遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
「雨んもおる。」(雨が漏る)
漏るを「もおる」と発する。
盛るを「盛おる」とは言わない。守る(もる)も「守おる」とも言わない。
因みに、子供のお守りは「もんりい」と言う(野郎言葉である)。
「おしっこを漏らした」の場合は、「漏らいた」となり「漏おらいた」にはならない。
茶碗にいみり(ひび)がいって漏る場合は「もおる」になる。
辞書にも載ってる言葉なので方言ではないが、今は「口の利き方」という言い回しの方が共通語的であり古い日本語がまだ遠州では普段使いされているということで記載。
大相撲とかで使われる「物言いがつく」とかいう使い方ではない。もし異議申し立てという風ではなく「いちゃもん」的なニュアンスだとしたら近いものはあるが。
ものの言い方・口の利き方とか云う意味。似たような言葉では「言い草」も良く使われる。あまり好意的な表現ではないのでそういわれたら言い方に注意というか気をつけたほうがいい場合が多い。
例文
「なにそのものいいわぁ。誰に向かって口利いてるよお。あんたあんましえらそうなこんこいてるとぶっさぐるにい。」
(なんですかその口の利き方は。誰に対してそんな事言ってるの?あまり度を越すようなら注意じゃ済まないよ。)
「なんちゅう言い草だあ。まあちっと穏やかなものいいでけんだか。」
(なんという口の利き方なんだ。もう少し穏やかに話せないのか。)
「ああそういうものいいするだね。じゃわし、はあどーなっても知らんでねえ。」
(ふ~ん。そういう事言うんだ。だったら私はもう後どうなっても知らないからね。)
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燃やすと言う意味。「や」が抜ける表現といっていいのか定かではないが結果は「や」抜きである。遠州独特かは不明。
「燃やすゴミ」だと「燃すゴミ」。「燃えるゴミ」だと「燃せるゴミ」となる。
「燃やせ」は「もせ」。
この論法でいくと「モスバーガー」は「燃やすバーガー」になる。なんちゃって。
モスバーガーを略して「もす」と言ってるわけでもない。というおやじギャグが成り立つ。
例文
「ここでこれ燃すとどうなるだかいねえ。」
(ここでこれ燃やしたらどうなるのかなあ。)
「けむんでるらあ。」
(煙がでるだろうねえ。)
「そんだけかい。」
(それだけかねえ。)
「うっとおしいこんに違いありもしんに。」
(はた迷惑なことであることは間違いないだろう。)
「ほいじゃ燃したら怒られる?」
(それじゃあ燃やしたら怒られるかなあ。)
「当然だの。」
(当たり前だろう。)
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文字なら意味が分かるが耳で聞くと、「も」をする?「も」をしたら?なにそれ?ってことになりかねない。
持ち合うという意味。「~っこ」と言う表現が特徴としてのポイント。「~しあう」という意味。
子供言葉ではなく大人も使う。
余談(冗談)だが静岡県のお土産「こっこ」は「こをしあう」と言う意味ではない。
「はんぶんっこ」となれば半分づつと言う意味。共通語だと「はんぶんこ」。
例文
「じゃもちっこにせまい。わしこれ持つであんたこれ持ちない。」
「あれえ、悪いやああんたに持たせちゃって。気いひけるやあ。」
「ええってえそんな心配しんでも。気い遣わんといて。」
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子守のこと。子守をするという意味で使われる。野郎言葉で女性が口にすることはない。女性は普通に「おもり」と言う。
例文
「日曜なんか用事あるだけ?」
(日曜はなんか用事あるの?)
「課長のもんりいでゴルフせにゃかんでえ。替わってくれる?」
(課長のおもりでゴルフしなくちゃいけないんだ。替わってくれるの?)
「やなこったい。そりゃご苦労なこって。まあ頑張ってや。」
(冗談じゃない。それはご苦労様。まあ頑張ってね。)
「自分はなにせすでえ。」
(そう言う君はなにするんだ?)
「ライブんチケット手に入ったもんで誰かとアリーナ行かすかと思ってるだよ。」
(ライブのチケットが手に入ったから、誰か誘ってアリーナに行こうかと思ってるんだ。)
「うっそお。わしも行きてえやあ。連れてってやあ。」
(え~!俺も行きたいよお。連れてって。)
「課長のもんりいわあ。」
(課長のおもりはどうするつもりだよ。)
「あんなんほかいてとんじゃかないらあ。腹ど痛いとかこきゃ済むでさあ。」
(あれは無視しても構わないだろう。お腹が痛くてとか言えば済むからさあ。)
「知いらんにい。あとでばれてもを。」
(後でばれても知らないよ。)
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