遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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「すぐん ありんやら はえんやら きて たかるだで そこんさあとかに うっちゃらかいといちゃ かんて。ちゃっとくろん方に かたさんとかんにい。」
共通語訳
「直ぐに蟻とか蝿が来てたかるんだからそんな所とかに置きっ放しにしちゃ駄目だって。直ぐ端の方に仕舞わないと。」
直ぐ・蟻・蝿・たかる・という言葉は方言ではないだろうから他所の人でも意味は通じるだろうと思っていたのだが。
結果意思が通じたのは「かんて」(駄目じゃないか)だけという有様だった。
例文音声はこちら
*い 「座らしゃあ 尻ん下んが みしみしと
いみりん入って 視線がど痛や」
*ろ 「おっとさの まねしてばっかじゃ あんたねえ
ろくな大人に なりゃせんにい」
*は 「参観日 うちのがきんちょ きぜわしい
はしはしいごけ ちゃんと前向け」
*に 「あんたねえ ちゃんとやんない ゆわれたら
にしゃにしゃしてて ばっかおこれる」
*ほ 「本やらや ほかし投げては ほうらかし
ほっぽらかいてで ホントしょんない」
*へ 「普通はや 所構わず 出しゃへんに
へこきむしだか おんめえわよを」
*と 「構わすけえ どんぶるかろぉが これんいい
とんじゃかないだで 気にしんといて」
*ち 「ちんたらと 歩くっとったら ひっころび
血いが死んだだ あおたんこさう」
*り 「話しはや 通ぜはせるだぁ なんか妙
りんとゆうだは 湖西か三河」
*ぬ 「わししっか わしにやりゃしゃあ あっちゅう間
ぬしゃあゆうほど 出来もしもへん」
*る 「るが出んで 語呂をいぜくり 茶あ濁す
類は友呼ぶ ルイ鳩も呼ぶ」
*を 「間違えた ああゆやあこおゆで つくろすも
をたをこくほど 度壷にはまる」
*わ 「やたらくしゃ 噛むのをやめぬ うちの犬
わしんゆうても 聞きゃあせんくて」
*か 「本日は お日柄も良く おめでとな
かがぬけるだで はよ飲みまいか」
*よ 「通り雨 洗濯もんを ちゃっと寄す
呼ばりもせん猫 寄せたもん乗る」
*た 「恐縮し 世間話しで 歳い聞く
ためだと分かりゃあ なめた物言い」
*れ 「当番だで どぶんさらいに 行ってやぁ
レース行くだで 今日も勘弁」
*そ 「おんしゃやあ なにょう寝言 こいとるだ
そんだだこたあ あらすかやなあ」
*つ 「運動会 頼むで明日はと 願い事
つるくいとくは 逆さてるてる」
*ね 「残業で 不規則続き 寝不足で
ねぶつんでけたと ひゃあひゃあぶーたれ」
*な 「なまかあは あの手この手で いごきなし
なんしょかんしょで やりゃあせんだよ」
*ら 「時間だに 人が来んくて 練りでけん
らっぱふかしゃあ すぐ集まるらあ」
*む 「むっすーに なんでなんでと 物聞かれ
むつからしいんで いいとこまんじゅう」
*う 「さっきいは あっただけえがあ どこいった
うわっかあとか ひっついてんかな」
*ゐ 「締め切りん 明日ん期限が きいくさる
ゐざりでやらすも 出来おおせんがぁ」
*の 「そんなんで 褒めすもんだで 調子こく
のぼせかあって ブタが木登り」
*お 「あれにこれ それにそっちで どれはどれ
おぼわらんくて ついてけんだわ」
*く 「庭ん花 はあ咲いたらと 眼え凝らしゃ
くさるけにある 雑草でめえんや」
*や 「囲炉裏火に 当たるスルメの 香ばしさ
やあこくしたで 喰うてみよやあ」
*ま 「あれなによを なんでこれっぱか しか持ってこん
まるさら全部 持ってくるだよ」
*け 「朝起きて 時計を見れば あれやばし
けったーこいで ちゃっと飛んでく」
*ふ 「あんたねえ 早起きせるにと ゆったじゃん
