遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「拾う」(ひろう)の訛った表現。ほぼ年寄り言葉。男女共用で使われる。
なんか旧仮名遣いみたいだが実際にそう言う。
「落ち葉拾い」を「おちばひらい」とは普通言わないが「葉っぱを拾いなさい」とかでは「葉っぱひらいない」とか言う風に使う状況に応じて訛る。
例文
「あんたこんなのどこでひらって来たよを。」
(あんたこんなのどこで拾って来たの?)
「失礼しちゃうやあ。買って来ただよ。ちゃんとしたパンツだでねえ。」
(随分なこと言ってくれるじゃない。買って来たの。ちゃんとしたパンツなんだから。)
「うっそだあ。落ちてたのひらって来たとしか思えんにい。穴んぼこぼこ開いてるしい。」
(信じられない。落ちていたのを拾って来たとしか思えない。破れがそこいらじゅうあるじゃないの。)
「馬鹿こいちゃかんて。結構しただにい。」
(冗談じゃないわよ。結構したんだからね。)
「やんぶれたズボンなんかなに使うよを。わきゃあわからん。」
(破れたズボンなんか一体何に使うの?訳が分からない。)
「いいだよ分からん衆に何言っても無駄だで分からんでもを。」
(いいの分からなくても。分からない人に説明しても無駄だから。)
「そんなんで外歩くじゃないらねえ。こぶしょったい。」
(それはいて外に出るんじゃないでしょうね。見苦しい。)
「いらんこんじゃん。」
(余計なお世話。)
例文音声はこちら
「びり」。「びりっけつ」がはしょられて出来た表現であろうか。
子供の時分によく使っていたが大人になると「どべ」・「けつ」・「どんけつ」とか言うようになったので子供言葉であろう。この言い方が遠州弁の言い回しなのかは不明であるが、ネットで調べると関東辺りでも近い言い回しがあるみたいなので、うちんとこの衆らの勝手な造語ということではなさそうでちゃんと存在しているのは間違いないところであろう。というかむしろこういう言い方を遠州でもしてたという言い方の方が正しいか。男子女子共用の言葉。
使いどころはなにせ大分前の事なので細かいことは思い出せない。が、悪意や中傷の籠もった表現ではなかったような気はする。
例文
A「やあ、野口公園集合な。」
(いいか野口公園に集合だぞ。)
B「何時にい。」
(何時にだよ。)
A「家にカバン置いたらちゃっとでえ。」
(家にカバン置いたら直ぐに来るんだよ。)
C「そんなどいい加減でいいだか。」
(そんな大雑把でいいのかよ。)
A「びっけの奴みんなでしっぺな。」
(最後に来た奴は皆からしっぺということで。)
D「それずいぶんじゃんわし一番遠いだに。」
(それはないよ僕が一番遠いんだから。)
A「ダメ、はあそう決めただで。」
(問答無用。もうそう決めたんだから。)
例文音声はこちら
「ひっぽらかす」という言い方もする。
ニュアンスを説明するのが難しい言葉である。
投げつけるというほどの勢いでは無いことは確かであろう。
「ぽ」は「放」であり、それに「ひっ」と「かす」というぞんざい表現が二重にくっついてるものであり、超雑な「放す」行為といった感じであろうか。「ほっぽかす」より度合いが強くなる。
他の「うっちゃらかす」・「ほうらかす」等と較べてもこれらの上を行くあれまあな放す行いということであろう。ただし順位というか比較することは難しい。
そもそもどういう状態を「ひっぽかす」というのかというのも説明が難しいところである。感情的に「むっ」ときていて反抗的な態度という趣もあるにははあるが、どちらかといえば感情とは関わりなくそもそもが雑な性格によってぞんざいな態度という場合で使われている事の方が多いように思われる。
設定、子供が学校から帰ってくるやいなや鞄を放って遊びに行っちゃうという状況で違いを考えると
「かばんうっちゃらかいちゃ駄目じゃん」
捨ててくようなという勢いでまるでもう用済みかのように映る様に対してものを邪険に扱うなと言っている。
「かばんほうらかいちゃ駄目じゃん」
放るものではない。つまりものを大事にしろと言っていると共に壊れたらどうするんだと丁寧な扱いをしなさいと諌めている。
「かばんひっぽかいちゃ駄目じゃん」
かばんをなんだと思ってるんだ。壊すつもりなのかくらいの勢いの感じで壊したらタダじゃ済まないぞと叱っている。
いずれも感情的に物(鞄)に当たってる訳ではないところであるが、物に当たるんじゃないみたいな言い方をする場合には
「かばん投げつけちゃかん」・「かばんに当たるじゃないにい」辺りとなろうか。
例文音声はこちら
「眩しい」と言っている。
「ひ」は「陽」又は「日」であろうからあくまで日差しに対して使うものであろう。
どの程度の眩しい事を指すのか、目が眩むのか目に刺さるのかなどについては、段階を表わすみたいな他の表現が思い浮かばないので眩しいと感じればとにかく「ひづるしい」という事なのであろう。
私は性格も悪いが目も悪いのでとにかく晴天で外に出れば目を細めなければ居られないので「ひづるしい」の連発である。個人差が大きいんだろうな。だから基準が決められないから眩しければとにかく「ひづるしい」んだろうかな。
