遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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どういう状況で使われるかというと
「蚊に食われた。」
「痒いからってぼりぼりかじっちゃかんにい。」
といった風に「引っ掻く」・「掻きむしる」(強く掻く)とかいう意味で使われる「かじる」。
これを漢字で「齧る」(かじる)と書くと「歯でかみ取って食べる」とか「聞きかじる」などという意味になってしまう。(もちろんこういう使い方もするところであるが)
こんな言葉は無いだろうが遠州弁の「かじる」はおそらくは「掻じる」であろうなという妄想が働いてしまう。当たり前だが歯で掻く訳ではない。指や爪で激しく掻く事を指す。これの上は「かじくる」とかであろうか。掻きすぎて血が滲むとか血が死ぬ(内出血する)くらいの勢いが想像される。
「かいちゃかん」だと普通に「かいてはいけない」
「かじっちゃかん」は「激しくかいてはいけない」
「かじくっちゃかん」は「執着するようにかいてはいけない」
といった感じとなろうか。
そういう感じなのでこれは遠州弁なんだろうかな。ネットで調べる限りでは駿河・甲州・房総とかでも使ってるそうな。
例文
「あんたんとこの旦那いつもぴしっとしてるよねえ。うちんたあ大違いだに。」
(あなたの旦那さんっていつもぴしっとしてるよねえ。うちのとはホント大違い。)
「そうでもないよを。家ん中じゃお尻ぼりぼりかじったりしててぶしょったいったらありゃせんだもん。」
(そうでもないって。家の中じゃお尻ぼりぼり掻いたりしてホント不精なんだもの。)
「いいだよを。家ん中なら。うちんのどこでもだでねえ。」
(家の中ならいいじゃないの。うちの旦那はどこでもだからねえ。)
音声はこちら
「鰹節」(かつおぶし)の事。
単純に「お」が抜けた言い回しであり、この言い方が遠州独特という訳でもなかろうがまあとにかく遠州でもそう言うよという事で記載。
他は特に説明する事もない。意味的に特別な地域性がある訳でもない。
焼津はかつぶしの生産地として全国的に有名であるがあそこはしぞおか(駿河)であって遠州ではないのでかつぶし本体の講釈とかも特にないというか知識がない。
余分な事としては、鰹節を削る道具を「かつぶし削り」と呼称してたが、かつぶしは「かく」ものであって「けずる」ものではなかった。この「かつぶしかく」という言い方は広範囲ではあるが全国的ではないらしい。この際の「かく」を漢字にするとどうなるか。「掻く」と書くのかは不明。
例文
「味どう?薄かったら醤油かなんかかけてやあ。」
(味はどう?薄い様だったら醤油かなにかかけて頂戴。)
「かつぶしないけ?」
(鰹節はないかな。)
「じゃ今ちゃっとかいてこすで待ってて。」
(じゃあ今直ぐ削ってくるから待ってて。)
「今からかくならいいや。食い終わっちゃうで。」
(今から削り始めるんなら食べ終わっちゃうからいいや。)
「きぜわしない食い方するもんでじゃん。ゆっくり味わいない。そうすりゃ間に合うにい。」
(慌てるような食べ方するからでしょ。ゆっくり味わって食べなさいよ。そうすれば間に合うんだから。)
音声はこちら
凄いとか大層とかかなりとかとんでもないとかいった意味で使われる。
「や、がんこ人いるじゃん。」
(うわあ凄く人が沢山居るじゃないか。)
「ほんとだ、がんこだやあ。」
(本当だ凄いなあ。)
「がんこ」はおそらく「頑固」と書くのだろうな。
しかし辞書にある頑固は
「がんこ」他人がどういう事を言おうと、自分が一度正しいと思ったことを変えない様子。
とある。遠州弁で使われる「凄い」という意味は全くなさそうで共通語の頑固とは別物のように思えてしまう。
ネットの辞書では上記の意味の他に、病気などがなかなか治らない事・様。とある。
共通語で「頑固な咳」と言うと「なかなか治らない咳」ということになるのであろうか。遠州弁的解釈だと「この人大丈夫かなと心配に思っちゃう程の咳」ということになる。大層違うものだ。
「すごい」という意味使いでは他に「ばか」・「ど」・「えらい」が遠州弁ではよく使われるがそれぞれニュアンスが違うので置き換えると意図が誤って伝わることとなりやすい。
例文を他の表現に置き換えてみる。
「がんこ」を使った場合は驚きとか呆れるといった勢いとなるものだが
「ばか」の場合。嫌になるほどという勢いとなる。
「や、ばか人いるじゃん。」
(うわあ嫌になるほど人が居るなあ。)
「ほんとだ、ばかだやあ」という言い方は存在しない。こういう場合は「ほんとだ、ばかいるやあ。」とかになる。
「ど」の場合。
「や、ど人いるじゃん。」まずこうは言わない。こういう場合は「や、どがんこ人いるじゃん。」となるのが普通。「や、なんでえ人どいる」というのも普通はしない表現。
「ほんとだ。どだやあ。」これは完全に無い。「ホントだどがんこいるじゃん」と反復して返すのが普通であろう。
「ど」はこの場合単に凄いを強調するものとなる。
「えらい」の場合。滅入るとか参ったなあみたいな勢いとなる。
「や、えらい人いるじゃん。」
(うわあ凄い数の人が居るじゃないか。)
「ほんとだ、えらいだやあ。」この言い方も存在しない。「ほんとだ、えらい人だやあ。」と普通はなる。
元に戻って「とんでもない」という意味使いでの例文
「あいつがんこだにい。」
(あいつはとんでもない奴だよ。)
「なにがあ。」
(どうして?何があった?)