ふかしこいただ? 早よ起きよやあ」
*こ 「夏休み 宿題残り こりゃおえん
こらしょとあるで ねえてんだってやあ」
*え 「床えがみ まっつぐ歩くる ことでけん
えごえごやごい 家の廊下わ」
*て 「いや別に 気にもしてんと 嘘こくな
手えをにぎらす ことすらでけん」
*あ 「髪伸びて うっとおしいんで 床屋いく
あたま切りいく パーマもあてすか」
*さ 「当番を なんのかんので 逃げくさる
さっつけさすまね さしゃあせんにい」
*き 「信号は あおは進めで あか止まれ
きいなくなったら 進んじゃかんだか」
*ゆ 「温泉に ちゃっとひたろと ドボンのさ
ゆうちんちんで あたあたあちょを」
*め 「ちっこい字 はならかいても 寄らすとも
めえよをめえんで やっきりこくだよ」
*み 「通信簿 親ん見しひん いい訳は
みいひんくても こまりゃせんらあ」
*し 「これ何よ これはなによって 聞いてるじゃん
しいらんやあとか いわしゃへんでね」
*ゑ 「Oh!YEAHと 同じ感じで のういゑ
馬鹿いやゑも おんなしだいね」
*ひ 「今日着たは 年に数度の 勝負服
ひんしょったかあ ありゃあせんらあ」
*も 「ぞんざいに ほかいたもんで かたいたが
燃しはしてんで ある筈だあれ」
*せ 「あのなあが 熱がこもって 馬鹿っつら
せんひき持って ちゃんちゃんばらばら」
*す 「まかしょうと 言ったあええけど でけんくて
すけんならんく なによを駄目じゃん」
*ん 「上げるでな せえのの声出し 持ち上げす
んともすんとも いごきゃせんがね」
一応この手はこれで完成形ということにして、後はちろちろ修正してくことにしよう。間違いなく子供向けじゃない。全部とは言わないが殆ど野郎言葉なので中年以上の男的表現になった。レベル的には日常会話に色つけた感じ。
なお、イントネーションは遠州人でなければ発せられないよう工夫したつもりなので和歌風に詠うとよかあない。
訳はあえてつけないので近くの遠州弁の使い手かコメントで質問してつかあされ。
「だら」と「だらあ」は違う。
単純に「そうだろ」・「そうでしょ」(そうだら)と「そうなんだろ」・「そうなんでしょう」(そうだらあ)といった言い切りと予測みたいな違いだけでない。語尾が上がるとまたニュアンスが変わってくる。
「だら」の以前は「づら」がよく使われていた。同じように「づら」と「づらあ」の使い分けというのが存在してた。
例文
「こんど暑いだにおめえあんまし汗かいちゃいんじゃん。そうゆう人なの?」
(この暑いのに君はあまり汗かいてないねえ。そういう体質なの?)
「おめえがかきすぎなだけだらあ。」
(君が掻き過ぎなんだよ。)
「なんでこんな違うだいね。」
(どうしてこんなに差があるんだろ。)
「暑いつってひゃあひゃあ言いながらばかばかいらんけにがんこ水呑むもんだでだあだあに汗だらだらんなるだらあ。」
(暑いからってぶつくさ言いながらこれでもかというくらい余分に水を呑むから汗が大量に吹き出るんだよ。)
「はあシャツべっしょり汗べっとりでえ。あれ、あそこんさあ見てみいや子供がプールで遊んでるにい。涼しそっ。わしもこのまんまプールばしゃんと入りて~。」
(もうシャツが汗でびっしょりでべとべとしてる。おや?あそこ見てみなよ。子供がプールで遊んでらあ。涼しそうだなあ。俺もこのまんまプールに飛び込みたい。)
「話し替えるなっつうに。まあそおゆうこたああれでえ、ほんだったらなんしょあれでえあと半年我慢しないそうすりゃだんれもプール使っちゃいんでおもいきっさ使えるにい。」
(話しそらすなって言うの。でもまあそういう事だったらあれだよもう半年我慢すればいいよ。そうすれば誰もプール使ってないから気兼ねなしに入れるよ。)
「今すぐっちゅうわけにゃいかんだかや。」
