遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「おんもい。もうよさりかかっちゃかん。」
(重いよう。もうもたれかからないで。)
「そこん やごい だで よさりかかっちゃ かんにぃ 危ないだでえ。わかったあ?」
(そこは壊れそうだから寄りかからないようにね。危ないから。分かった?)
大体これが方言だとは全然思っていないから、共通語に翻訳するとき、「よさりかかる」をどう訳せばいいのか随分悩んだ。それだけ当たり前に使っているので。特に(寄りかかる)なんかは普段使い慣れていないのでこれでいいんだろうかと半信半疑状態。「さ」が一文字入るか入らんかの違いだけれども、こうも違和感があるのは不思議でもある。そして何故「さ」が一文字付け足されたのかも不思議である。
例文音声はこちら
ニュアンス的には体重とか重心がのる状態のことを指す。手を添えるとか壁(守ってもらう)とするというニュアンスのものではない。なので共通語で「親の経済力に寄りかかる。」といったものを「よさりかかる」という表現はあまりしない。こういう場合には「よっかかる」をよく使う。
「しなだれかかる」みたいな色気のある物ではない。むしろ邪魔臭いと感じるような時に体重乗せてくるなよという意味で使われることの方が多い。「よさりかかる」には「うっとおしい」というニュアンスがこもることが多いということであろうか。
ニュアンス的には「もたれかかる」が一番しっくりくる訳となろうか。
呼ぶという意味。方言と言うより古い言い回しと思われる。
例文
「なんで先始めちゃってるよお。随分じゃん。」
(どうして先に始まっちゃってるの。ひどいじゃないか。)
「何度もよばっただに返事んないもんでいんだかと思ったもんで先始めただよ。」
(何度も呼んでやったのに返事がないから、いないと思って先に始めたの。)
「聞こえなんだだもんで、呼ばり方おかしいらあ。ずっと隣ん部屋に居ただでねえ。」
「寝てたとかしてただらあ。普通に呼ばったにい。」
「ふんだだあどうでもええで、はやく交ざりない。」
(そんなことはどうでもいいから、はやく入りなよ。)
例文音声はこちら
ニュアンス的には呼んでやる・あげるという感じになる。
「呼んだ?」と「よばった?」では意味は同じだが微妙にニュアンスが異なる。うちの集落では「よばった」の方が若干丁寧になる。その上だと「よばっさった」であろうか。「呼んだ」の下は「よびくさった」。分かりやすく書くと
「よびくさった」<「よんだ」<{よばった」<「よばっさった」
丁寧さの比較であるが集落によって異なるのであくまで参考として。
易いと言う意味。まあ方言だとは全く思っていないが。共通語だと「いい」となるとこが「よい」と発するものである。
「書きよい」(書き易い)・「やりよい」(やり易い)・「着よい」(着易い)・「買いよい」(買い易い)
「このボールペン書きよいやあ。」(このボールペンは書きやすいなあ。)
これに遠州弁独特の凄く・やけにと言う意味の「馬鹿」と「ど」を付けて言う場合には、「馬鹿」のみを使う。(ここ重要。遠州弁のテストがあったら必ず出る)
「ど書きよい」とか「どやりよい」とは言わない。
「馬鹿書きよい」・「馬鹿着よい」という使い方をする。
まあ、「えらい」とか「がんこ」とかも使われるけど。
逆は共通語と同じで「にくい」。どうしても方言ちっくにしたい場合は「よかあない」もしくは「ぬくい」。
例文
「どうやらすかなあ。」
(どういう風にやろうかなあ。)
「あんたのやりよいようにすりゃええじゃん。誰も文句いわんらあ。」
(あなたのやりやすいようにやればいいんじゃないの。誰も文句いわないでしょう。)
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例文(単文)
*「ご飯出来たで、おとうちゃん呼ばってきて。」
(ご飯の支度が出来たからお父ちゃん呼んで来て。)
*「○○さん何度も呼ばっただに声んないもんで順番後にしたでねえ。」
(○○さん。何度かお呼びしたのに返事がなかったから、順番後回しにしましたので。)
「ええ!ずっと居ただけどやあ。ほんとに呼ばっただけえ。」
「ちゃんと読んだにい。」
例文音声はこちら
基本は「呼ばる」であろうか。意味は単に「呼ぶ」という意味。
呼ぶと呼ばるとどう違うのかと言うと、多少呼ばるの方が柔らかい感じに聞こえる。
「呼ばる」と「呼ばるる」(呼ばれる)が連なっているようにも感じられるので単純に古い日本語ということなのかもしれない。
打ち寄せる波のようにみたいな使い方の共通語ではなく(勿論そういう使い方もするが)お寄せ戴いた葉書やお手紙という使い方でもない(勿論そういう使い方もするが)
集めるとか取り込むと言う意味で使われる。お取り寄せのよせと言う意味は近い。「よける」という使い方も有るか。
別に方言でもなんでもない筈だが「取り込む」という意味使いは遠州独特らしい。
例文1
「あ!ほいっ。雨ん降って来ただでちゃっと洗濯もんよせてやあ。」
(あ雨が降って来た。ねえ洗濯物直ぐ取り込んで頂戴。)
「はいね。」
(分かったよ。)
「よせたついでにたたんどいてくれるとうれしいだけどやあ。」
(取り込んだついでに畳んでくれると嬉しいんだけど。)
「そこまで使うう。ずいぶんじゃん。」
(そこまでコキ使うの。ひどいなあ。)
例文2
「これ嫌いなんだよなあ。」
「ほいじゃはじんよせて他のを喰やいいじゃん。」
(それなら隅に避けて他のだけ食べればいいんじゃないの?)
「味んしみてるで嫌。」
(味がついちゃってるから嫌なんだよ。)
「なによう。ほんじゃまるさら喰えんだけえ。」
(えーなに?それじゃあ全部駄目だってこと?)
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