遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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あそこの辺りとでも申しましょうか。あそこらへんって方が適格か。
「さあ」と言うのが~の辺りということになる。共通語でいうところの「あのさあ」とか「さあね」とかいう使い方ではない。
例文
「川んさあに生えとる草。なんか珍しい種類らしいだでやたらくしゃとっちゃかんらしいに。」
(川の辺りに生えてる草がね。なんか珍しい種類みたいだから、むやみに採ってはいけないらしいよ。)
「へえー初めて聞いたよお。そんな変なの昔っから生えとったかいやあ記憶んないよお。」
(へー初めて聞いたよ。そんな珍しいの昔から生えてたかなあ記憶にないよ。)
「こないだノブさあんとこのとっつぁま、草刈機であそこんさあ刈っとたら注意されただと。」
(この間ノブさんところのお父さんが草刈機であそこら辺を刈っていたら注意されたんだって。)
「誰にい。」
(誰にだよ。)
「そこんさあよーわ知らんだけどやあ。ゆわれただとっ。」
(そこらへんは詳しく知らないんだけど、とにかく言われたんだって。)
例文音声はこちら
あくまで「さあ」であって「さ」ではない。他所のお国言葉の「どこさいくだ?」というのは違うような気がする。
なので蛇足だが「あんたがたどこさ」というような使い方はしない。遠州弁だと「あんたらどこよを」となる。若しくは「よを」の変わりに「でえ」。
刺さる(ささる)。別にまんま共通語であるが使い方が多少他の地域とは異なる。場合がある。
「車がガードレールに突き刺さっていた。」の場合
「車んガードレールにささっとった。」
「車が田んぼに落ちていた。」の場合
「車ん田んぼにささっとった。」
普通棘が刺さるとか釘が刺さるといったある種鋭利な感じのするものに使うような気がするのだが、遠州ではありえないようなもんでも「ささる」を使う。無理矢理とか強引に入ってる状態と言う場合でも使うときがある。鋭利な表現にしたいときは「突き刺す」と言うのが一般的。
同じような表現に「くすがる」というがあるが、これとの使い分けとかは曖昧に思える。
ちなみに、犬神家の人々の有名な湖に足が浮かんでるシーン。あれを遠州弁で言うと、「湖に人ん頭からささっとって足だけ出とった。馬鹿ひょんきんやあ。」となる。
「まるさら」(まるごと)・「はこさら」(箱ごと)・「いえさら」(家ごと)・「皮さら」(皮ごと)
共通語だと思っていたぐらい素直な表現なのでこれが方言だとは意外。辞書とかにも載ってないのでそうなのかなと。
今更(いまさら)とか、まっさらとかの「さら」と意味は全然共通性はないけれど親戚筋なのか他人の空似なのかは不明。
例文
「ここんさあんのまるさらもってって。」
(ここにあるもの全部持っていって。)
もし万が一丸い皿があったとしたら、遠州弁を知らない人だと丸い皿だけ持っていけと判断するのであろうか。そうなると「あんたなにやってるよー。人の話し聞いちゃいんだか?」と当然言われるわなぁそりゃ。
例文2
「そのお菓子頂戴。」
「喰うけ。・・・・ほれ。」
「うんまい!これ、どうまいじゃんかあ。もっと頂戴。箱さらくりょう。」
「虫歯んなるし太るにぃ。ええだか。」
「かまわすけえ。はあ太いし歯医者にも通ってるでとんじゃかないわあ。」
「おお!強気だの。」
例文音声はこちら
させろと言っている。詐称(嘘)とか些少(こまけえ)とかいう意味ではない。
「かしょう」(貸せ)・「まかしょう」(まかせろ)と同じ「しょう」という使い方の言葉。
やらせろと言う意味で「やらしょう」というのもあり、これとの違いは「さしょう」の方が強めの言い方になるということである。まあ共通語の「させろ」と「やらせろ」の違いと同じであるが。
「やらしょ」・「やらしょう」・「やらしょうやあ」と言う使い方があるが、
「さしょ」・「さしょう」・「さしょうやあ」のうち「さしょ」はあまり使わない。言いにくいからであろうか。
これが「かしょ」(かせ)であれば逆に「かしょう」の方が言いにくいのか「かしょ」の方が多く用いられる。
「やあ」は意思を示している。「さしょうやあ」の場合だとしたい・する意欲があるという意思を表わしていることになる。
例文
「あーもー見ちゃおれんで、さしょうやあ。ホントとろ くっさい。」
(もう見てられないから私にさせろよ。本当要領悪いんだから。)
「そこまでゆわんだっていいじゃん。」
「ええでかしょお。」
(いいから替われ。)
「ってなによう、大して変わらんじゃんか。」
(ってなんだよ、大して変わらないじゃないか。)
例文音声はこちら
歌舞伎だかなんだかの演目「白浪五人男」での有名なセリフ
「知らざあ言って聞かせやしょう。」
で有名な「ざあ」。世間では古い言葉かもしれないが、遠州では当たり前に現役の言葉として使われている。ただし意味使いは変化している。というか別物だろうな。
「しらざあ・・・・」のセリフを今の遠州弁にすると
「知らんだったら教えちゃるにい。だで、よお聞きない。」となる。
今の使い方では、「やらざあ」(やろうぜ)・「買わざあ」(買おうよ)・「行かざあ」(行こうぜ)
といった「~(し)ようよ・~(し)ないと」という意味で使われることが多い。
例文音声はこちら
「結婚しようよ」を「結婚しよざあ」とは言わない。脱線するがこういう場合は「結婚しまいか」。無理に「ざあ」を使うとしたら「結婚式やらざあ(まい)」。
古い使い方のほうは「ずば」「ずんば」という意味であろう。辞書によると「ざあ」は「ずば・ずんば」の俗語となっている。なので以下の使い方は方言というよりも昔の日本語をまだ使ってるということになる。
「知らざあ」(知らないんだったら)・「買わざあなるまいて」(買わなくちゃならないだろうに)
こうしてみると同じ「ざあ」でもやっぱり別物と言えなくも無いかな。
ちなみに古い使い方のは現在は「にゃあ」・「んだったら」・「んと」とかの表現に変化してきている。
「知らんだったら」・「買わにゃあ」(買わなくちゃ)・「買わんと」(買わないと)