遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
うんざりだ・やってられないと言っている。何度注意しても言う事を聞かない自分の子に対して若干育児疲れも重なってヒステリックに言うことが多い言葉。
この発言に対する対処の仕方としては嵐の去るのをひたすら待つしかない場合が多い。下手に言い訳なんかしたら次はキレる。謝ったところで「分かってるならなんでやるんだ?」と追求される。沈黙のみが有効な手段と推察される。
大人になってから夫婦とか恋人でのこういう会話は結構子供の頃のトラウマと重なってカウンターパンチのように効くのでずしりと重い。
思春期の娘に「洗濯物を一緒にするな」とか言われる時などにも使われたりもする。
基本女性が放つ表現なので男女共有の表現としては
「もうほんとド怒(おこ)れる。」や「もうほんとド嫌(いや)」などがある。
例文
「もーあんたわーなに手に持ってるよう。なんでもかんでも拾っちゃかんっつてるでしょ。」
「・・・・・・」
「あ~あこんな服汚してえ!もうほんとこれだできらい!」
「・・・・・」
「何回言わしゃあ気が済むよう?あんたわざとやってんでしょ。」
「・・・・」
「汚い手でさわっちゃかん!もう。泣きゃいいってもんじゃないだでねえ。」
「そうじゃないかもしれないじゃない」とか「考えすぎだって」とかいう意味。
まあとにかく先のことはやってみなくちゃあどうなるか分からないんだからとにかくやってみようよというニュアンスの言葉である。ある意味遠州弁の代名詞でもある「やらまいか」に連なる言葉である。アクセント位置は「よお」の「よ」
例文
「あ。こりゃ無理だな。でけん。」
「そんなもんわからんよおやってみにゃ。」
「やらんだってわかるわい。」
「そんな弱気でどうせるよう。やりゃあでけるかもしれんじゃん。」
「時間の無駄だと思うけどやあ。」
「わからんよお、ええでやってみまいか。」
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行く事の正当性を上手く説明・表現できないもしくは同意していない(説得が難しい)相手に「とにかく行くんだ」という強めの勧誘の表現。
知人家族等からこう言われて断れる奴は相手に敵対心があるか異常に意思が固いか人付き合いを考えない変人かのいづれかである。それほど束縛性の強い表現である。
「ええでいかまい」(良いから行こうよ)
まあでも切羽詰ってるような人には流石に効力が無いので使っても効果は薄いが。
決して強制的な感じではないのだが、何故か拘束力の強いニュアンスである。それだけにいけ好かない奴とか全然見ず知らずの人とかに言われると逆に拒否反応が強くなる。あくまで身内とか気心の知れた人に対して使う言葉である。
「行く」を「やる」に替えても同様のニュアンスになる。「ええでやらまい」(良いからやろう)。これに「なんしょ」を加えて「なんしょええでやらまい」が最強表現となる。いや?「やー(または、ほれ)なんしょええでやらまい」の方が強いか。
ポイントは「まい」を使う点で強要力を増す効果が出る。「まいか」を使って「ええでいかまいか」とすると強制力が弱まる感じになる。ちなみに「まいか」をつかう場合「ええで」ではなく「ええら?」を使うことが多く「ええら?いかまいか」(いいでしょ?いこうよ)といった伺い的なニュアンスになる。
何がいいんだと理解に苦しむ使い方をする奴もたまあにいるが、遠州人は反応してしまう。目上が目下に、横並びの関係とかは勿論、場合によっては目下が目上に対しても言う場合がある。
「ええで」というのは「とにかく」とか「ごちゃごちゃぬかさんと」とか「細かいこと気にしないで」ととか「いいから」という意味合いになる。つまり問答無用ということですな。
例文
「課長今日呑みいかざあ。」
(課長。今日呑みに行きましょうよ。)
「いやあまだ仕事片付かんで遠慮しとくわあ。」
(残念だけどまだ仕事が片付いていないんで遠慮しとくよ。)
「そういわすとお、ええでいかまい。明日にまわしゃあええらあ。なんとかなるにい。」
(そんなこと言わないで行きましょうよ。明日やればいいじゃないですか。なんとかなりますよ。)
「おめえら気楽でええよなあ。ホント羨ましいわ。」
(君たち気楽でいいよね。羨ましいよ。)
「だでヒラやってるじゃん。ええらあ?」
(だからヒラのままなんですよ。いいでしょうに。)
例文で断ってるのは課長が切羽詰まってるから。もしそうじゃなかったら。
「そうでえの。まあ明日やりゃあいいかあ。じゃあいかすかな。」
「ごっそ様っす。」
「誘っといてたかるんかい。」
と、なるのが普通的。
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重複していたが消すのもなんなのであえてその2とす。
怒っていると言ってる訳ではあるが、ニュアンス的には「プンプン」という感じの意味である。「う~むかつくう」もほぼ同じ用途である事が多い。
決して「ムカムカ」とか「イライラ」とか「カッカ」とか言うものではない。なのでこういわれたからと言って真に受けてしまうと、空気読めない奴と思われる。ポイントは「う」が入るか入らないか。「う~おこれる」と言い切られると「プンプン」の領域を越え「ムカムカ」に近くなる。
そして、これに「ど」や「馬鹿」がつくと「う」が入っていても「ムカッときた」とか「イラっときた」というニュアンスになる場合があるので注意が必要となる。
例文1
「これ喰わんなら頂戴。」
(これ食べないなら頂戴。)
「やだね。」
「そういわすとお。」
「あ!ばかっつら。ホントに食べたあ。う~おこれるう。信じれん。後で食べようとしてただにい。」
(あ!ちょっとお。なんで食べちゃうのよう。もう信じられない。後でゆっくり食べようとおもってたのに。)
例文2
「これ喰わんなら頂戴。」
(これ食べないなら頂戴。)
「やだね。」
「そういわすとお。」と言って手を出す。
「うそ!なによう。う~どおこれる。ホントなにするよう。あったあくるなあ。」
(え!なにするの?なにしてくれるよ。頭来たむかつく。)
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お名前はなんですか?と言う意味。「だ」の他に「よ」を用いる場合も多い。「よ」を使うと多少柔らかめに聞こえる。
分解して説明すると名前・なんと・いうのだ、となる。「名前」と「なん」と「だ」はそのまま変化なしで、「というの」が「つう」に変化していることになる。厳密に云うと「つうの」から「つうん」(「の」が「ん」に変化してる)という変化である。はしょらず正確に言うと「名前なんつうんだ?」となる。大方の人は「ん」を省略しているが省略せずに「つうぅんだ」と言う人もいる。ややこしい事に「ぅん」が入るとアクセントが変わる。「ぅん」がない場合は「つ」が強調になるが、「ぅん」が入ると「ん」に強調が移る。
こそこそ話しで人に「あの人名前なんつうだ?」と聞く使い方もあるが、直接本人に対してこう尋ねる場合もある。
女性言葉(野郎も使う)では「名前なんてえよ」という表現もある。
「なんてえの?」という言い方は使いはするが遠州弁的ではない。
例文1
「あんた、名前なんつうよ。」
「え?あ、○○と申します。」
「ほうけえ、ほいじゃ○○さんさあ、悪いだけど用頼まれてくれんかねえ。」
といった感じで使われる。こういう部分が遠州弁が馴れ馴れしく映る要因でもある訳だが、極めて普通の感情と応対で話してるつもりでいる。
もし見下したり突き放したぶっきらぼうに言う場合には
例文2
「やぁ、名前。なんつうだ?」
「え?あ、○○と申します。」
「じゃさあ用事言うで頼まれてくりょうやあ。」
となる。
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