「こないださあ。一回こっきりつかみ取りっつうの一緒にやり行っただけどやあ。根がごうつくだか知らんが気い済むまで何度もやり直すもんだで後ろだあだあに並んじゃって店の人にど渋い顔されて往生こいただよを。一緒にいていづようなかったわあ。」
(この間ね。チャンスは一度きりというつかみ取りのイベントに一緒に行ったんだけどさあ。性根が強欲らしくて自分が納得いくまで何回も握り直ししてたものだから後ろの列が物凄く並んじゃって。店の人に苦虫噛み潰したような顔されて身の置き場がなかったよ。)
「周り見れんだけだらあ。後ろの迷惑なんざとんじゃかねえだらなあ。」
(そこしか眼中にないんだろうな。後ろの迷惑なんて考えてもいないんだろうな。)
「に、したってやあ。はあええらあっつう風にさりげなくゆっただに聞く耳もたんだもん。勘弁してくれだよ。」
(それにしてもそれくらいでもういいだろって感じでさりげなく注意したのに聞く耳持たなくてさ。本当に参ったよ。)
「でどうしたよを。」
(それでどうしたの?)
「はあついてけんでうっちゃってきた。」
(もう付き合ってられないんで見捨てて先に帰った。)
音声はこちら
「かっか」は「~しようか」といった意味合いとなろうか。
例えば「行かっか」。訳すと「行こうか」。「行く事としようか」と考えるのが自然かなと思える。
広い地域で使われる表現で遠州弁というものではなかろうが遠州でも使うよという事で記載。
旧仮名遣いでの「行かふか」の「かふか」が「かっか」に変化したと考えるとなんとはなしに流れが出来るがこれは勝手に思う妄想の範囲なんだろうな。
「持ってかっか」だと「持っていこうか」・「見てかっか」なら「見ていこうか」。
「っか」という言い方もあり「かっか」との違いは
「買ってっか」は「買っていこうか」。「買ってかっか」も「買っていこうか」と訳すことになるが「っか」の「いこうか」は意思(希望)を示すという意味で「かっか」の「いこうか」は「どうする?」と了承を求めてるという違いが出る。
ニュアンス的に訳すと「買ってっか」は「買っていこうよ」で「買ってかっか」は「買っていこうかどうする」となるのかな。
ただ面倒なのは全部この理屈が成り立つわけはないところ。
「貰おうか」の場合「貰わっか」となるが「貰わかっか」という言い方は存在しない。「かっか」を使うとなれば「貰っていかっか」とかになって使いどころが違うというニュアンスの使い分けとは一概に言えないのがややこしい。
これ以外にも「っけ」という言い方もありこちらは地域の差で袋井とか掛川でよく使われてると感じている。
「っけ」は「っか」の変形という考え方も出来そうだが、伺いの度合いは「っけ」の方が増すので「買ってっけ」を訳すと「買ってくかい?」という訊ねている感じになる。
例文
「あれ、みてみい車田んぼの側溝にはまってるやあ。ふたりばかで持ち上げようとしてるみたいだにい。無理っぽいだに頑張るなやあ。」
(おや、あそこで車が田んぼの側溝にはまってるよ。たった二人で持ち上げようとしてるみたいだけど無理そうなのに頑張るなあ。)
「あれやホントだ。急いでるわけでもないしかあいそうだでちっと手伝ってかっか。」
(あ、本当だ。急いでる訳でもないし可哀相だからちょっと手伝っていこうか。)
「でもここで善意みせてもおんしゃの日頃の悪行は消えんにい。」
「ばかっつう、そっくりそのまま返すわ。」
(馬鹿野郎そっくりそのまま返すわ。)
「そりゃいいとして、なんしょやらんよりかはましななあ確かだで。行かまい。」
(それはいいとして、とにかくやらないよりはマシなのは確かだから行こうぜ。)
「確かに。いかざあ。」
音声はこちら
遠州弁独特ということでもなかろうが
「見がつら」・「やりがつら」・「しがつら」とかいう使い方の「がつら」。
共通語に訳す際には「ながら」とするのが適当か。でも「ながら勉強」とかを「がつら勉強」などは言わない。
成りたちとしては「がてら」の変が「がつら」と考えるとなんかしっくりくる。「見がてら」→「見がつら」
なんで「て」が「つ」になっているのかは定かではないが、勘繰るにそのほうが遠州人にとっては言い易くなるからであろうか。
男女共用の表現で、「ながら」とか「がてら」を使われるとなんかよそよそしく感じ「がつら」を使われるとほっとするという効能を感じたりもする。(年齢にもよろうが)
特に遠州独特の言い方ではないであろうが、それでもなんか地元っていう感じがする言い回しである。
例文
「あれ、また焦がいちゃったよを。なんでだいねえ。」
「あんたねえ、テレビなんか視がつら料理するもんで焦がすだにい。」
「そんなことないよを。ちゃんと見てたもん。」
「じゃなんでそうなるよを。よそ見してたもんでだよっ。」
「きっとあれだね、火加減が難しいだよねえ。」
「ちょう、人ん話しい聞きない。」
(ちょっと、人の話し聞きなさいよ。)
音声はこちら