(今直ぐって訳にはいかないかな。)
「まあ、それすりゃあ警察エアコン効いてるかもだで、とんまさって精神両面ひゃっこくなれるだらなあ。」
(まあ、そんなことしたら警察エアコン効いてるかもしれないから、捕まって心身ともに冷え冷えとなれるだろうなあ。)
例文音声はこちら
「ちっとばかの こんだで ひゃあひゃあ ゆわんとを なんしょ あんた まるきし やりもしなし ちゃっと 飛んで戻って 来ちゃあ おえん でねえ。」
方言で遊ぶには全く独自の言葉を繋げてなんのこっちゃいとちんぷんかんぷんにさせる手と、言葉そのものは共通語と同じだが意味が異なるために大きく誤解を招くのを楽しむ手と二通りあるような気がする。
冒頭の文章は前者の手合いの文章。
訳
「ほんのちょっとの間のことなんだからそんな文句言わないで。とにかく、全くやりもしないで直ぐ急いで戻って来たら駄目だからね。」
「駄目」を「許さない」にする場合には「おえん」を「ぶっさぐる」に替えればよい。
後者の手合いの文章例だと
「ばか信じれん。いっつも わざとに いれこにしてけつかるだよ。ひょんきんだらあ。」
共通語としてそのまま解釈すると
「馬鹿は信じられない。いつもわざといれこにしてけつかるんだ。笑っちゃうだろ。」
とかになるんだろうか。当然意味不明である。
実はこう言っているという訳
「もう本当に信じられない。いつもわざとあべこべに入れていきやがるんだ。随分じゃないかって思うだろ?」
「馬鹿」についてはまあイントネーションが違うので遠州人同士が勘違いすることはない。
例文音声はこちら
例えばアホという意味使いの馬鹿は共通語と同じ「ばか」だが度合いを表わす場合平坦に「ばか」もしくは「ばか」となる。
後者のパターンで言葉遊びが出来れば遠州人の方でなくとも楽しめるであろうとは思うのだが、なかなか例文が浮かんでこないのが辛いとこではある。
それと、いつか音声合成ソフト扱いこなせるようになれたら音声つけた記事に過去の記事も全部直してみたいものだが如何せん金も知識もないところも辛いところパート2である。
「ブルータスよお前もか」というセリフを遠州弁にしたらどれが一番近いニュアンスになるのだろうか。
単純に変えるなら「ブルータスうおんしもだか」辺りだけどそれじゃ能がないのでもう少し味付けしてみると色々言い方が浮かんで来る。まああくまで言葉遊びのおちゃらけですけどね。
「なによをブルータスあんたもけえ」
「なにいブルータスおめえもけえ」
「なにやあブルータスおんしもかや」
「なんでよブルータスおんしもだあ?」
「なんだやブルータスおんしゃあもを!」
「なんでブルータスもよを」
「うそっブルータスおんしもっ?」
「あれやあブルータスおんしもだ?」
「あれえブルータスあんたなにやってるよを」
「なんでえ?ブルータスぅまでえ?」
「勘弁してやあブルータスまでえ」
「ブルータスまで随分じゃん」
「ひょんきんじゃんブルータスまでもけえ」
「やあなんだやあブルータスまでえ」
それぞれ微妙にニュアンスが異なるのであるが
凄く意外ってことなら「うそっブルータスおんしも?」かな。
状況が分かってない程動揺してるってんなら「なんでえ?ブルータスぅまでえ?」か?
もう泣きそうって勢いなら「やあなんだやあブルータスまでえ」辺りか。
冗談じゃないよと憤慨してるのなら「なんでブルータスもよを」か。
冗談じゃないよと憤慨を越えて呆れてる(むしろ放心)なら「勘弁してやあブルータスまでえ」ぐらいか。
全く状況が分かっていないって勢いなら「あれえブルータスあんたなにやってるよを」かな。
一番冷静なのは「なによをブルータスおんしもけえ」かな微妙だけど。
結論じゃないけど、ひとつ言えることは名文句も遠州弁にすると台無しになるという事だけは間違いないようだ。