなんで?」
「ぱっちーやってたっつうの見た人いたもんで。」
(パチンコやってたのを見た人がいたから。)
「ふんだだこたぁねえわぁ。ちゃっと家ん帰って寝てたわ。」
(そんなことはないよ。直ぐ家に帰って寝てたよ。)
「だらねえ。はやびけしたもんなおとついは。風邪ひいてえ。」
(だよね。風邪引いて早退したもんねおとといは。)
「だよを。誰んそんなこんゆってたよを。」
(そうだよお。誰がそんな事言ってるんだ?)
「わし。」
(オレ。)
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