書き方として「ひずるしい」か「ひづるしい」のどちらが正しいのかという事については全く定かではないが「ずる」という語呂がどうもなので「ひづるしい」を選択した。「日出処」とかだと「ひいづるところ」で「ず」ではなく「づ」だし。なんとなくね。
静岡県ほぼ全域と三河で使われてる言い回しらしく、モロ遠州弁ということではないらしい。
例文
「おお。真っ暗じゃん。はあ夜けえ。どんばえ~なあやあ。あっちゅう間だったなあやあ。」
「確かに。映画館入る前はひづるしいくらいだったでの。」
「やっぱあれだな。面白い映画観ると時間忘れれるもんで、外出てこう暗いとなんかさあ、現実に戻ったって感じするの。」
「別世界に行ってたみたいってか。」
例文音声はこちら
追記
「ひづるしい」か「ひずるしい」か
個人的には「ひづるしい」だと思っている。
「ひ」は日差しの「日・陽」で異論はないところであろう。「ひづる」ということではないだろうなと。つまり「ひ」+「づる」+「しい」ではなかろうかということ。「しい」は「馬鹿らしい」とか「わざとらしい」とかの「しい」であろうかと思える。
問題は「づる」であるが日差しがまぶしいと言っている訳で「陽」+「辛い」+「しい」と想像するところ。
「つらい」から「づる」に変わる変遷が想像出来ないところが難点ではあるし、「ひづるしい」以外「辛い」という意味合いで「づる」という言い回しになる言葉も思いつかないところもあって説得力には欠けるところではあるが
とにかくもし「づる」=「辛い」ということであれば「やりづらい」・「やりずらい」どっちが正しいかといえば「やりづらい」が正しいように「ひづるしい」・「ひずるしい」どっちがとなれば「ひづるしい」だということになるのでは。
で、「づる」は置いといて今度は「しい」。
辞書とかの説明では「しい」は強意を表わすということであるらしいが「憎い」と「憎らしい」では「憎い」の方が意は強く「憎らしい」はそれよりも意は弱めた言い方ということになるそうな。「憎たらしい」はどのレベルになるんだろ。
「らしい」は~という気持ちを起こさせる・~と感じられると説明されていた。
「しい」も「らしい」もどちらも断定を弱める効能があるのだとしたら「ひづるしい」を強めた言い方は「ひづるい」ということになるのであろうか。もっとも「ひづるい」・「ひづい」とかいう言葉は聞いたことは無いが。
まあとにかく「陽辛いらしい」ということで目を開けていられない状態程ではなく目を細めないといられない状態を指すという解釈が「ひづるしい」に当てはまるところと思われる。
つまりなんとか我慢できる範囲の眩しさの場合に「ひづるしい」を使いこの上となると「目え潰れる」・「開けてれん」・「目えおやす」とか言うことになるかな。
漢字から推測すると太陽が眩しいというものであって光が眩しいのではないので頭で考えると車のライトが「ひづるしい」とは言わない訳であるが実際には眩しいものに対して結構使われている。
「ひゃっこい」→「冷たい」・「ひゃっこく」→「冷たく」という意味である。
「すいかひゃっこくしてあるでたべない。」
(すいか冷やしてあるから食べなよ。)
「夏でも洞窟ん中入るとひゃっこいできんもちいーだよ。」
(夏でも洞窟の中に入ると冷たいから気持ちがいいんだよ。)
「客来る窓口はひゃっこいだに客来ん裏の事務室入るとドカンとするできらい。だであんまし何回も出入りしたあない。用は一回で済む様にしとくりょ。ほうでないと体おやいちゃう。」
(客が来る窓口は涼しいけれど客が来ない裏の事務室にいくと暑くてムッとするから嫌だ。なのであまり何度も行ったり来たりしたくない。用事は一度で済む様にしてくれ。そうでないと体調悪くしちゃう。)
例文音声はこちら
機械とお客にはこれでもかと冷房かけまくりだが、中で事務や作業をする人には経費節減という印籠を見せびらかす。「人は石垣人は城」なんて夢の世界。労働組合が強かった時代は多少歯止めがかかってたけど、今、過去の遺物の社会保険庁の体質を見ると諸手を挙げて昔は好かったなんて言えず痛し痒しでもある。
心が冷たくても「心んひゃっこい」とは使わない。心は「心んつべたい」か「心んつんめたっ」が普通であろう。
使いどころについては、必ずこうなると言い切れる自信は無いが、実際の使い方を考えるとこうだろうなと。
「ひゃっこい」
漢字にすると「冷やこい」であろうか。
要は冷たいと言っている訳であるが、それが不快というものではなくむしろ心地いいと感じてる状態を表わしていると思えるところ。
「風んひゃっこくて気持ちいい」
「ひゃっこくて腹冷えた。」みたいな場合は気持ちよくて度を過ぎて冷気にあたってしまって腹が不調になったという悪いのは「ひゃっこさ」ではなく「加減」という勢いになる。
時期としては夏場に於いて涼しいとかいうもので冬場には「ひゃっこい」は使われないと思える。冬での冷たいは「ちべたい」・「つべたい」がよく使われる。
「やあ、外どつべたくてたまらんに」
夏での心地よくない冷たいは「つめてえ」・「つめた」とかになろうか。
「冷房効き過ぎでばかつめた。」