遠州弁を集めています 主に昭和の遠州弁で今は死語となってるものもかなりあります
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傾いている。斜めになっている。
自分はあまりというかまあ使うことはないが、そういう表現の使い手が居て意味が理解できたのでこういう言葉があるのだろう。ただし殆どこういう使い方をする人は私の周りにはいない。
したがって遠州弁かどうかも定かではないが言った人間は遠州人なのでそうなのかなと思い記載。大分疑わしいが。
傾げる(かしげる)という言葉が近いのでこれが変化したものであろうか。
辞書では「かしぐ」(傾ぐ)かたむくの口語的表現となっているので「かしがう」という表現もあっても不思議じゃあない。でも普通は「かしいでる」(傾いでる)だよなあ。
例文
「お~い。そこんさあの柱ぁ。右んかしがってるらあ。直いといて。」
(お~いそこの柱が右に傾いてるだろ。だから直しといて。)
「はいね。こっからじゃ程度分からんで見といてよ。」
(了解。ここからじゃ傾いてる程度が分からないからチェックしてて。)
音声はこちら
「かやす」も「かあす」も「返す」ということなのだが。
使いどころが異なるのは遠州弁だけか?んなわきゃないか。
「かやす」は、返納するといった物を戻すといった場合に使われる。
「かあす」は、裏返すといった物の面の表を変えるような場合に使われる。
「ひっくりかえる」だと「ひっくりかある」
「ひっくりかえす」では「ひっくりかあす」
「裏返る」だと「うらっかある」
「裏返す」だと「うらっかあす」
「裏側」を「うらっかあ」と言うので紛らわしいのであるが「裏側に裏返す」だと「うらっかあんうらっかあす」となる。
もちろん厳密な使い分けがある訳ではなく。「ひっくり返す」という場合上の屁理屈でいけば「ひっくりかあす」であるのだが現実には「ひっくりかやす」という人も大勢いるのであくまで大雑把な違いで実用的には大差ないということである。
「かあす」は「かある・かあった」とかになるが「かやす」は「かやる・かやった」とかいう風には変わらない。
漢字にしたら「返す」で同じだけど単に訛り方の違いとかじゃなく全く別種の言葉なのかもしれない。
共に男女共用の言葉。
例文
「こないだ のぶさあに借りた○○かやいただ?」
(この間のぶさんに借りた○○返した?)
「や、忘れかあってたわあ。そうゆやあ借りっ放しにしてたやあ。」
(あっ!忘れかえってた。そういえば借りっ放しだった。)
「ちゃっとかやいた方いいにい。」
(直ぐ返したほうがいいよ。)
「やいやいなんか垂れてるやあ。変なのこぼいただかいやあ。」
(おいおいなんかこびりついてるよ。なんかこぼしたのかなあ。)
「拭くかなんかできんの?」
(拭くとかして落とせないの?)
「うらっかあにしてかやしゃあばれんで済むかいやあ。」
(裏返しにして返せばばれなくて済むかなあ。)
「そりゃまずいらあ。」
(それはまずいでしょ。)
「かあしてかやしゃ時間稼げるかもしれんし。」
(裏返しで返せば時間稼げるかもしれないだろうし。)
「稼いでどうするよを。」
(稼いでどうすんのさ。)
「うまくいきゃあすっとぼけれる。」
(うまくいけばすっ呆けられる。)
「馬鹿こいてんで駄目もとで拭きない。」
(下らないこと言ってないで駄目もとで拭いてみなよ。)
「駄目だったら?」
「弁償するだあれ。」
(弁償するに決まってるでしょ。)
「わからんよを。いいっつってくれるかもしれんじゃん。」
(それはどうかな。許してくれるかもしれないだろ。)
「ならかやしいいきない。ちゃっとを。」
(だったら今すぐ返しにいきなよ。)
「そりゃちょっと。」
「はっきししない。どうせるだ?」
(はっきりしなよ。どうするの?)
例文音声はこちら
かたしなし
「片づけないで」・「片付けしないで」と言っている。
「やりなし」・「買いもしなし」といった「~しなし」という言い方の一例であるのだけれど、「片す」という言い方自体が古い言い方と化していて「かたしなし」だとなんか古文調のようにも映るかなと思えてもくる。男女共用の表現。
「ない」を「ん」によく変える遠州弁であるが(例「やらない」を「やらん」とか)「片す」の場合には「かたしんで」とかに変わる言い方はない。ただし「片付けないで」の場合には「かづけんで」と変わることはある。まあ「かたしないで」という言い方は無いのだが「かたさないで」を「かたさんで」という言い方があるので説得力のない説明ではあるが。
変形としては「かたしいん」・「かたしえん」(片付けられない)、「かたしおせん」(片付けきれない)などなどがある。
例文
「あれなによを。あいつかたしなし行っちゃっただ?」
(あれ?あいつ片づけなしに行っちゃったのか。)
「なんか急に思い出いたみたいでちゃっととんでったにい。」
(なんか急に思い出したみたいで慌てて出てったよ。)
「おっかさに頼まれた用でも思い出いただらあ。しっかしすんごい散らかりようだなあやあ。」
(鬼嫁に頼まれた用事でも思い出したんだろう。それにしても凄い散らかり具合だなあ。)
「ま、いつものこんだで特に気にならんくなってきてるけどね。」
(まあいつのもことだから気にならなくなってきてるけどね。)
「馴れはこわいのっ。わしまだ無理だわあ。こいつのやりなし・しなし・かたしなしの三拍子にはついてけんわあ。」
(なれってのは怖いね。俺はまだそこまでいってないよ。こいつのやらないしない片付けないの三拍子にはついていけないよ。)
音声はこちら
「がっくり」と言っている。とにかく気落ちした様を表現する言葉。やや男言葉寄りの男女共用。方言というより全国的に広まっている俗語なんだろうかな。遠州でも良く使われるだろうということで記載。
ニュアンスとしては「がっくし」は「がっかり」ほど陰鬱に落ち込んでいる訳ではない「ちょっとショック」みたいな軽い感じとして使われている。「がっくしこん」はそれに輪をかけて軽い感じになる。
「きっちり」を「きっちし」というのと同じ傾向で遠州弁的には性に合う言い回しなんだろうな。
例文
「はあがっくしこんやあ。」
(う~ん残念だったよ。)
「負けたのっ。」
(負けちゃったね。)
「決勝までいってくれりゃあたあ思ってただん。やっぱ世界は違うの。」
(決勝まで進んでくれたらいいのにと応援してたけどやはり世界のレベルは違うね。)
「でもあれじゃん。日本じゃなくても面白いじゃん十分。」
(でも日本戦じゃなくてもこの競技十分面白いじゃないか。)
「でも放送しんじゃん。」
(でも放送しないじゃないか。)
「だで栄えんだらあ。」
(だからこの競技が栄えないじゃないの?)
