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遠州弁の箱

遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります

やらまいか

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やらまいか

 なんか遠州弁の代名詞みたいな扱いになってる言葉。全国的に紹介されてるのは躊躇するならまずやってみようみたいなぶつくさ言わずにとにかくやろうよといったニュアンスの言葉として紹介されているものであるが、地元民が実際に使ってるニュアンスとしてはオレもやるからお前もやれよという時に使われる言葉。ニュアンスで訳せば「お~いやるよー」ってな感じか。

ではその他はどうかというと(あくまで一例)

シンプルにやるよ・始めるよという時には

「やらまい」・「やるにい」・「やらざあ」(ただし駿河ではニュアンスが異なる)

お前に替わってオレがやるという時には

「やらしょ」(やらせろ)・「やらしょやあ」(やらせてくれ)

オレはやらんけどお前やれという時には

「やりない」(やんなよ)・「まかいた」(任せた)・「やりい」(やれよ)

お前やってくれないかという時には

「やらんかねえ」(やらないかなあ)・「やらんだかねえ」(やらないのかねえ)・「頼まれてくれんかねえ」(頼みがあるんだけど)・「あのやあ」(言いにくいんだけど)

おねだり調の時には

「やらまいやあ」(やろうよう)・「やらまいにい」・「やるかあ」

「やらまい」と「やらまいか」の違いは微妙で殆ど使い方に違いがある訳ではないが「か」を足した分「やるぞ」と「やろうよ」といった言い方みたいな差が生じる感じである。

「やらまい」と言われると「嫌だよ」と言い返せるが「やらまいか」と言われて「嫌だよ」というのは若干気が引けるのは確かであろう。だからといって、「やらまいか」といわれて「NO」とは言えない訳では決してない。

例文1

「やあおめえ、荷物の搬入がんこ遅かったじゃんかあ。こんなじゃ今日中に終わらんでえ。」

  (お~い。荷物の搬入がえらく遅かったじゃないか。こんな状況じゃあ今日中になんか終わらないぞ。)

「まあ、そをゆわすとを。やらにゃ始まらんだでなんしょやらまいかあ。」

  (まあまあそんな事言わないで。とにかく始めないとどうしようもないんだからやろうよ。)

この例文のように具体的な解決策が見出せない場合とかにとりあえず始めようというある種の根性論を説くといった使い方をすることがある。

例文2

「おーいそろそろ時間だでやらまい。」

  (おーいそろそろ時間になるからやるぞう。)

「なにょこくだあ。そろそろってまだ時間前じゃんかあ。」

  (なに言ってんだ。そろそろってまだ時間前じゃないかあ。)

「んなことゆわすとを、ちゃちゃっとやってちゃっちゃと終わらまいかあ。そうすりゃあ早く戻れるにい。」

  (そんな事言わないでさあ。パパッとやってさっさと終わらせようよ。そうすれば早く戻れるんだから。)

「しょんねえなや。ちゃっと戻っていいことあるだあ。」

  (しょうがないなあ。ところで早く戻っていいことがあるのか?)

「いやまだ他にも仕事あるでやあ。」

  (いや。まだ他にも仕事があるからさ。)

「なら休ましょうやあ。ばかっつら。」

  (それなら休ませろよ。この野郎。)

ここでは「やらまい」を使ったので反論された。もし「やらまいか」を使っていたら「どうして?」というとこに飛ぶ会話となる。

例文音声はこちら

共通語の「まい」という表現の使い方だと

「二度とやるまいと誓う」みたいな意思の表れであり、辞書によると「何かをしないという主体の意思を表わす・そうではないと推量想像することを表わす」といった打消しの表現だそうな。これと遠州弁の「まい」は異なる。

遠州弁での「まい」は打消しではなくシンプルに意思の表れという使い方で、むしろ古語辞典に記載されている「まいか」まいに終助詞「か」のついたもの。意味は「婉曲に希望し、勧誘する意を表わす・強く命令する意を表わす」と記載されており、ニュアンスが近いので多分古語の生き残りであろう可能性が高い気がする「やらまいか」という言葉である。

それでいて「やるまいか」なると「やらないぞ」という言い方になるのはご愛嬌。もっともこんな言い方普段する人はいないが。

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