遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
遠州弁の「に」は「よ」と変換する。「そうだに」(そうだよ)のように。
これは初歩的な「に」の訳し方として間違ってはいない。しかし「に」=「よ」と決めつけると幅が狭くなる。このほかにもニュアンスは色々と有るのである。
「そうだに」にしても
「隣の子も行くそうだに」(隣の子も行くそうだよ)
「そりゃあそうだに。」(そりゃそうだよ。)
この他にも
「に」の語尾が上がる言い方だと疑問符っぽい感じになるが問いかけてるという訳でもない。
「そりゃ今は知らんに?むかしゃあそうだったっつってるだけで。」
(そりゃあ今はどうなのかは知らないけどね、ただ昔はそうだったよって言ってるだけだから。)
これが語尾が上がらない場合
「そりゃ今は知らんに。むかしゃあそうだっただで。」
(そりゃ今は知らないさ。昔はそうだったんだから。)
滅多に言わない言い回しであるがこういう使い方もある。
「そりゃ今知らんに昔ん通りにやったじゃかんのは分かるだけえが。」
(それは今を知らないのに昔ながらのやり方をするのは駄目なのは理解できるけど。)
普通は「に」ではなく「で」や「と」を使うが「に」でも変ではない。
「のそい」という表現は広い地域で使われてるもので遠州弁ということでもないのだが遠州で使われるニュアンスをとりあえず書こうかと。ちなみに使用頻度は低めであり日常で聞く事はあまりないがかく発せられても意味は通じるというもの。どちらかといえば切羽詰まったような際に発せられるものではない場をゆるくする効能で使われるものであろうか。
「遅い」といってる訳だが、動きが緩慢という事で遅刻とかのような遅れる事を指すものではない。遠州弁でのニュアンスとしては「遅い」というよりも「とろい」・「のろい」といった方が近い気がする。
「やることがのそい。」とは言うが「のそい。遅刻だぞ。何時だと思ってんだ。」という言い方はしないということ。
もっとももっさりしてるから時間に間に合わないんだという流れもあるから関連性がない訳ではないが。
単純に考えれば「おそい」が変化して「のそい」となったと想像出来るところであるが。
ネット辞書には大阪弁で「のそい」とは「のっそり」と「おそい」の混合語と説明されているのを見た。遠州では人によっては「のっそい」という使い手もいるのでこの説明はなるほどなと思える。遠州弁的解釈だと「のろい」+「おそい」の合体といった方がよりしっくりくる。
「のっそり」があるのだったら「もっさり」と「おそい」で「もそい」という言葉があってもよさそうなものだが、無いとは否定できないが現実には聞いた事がない。「もさい」になるのかな。これならありそう。でも遠州弁ではなかろうな。
例文
「なんかこの回転ずし雰囲気他と違うと思わん?」
「まったりした感じするねえ。」
「回転がのそいだかいやあ。次来るのにぬぶくなっちまうわあ。」
「そこまでじゃないらあ。でも近いもんはあるな。」
「なので」(したがって)と言っている。「どうして?」と問うている訳ではない。まあごくごく広く全国的に使われてるであろう言い回しである。じゃあなんでそういうのを記事にするのかというと、やたらくしゃ使用頻度が高く、そこに遠州の地域性があろうかと。
「どうして?」も「なんで?」と言うがイントネーションが違うので聞き違える事は無い。って「どうしても」と「なんでも」は似たようなもんか。
似たような表現の「だもんで」とどう違うのかというと
「今日、なんか湿気てる気いするで、だもんで午後から雨降るかもしれんにい。」
(今日はなんとなく湿気が多い感じがするから午後から雨が降るかもしれない
よ。)
この文の「だもんで」を「なんで」に置き換えてみる。単純に入れ替えると
「今日、なんか湿気てる気いするで、なんで午後から雨降るかもしれんにい。」
となってざらつきが出る。
「今日、なんか湿気てる気いするらあ、なんで午後から雨降るかもしれんにい。」
といったように先の話しを相手が納得した(させた)上で続きを話そうという際に「なんで」は使われる。「だもんで」に関してはそういう決め事はなさそうである。
「今日、なんか湿気てる気いするらあ、だもんで午後から雨降るかもしれんにい。」
というように別に違和感がないというように大抵の言い回しで使える。
あまり「なんで」を多用すると勝手にどんどん決めてく人だという印象を与えかねないことになる。なんでご使用は用法を守ってが大切であろうな。
強いと言う意味。アラレちゃんがよく使う言葉として認知度も高く、名古屋発信の日本全域で使われる言葉であろう。幼児言葉なのだろうけど大人が言っても違和感を感じないのが遠州である。
これを方言しかも遠州弁として挙げていいものか疑問が残るがアラレちゃんがもし言っていなくとも使っていたことは確かなので一応記載。ただしやはり名古屋から流れてきた言葉のような気はする。マンガ発信の造語ではないということ。
例文
A・「ちゃっとやらすかと思ってがんこ火ぃつおくしたもんでお湯ぅちんちんになっちゃった。」
(急いでやろうと思って強火にしたらお湯が沸騰しちゃったよ。)
B・「まあええよ、ちゃっと茶ぁ入れて客んとこ持っていきない。」
(構わないでしょ。直ぐお茶入れてお客さんのところに持っていきなよ。)
C・「あんたねえちんちんじゃ茶ぁまずくなるにい。客にゃあ出せんらあ。」
(あのねえ沸騰したお湯だとお茶が不味くなるでしょ。そんなのお客さんにだせないよ。)
A・「はあ、いれちゃったもん。ほいじゃ水でうめるか?」
(もういれちゃったよ。それじゃあ水で薄めようか。)
B・「そんでええらあ。ほんでほれでちゃっとその茶ぁ客んとこ持ってきない。」
(それでいいんじゃないの。早速それでそのお茶お客さんのところに持っていきなよ。)
C・「あんたらねえ。」
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短いとか丈の合わない服を着ている様。特に遠州弁ということでもなかろうが遠州でも使ってるよということで記載。
服が弾けそうなくらい突っ張ってつるつるてかってる風に聞こえる感じであろうか。似たような表現で「ちんちくりん」というのも使われているがこちらは他の地域では中傷的意味で使われているようであるが遠州地域では「つんつるてん」とほぼ同様のサイズが合わないことを意味し中傷的な要素はない。
例文
「あれえ。つんつるてんだねえ。太った?」
「馬鹿こいちゃかん。何年前の服だと思ってるよを。後生大事にたんすの肥やしにしといたのなんで今頃出して着させるよを。」
「なにゆってるよを。子供じゃあるまいしはああんた背えなんか伸びもしんに。やっぱ太っただらあ。」
「質問に答えちゃいんじゃん。話しそらいちゃかんて。」
「なんだっけか。」
「なんでこんな昔の着せるだっつうの。」
「いんやあ。なんとなくそうゆやあこんなんのあったなあと思って。なんで思い出いただかいやあ。」
「これって確か面接行くに着た服じゃなかったっけか。」
「あ~そうそう。そーだった。ほんでだわ。」
「なにがあ。」
「あんた今日大事な日だら?だで縁起のいい服の方がいいかなと思っただよ。」
「嘘こいちゃかん。わしのスーツボケこいてみなきしクリーニング出したの誤魔化したいだらあ。」
「なんで知ってるよを。」
「図星かい。」
例文音声はこちら