「四年に一度盛り上がりゃ御の字ってか。メディアが育てようっちゅう気ないじゃ強くなれん訳だの。」
音声はこちら
「がっくしこん」という言い方は「がっくし」よりかショックな度合いが薄れる表現である。多少軽薄なおちゃらけた物言いである。正確に訳すと「がっくりきた」であり「がっくりと来ない」という事ではない。
「がっくし」は「がっかり」か「がっくり」かどちらだという事なら「がっくり」の変形というべきものであろうが、時として「がっかり」のニュアンスとして使われることもあるのでそのちゃんぽん表現といえなくもない気がする。
辞書によると「がっかり」とは(失望などで)今までの緊張が弛んで何をする元気もなくなる様子。
「がっくり」は何かがきっかけになって急に弱る・(緊張が弛む)様子。
とまあそんな大きな意味の違いはないので目くじら立ててちゃんぽん表現の有用性の講釈しても意味無いところではあるが。
「がっかし」という言い方は「なあんだ」とか「期待はずれ」というニュアンスが強くなり「がっかり」程の失望感とは微妙に異なっている。
それと同じように「がっくし」も「がっくり」程肩を落とすようなものではなく肩透かしを食った様な程度のニュアンスになっている。まあつまり「り」を「し」に代える事でもともとの期待度ががっくりするほどでもなかったということを伝えてるということであろうか。
もちろん内心はそうでもないのだが表面上はそれほど落胆してないようにみせたい場合の空元気で使う場合もあろう。
カラスが啼いている訳ではない。
「行くかあ」(行こうよ)・「やるかあ」(やろうよ)
という「かあ」。別に方言でもなんでもないところではあるが、遠州における使用頻度は割かし高く地位・年齢を問わず使うというところに地域性があるやもと思い記載。男女共用。
「か」だと「行くか」(行こうか)・「やるか」(やろうか)といった感じで「かあ」よりも強要度合いが増す。例えばじいじ等が子供に「さあ行くよ」と告げる際の大雑把な誘い方の強要度を比較すると
行っちゃうに>行くに>行くにい>行くよ>行くよを>行くか>行くかあ>行くでえ>行かまい>行くけ?
とかになろうか。(「行くに」と「行くよ」の辺りは微妙であるが)
「か」を「かあ」とするこの言葉に限らず辞書は今も昔も長音化することによってニュアンスが変わる言葉を説明していない気がする。これが方言というものだとしたら地域性があるということになるのだが、はてどうでせう。
例文
「行くか。」
(行こうか。)
「いやだね。」
「なんでよを。行くかあ。」
(どうしてだよ。行こうよ。)
「めんどくさい。」
「そんなことゆわんでえ行かまいよを。」
(そんな事言わないで行こうよう。)
「どうせあれだら?わしん財布が目当てだら?」
「・・・・・。ふんだだこたあねえよを。」
(・・・・・。そんなことはないよ。)
「詰まるとこみると図星だな?」
音声はこちら
辞書では
「か」(終助詞)、①質問・疑問の意を表わす。「これは君のですか」②反語の意を表わす。「そんなの誰が喜ぼうか」③難詰の意を表わす。「まだわからないか」④勧誘・依頼の意を表わす。「「行かないか」⑤事の意外に驚く気持ちを表わす。「なんだ君か」⑥人の言葉やことわざや歌の文句などを反芻しながら、その意味や事実をひとりで確かめる意を表わす。「そういやあそうか」
①・③・④は「け」・「だ?」を使うことがある。②・⑤は「かや」・「けえ」を使うかな。⑥にはまる遠州弁的言い回しは思いつかないからこのままであろうか。強いて挙げれば「だやあ」辺りか。
という訳で④の意味使いで使われると思われる「かあ」である。ちなみに「かあ」では辞書に載っていなかった。「か」との違いは「かあ」の方が相手の意思を尊重するような頼み込みな印象になるところであろうか。従って訳すとなると「よう」という方がしっくりくるのかもしれない。まあ状況によってであろうが。