遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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ひょうきんが変化したもの。ひょうきんを漢字で書くと「瓢軽」。共通語の意味はお気楽(又はおちゃらけ)なこっけいな事をいったりしたりすると言った意味になる。一種のピエロということか。
遠州弁ではそれらの意味使いの他に、常軌を逸してる・極端なこと、普通じゃないこと異常なこと不可思議なことを指す時や想像以上に意外・予想を遥かに越えたとかにも使う。人に対してだけでなくそう見えたもの全てに対して使われる。そういう使い方の場合は笑えない話しが多いので意味が分からずとり笑い話かと思ってあえず笑っとけとかいうことをするといい結果は得られない。
例文
「ばかひょんきんやあ。あいつ飯喰いがつらコーラ呑んどるだでえ。ホント見ててどきもるいだあ。」
(物凄く変なもの見ちゃったよ。あいつご飯食べながらコーラ飲んでるんだよ。見ていて気持ち悪くなっちゃった。)
「岩と岩んあいさの割れ目から生えとるたあひょんきんな木やしぃ。」
(岩と岩の間の割れ目から生えてるなんて珍しい木だなあ。)
「うちん餌貰いに来る野良猫。魚くれてやっても残すだに、そんで猫の癖してドッグフードは残さず喰うだにぃ。ねえひょんきんだらあ。」
(家に餌貰いに来る野良猫なんだけど、魚あげても残す癖にドッグフードは残さず食べてくの。ホント変な猫でしょ。)
とんびが鷹を生むと言う「ありえないだろうが」的な表現があるがそれに近い意味で上記のような使い方もある。
「あいつ得するとなると眼の色変えるだよ。ひょんきんだらあ。」
(あいつは得するとなると眼の色が変わるんだ。現金な奴だと思わない?)
遠州では、「現金な」ということでも使う。
例文
「あそこんさあの息子さん東京の有名大学受かっただって。」
「うっそぉほんとにぃ?わし同級生だったけど二人とも弩馬鹿だったにい。あんの二人からでけた子があったまエエなんて馬鹿ひょんきんじゃん。信じれんよお、うそだらあ。」
「あんた露骨にゆうねえ。わしとてもそんなこといえんよを。」
「だってえ、そんなことわしになあんにもいやせんだもん。ほんとぉ知らんかったやあ。」
注、「いやせん」言わないという意味・「なあんにも」何もの誇張表現
例文音声はこちら
貧しょったい。貧乏臭い・みすぼらしいと言う意味。「ぶしょったい」(不精ったい)とよく似た使い方の言葉。それだけに「ひんしょったい上にどぶしょったい」(貧乏臭い上に格好悪い)となるとどんびき状態このうえないということになる。
例文
「あんたがそれ着るとなんかひんしょったいやあ。なんでかねえ。」
「悪かったねえひんしょったくてぇ。」
「いつもど派手なもんばっか着てるもんだで、そおゆう地味なのらしくない風に見えるだかいやあ。」
「悪かったねえ派手好きでえ。」
「それとも顔ん派手だもんでえ、服ん地味だとおかしくなるだかいやあ。」
「失礼こいちゃうやあ。あんたねえ、喧嘩売ってるだか?しまいにゃ怒るにい。」
あくまで親子のような非常に近しい関係性での会話。知人隣人に向かってこんな事言えば人間関係が崩れるのは言うまでも無い。
例文音声はこちら
冷やしておくと言う意味。誰かを冷やかしておく(冷やかしをしておく)とかいう意味でも使って使えないことはないが基本的には物を冷たくしておくことで使う。
「~かす」(~かせる)という言い方は遠州では多用する傾向にあるが、「ひやかす」という言い方は冗談を言うとか見るだけで買わないという方がまず思い浮かんでくるので「甘やかす」みたいな使い方の「ひやかす」という使い方はしないということであろう。
例文
「家でスイカんなって食いおせんであんたよかったら食べてやあ。」
(うちの菜園でスイカが生ったんだけど食べきれない程獲れたからよかったら食べて。)
「いつも悪いやあ。ほいじゃちゃっと冷蔵庫入れすかねえ。あっ!そうだ麦茶ひやかいてあったで飲んでってやあ。茶請けもあるで。」
(いつも済まないねえ。それじゃあ直ぐ冷蔵庫に入れようか。ああそうだ麦茶冷やしてあるから飲んでいってよ。お茶菓子もあるからさ。)
「いいってそんなあ。気い使わんでよおホント。」
(いいわよそんな。気を使わないでね。)
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「しつこい」の「し」が「ひ」に訛った表現。個人差があるので遠州人が皆そう言ってる訳ではない。
共通語だけれど「こい・こく」とつながると遠州弁っぽくなる表現である。
個人的な解釈であるが、この表現の便利なところは「執拗に」(しつように)の「執こい」が「ひつように」(必要に)の「必こい」とも誤って聞こえるので若干波風が穏やかになる効能があるのではないかと。
余談だが「必要に迫られる」はあるが「必要に迫る」という日本語は存在しない。「執拗に迫る」と勘違いしたものであろう。
「し」が「ひ」に変わるのと似たようなものでは「思い出して」を遠州弁だと「おもいだいて」となるのであるが、この表現だと「思い抱いて」(おもいだいて)とも解釈できなくも無い掛詞っぽくなる曖昧さがでてくる。
根拠がある訳ではないがどちらかというと遠州弁は「し」を嫌がる傾向にあるのであろうか。言ってる本人は意識していない場合が多いが「しっちゃかめっちゃか」を「ひっちゃかめっちゃか」という人もいる。さすがに「しんぶんし」を「ひんぶんひ」という人はいないが。「ヤル気出して」は「ヤル気出いて」とか言う風に「し」は「い」や「ひ」とかに変わる傾向になるのは確かであろう。「お金貸して」を「お金貸いて」とは言わないが「返して」は「かやいて」と言う。
脱線したが、「し」と「ひ」の入れ替えは江戸の言葉とは逆ともいえる。東を「しがし」とか人を「しと」とかいう言い方は遠州ではまずしない。そういう意味では関西系の表現になるのであろうか。
「ひつこい」を「ひっこい」という人は流石にいない。
例文
「馬鹿ひつこい。」
(も~ホントしつこいんだからあ。)
「なにがあ。」
(どうしたの?)
「聞いてやあ。あそこんさあに座ってる客。さっきいから馬鹿何回もまだでけんだかって言ってくるだにい。」
(聞いてよ。あそこに座ってるお客。さっきから何度もまだ出来ないのかって言ってくるの。)
「注文わあ。」
(何頼んだの?)
「○○の修理。小1時間くらい掛かりますよっつってええよっつうもんで待っててもらってるだけどやあ。5分おきくらいにまだかまだかってひつこく聞くだよ。」
(○○の修理。小1時間程掛かりますけどって言って了承して待っててもらってるんだけど。5分おきくらいにまだかまだかってしつこく聞いてくるの。)
「やっちゃおれんの。」
(やってられないね。)
「だらあ?おこらんだけましだけど。なんしょひつこいだよ。」
(だろう?怒り出さないだけましなんだけど。とにかくしつこい。)
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